提案理由の説明に先立ち、このたびの豪雨災害に関する被害状況や現在の対応状況等について、御報告とお詫びを申し上げます。
去る八月十日夜からこれまでに経験したことのない大雨により、本県では四名の尊い命が失われ、依然一名の方が行方不明となっております。
まずもってお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、依然として行方不明となっておられます方が一刻も早く発見されますことを願っております。
また、改めまして今回の豪雨災害により被災された皆様方に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。
本市の被害状況といたしましては、八月三十一日十五時時点において、人的被害が七件、道路に関する被害は冠水等二百二件、河川等に関する被害は十五件、その他、土砂災害等の被害が三百十九件となっております。
また、住家被害については、八月二十九日時点の罹災証明書発行件数が千百七十七件、内訳として、床上浸水六百一件、床下浸水四百九十件などとなっております。
本市の対応としましては、被災された方々への迅速な罹災証明書の発行や家電四品目を含めた災害ごみの収集等をはじめ、日本カーシェアリング協会と連携し、被災された方へ車の無償貸出を開始するなど、スピード感をもって被災者支援に取り組んでおります。
この他、既存の被災者支援策に加え、この度の被害状況に合わせた本市独自の支援策につきましても、検討を進めており、本定例会に関連予算案を追加提案させていただきたいと考えております。
一方、この度の大雨では、一部地域において、サイレン吹鳴の遅延や排水機場の停止などの事案が発生したことに対しまして、議員各位をはじめ、市民の皆様に対し、深くお詫び申し上げます。
改めて原因や経過を検証し、今後、どのような状況にあっても確実に機能するよう、早急な対応を指示いたしました。
本市としましては、市民・事業者の皆様の生活と生業を早期に再建できますよう、国や県、関係団体と連携し、全庁一丸となって最大限の支援を行ってまいりますので、議員各位におかれましては、引き続き御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
次に、熊本地震十年関連事業について御報告いたします。
来年は、平成二十八年熊本地震の発生から十年という大きな節目を迎えます。
この節目の年に、犠牲となられた方々への追悼の想いを胸に、これまでの復旧・復興の歩みを振り返りますとともに、復興を支えていただいた全ての方々への感謝の想いを込めて、「支えられた日々を、支え合う力に。」を全体コンセプトとして、様々な取組を進めてまいります。
この言葉には、これまで国内外の多くの皆様からいただいたご支援や地域における支え合いを胸に、今度は私たちが誰かを支え、助け合う社会を築いていきたいという強い願いを込めており、このたびの豪雨災害を受け、その想いを一層強くしたところです。
この理念に基づき、熊本地震の最大の教訓でもある「地域のつながり」を核としながら、「犠牲になられた方々への追悼と想いの継承」、「復旧・復興の歩みの振り返り」、「未来への教訓等の伝承」、「支援への感謝と恩返し」を基本方針とし、年間を通じて事業を企画・展開してまいります。
今定例会では、関連事業の予算案を提出しており、今後も段階的に補正予算や令和八年度当初予算として提出を予定しております。
これらの事業を通じて、熊本地震から得た教訓を改めて心に刻み、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、全力を尽くしてまいります。
それでは、提出議案について、説明に入らせていただきます。
今回の補正予算案は、先ほど申し上げました熊本地震十年関連分に要する経費をはじめ、学校給食調理室に対する空調整備に要する経費など、今後の業務推進上、速やかに対応する必要があるものを計上しております。
まず、補正予算案の概要について申し上げますと、一般会計において二十九億八千七百三十三万円の増額、補正後の予算額四千二百三十一億六千八百八十一万円、特別会計において千二百三十七万円の増額、補正後の予算額二千四百七十一億二千六百六十八万円、企業会計において七十九万円の増額、補正後の予算額九百五億九百十二万円となり、全会計の合計では補正額三十億四十九万円、合計の補正後予算額は七千六百八億四百六十一万円となりました。
補正後の予算を前年同期と比較しますと、一般会計では四・九%の増、特別会計では二・〇%の増、企業会計では五・三%の増、全会計の合計額では四・〇%の増となっております。
主な内容について申し上げますと、まず、先ほど御報告いたしました熊本地震十年関連分の補正予算の内容について分野別に申し上げます。
まず、政策部門では、熊本地震からの復旧・復興の歩みや十年関連事業の概要等を発信するパンフレット作成に要する経費のほか、熊本地震の記録映像集の制作に向けた映像等の収集に要する経費などを計上しております。
次に、文化市民部門では、熊本地震発災時の記録等を用いた市民公募作品展覧会の開催に要する経費を計上しております。
次に、経済観光部門では、熊本地震からの復旧・復興を発信するイベントの開催に要する経費のほか、熊本城を中心とした年間を通した復興イベントの開催等に係る業務委託に伴う債務負担行為などを計上しております。
最後に、農水部門では、復興マルシェ等の開催に係る業務委託に伴う債務負担行為を計上しております。
続きまして、熊本地震十年関連分以外の補正予算の主な内容について申し上げます。
まず、政策部門では、水防活動に必要な土のうの作製及び運搬等に要する経費のほか、新庁舎整備に係る地質調査に要する経費を計上しております。
次に、健康福祉部門では、介護事業所と有償ボランティアのマッチング支援に要する経費のほか、障がい児支援事業所等におけるICT導入支援に要する経費を計上しております。
最後に、教育部門では、学校給食調理室への空調整備に要する経費を計上しております。
以上が、補正予算の歳出の説明でございますが、これを賄う財源として、それぞれの歳出に見合う国・県支出金等の特定財源や市債を計上しますとともに、一般財源として繰越金を充当しております。
続きまして、条例等の議案でありますが、主なものといたしまして、まず「熊本市職員定数条例の一部改正」について御説明いたします。
これは、交通局の会計年度任用職員である電車運転士等を常勤職員として雇用することに伴い、交通局の職員の定数を現行の九十人から二百四十人に変更するものであります。
次に、「熊本市公契約条例の制定」についてでありますが、これは、公契約の基本理念を定め、市及び事業者等の責務を明らかにするとともに、公契約に関する基本的な事項を定めることにより、市民に提供されるサービスの質の向上、適正な労働環境の整備及び事業者等の社会的評価の向上を図り、もって地域経済の健全な発展に寄与することを目的とするものであります。
その他の議案につきましては、末尾に簡単な理由を付しておきましたので、説明を省かせていただきます。
以上で説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。