危険物施設の定期点検の適正な実施について
1.定期点検とは?
危険物施設からの火災・漏えい事故は、平成6年頃を境に全国的に増加傾向に転じ、現在も高い水準で推移しております。また、その原因については、火災では管理・確認不十分等の人的要因が、漏えいでは腐食劣化等の物的要因によるものが多くなっております。
これら危険物施設において発生する火災、漏えいなどの事故は、人命や財産に大きな被害を及ぼすばかりでなく、環境汚染など周囲に多大な影響を与えることになります。そこで、施設の異常を早期に発見し、被害を最小限に留めるためには、日常点検はもちろん、「定期点検」を適正に実施することが重要です。
消防法では、一定の規模の施設に「定期点検」が義務付けられています。
2.定期点検が必要な施設について
消防法第14条の3の2では、定期点検の必要な施設の所有者等は、その施設を定期に点検し、点検記録を作成し、一定期間これを保存することを義務付けております。その一方で、これに反し、点検を実施せず、虚偽の点検記録を作成し又は点検記録を保存しなかった場合には、罰則が適用されることもあります。 なお、点検が必要となる施設は以下のとおりです。 <定期点検が必要な施設について>
施設区分 | 条件 |
製造所 | 指定数量の倍数が10以上 |
地下タンクを有するもの |
屋外貯蔵所 | 指定数量の倍数が100以上 |
屋内貯蔵所 | 指定数量の倍数が150以上 |
屋外タンク貯蔵所 | 指定数量の倍数が200以上 |
地下タンク貯蔵所 | すべての施設 |
移動タンク貯蔵所 | すべての施設 |
給油取扱所 | 地下タンクを有するもの |
一般取扱所 | 指定数量の倍数が10以上 |
地下タンクを有するもの |
○ 次の対象物は除きます。
・ 鉱山保安法第19条第1項の規定による保安規程を定めている製造所等
・ 火薬類取締法第28条第1項の規定による危害予防規程を定めている製造所等
・ 移送取扱所のうち、配管の延長が15kmを超えるもの及び配管に係る最大常用圧力が0.95Mpa以上で、かつ、配管の延長が7km以上15km以下のもの
・ 指定数量の倍数が30以下で、かつ、引火点が40度以上の第4類の危険物のみを容器に詰め替える一般取扱所(地下タンクを有するものを除く。) |
3.定期点検記録表
具体的な点検内容等については、総務省消防庁から「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」(平成3 年5 月28 日付け、消防危第48 号消防庁危険物規制課長通知)により示されております。
※屋内(外)消火栓設備、泡消火設備、二酸化炭素消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、自動火災報知設備、パッケージ型泡消火設備、固定式泡消火設備及び電気防食施工施設の各定期点検は、製造所等の定期点検と併せて実施し、定期点検記録表も一緒に保管して下さい。 ※定期点検記録表・点検表については、こちら をご覧ください。
4.具体的な実施項目
点検すべき内容 | 位置、構造及び設備が技術上の基準に適合しているか否かについて実施(※1) |
点検を実施することができる者 | ・危険物取扱者
・危険物施設保安員
・危険物取扱者(甲種又は乙種)の立会いを受けた者
※ただし、地下貯蔵タンク、地下埋設配管、移動タンク貯蔵所の漏れの有無等を確認する点検については、規則第62条の6により「点検の方法に関する知識及び技能を有する者」が実施しなければなりません。 |
点検の実施時期 | 1年に1回以上
○ ただし、以下についてはこの限りではありません。
(1) 1,000kℓ以上10,000kℓ未満の屋外タンク貯蔵所の内部点検・・・・・・13年に1回以上
(2) 移動タンク貯蔵所の構造(水圧試験に係る部分に限る)の点検・・・・・5年に1回以上 (屋外タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所の他の部分については原則どおりです。)
また、地下貯蔵タンク、地下埋設配管の漏れの点検は、設置後15年以内のもの及び必要な措置を講じたものについては、3年に1回以上となります。 |
点検記録の記載事項 | ・点検を実施した製造所の名称
・点検の方法及び結果
・点検年月日
・点検を行った危険物取扱者若しくは危険物施設保安員又は点検に立ち会った危険物取扱者の氏名 |
点検記録の保存期間 | (1) 1,000kℓ以上10,000kℓ未満の屋外タンク貯蔵所の内部点検・・・・・・・・・原則26年
(2) 移動貯蔵タンクの漏れに関する点検記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10年
(3) 上記以外の点検記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3年 |
(※1)具体的には、総務省消防庁から「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」(平成3年5月28日付、消防危第48号消防庁危険物規制課長通知)により、施設区分ごとに定期点検が示されており、この点検記録表の項目について点検します。 5.特定の施設に定められている点検項目
災害発生防止の観点から、一定の施設については、定期点検記録表の項目を補完する点検を実施しなければなりません。
該当する施設は、一定の屋外タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、地下貯蔵タンク(地下埋設配管)を有する施設です。 また、地下貯蔵タンク及び地下埋設配管を有する施設においては、地下埋設箇所に腐食劣化による穴が生じ、危険物が流出する事故が多く発生しています。地下埋設箇所は、目視では発見することができないため、「漏れの点検」の実施が定められています。 ⇒ 「漏れの点検」については、漏れの点検のリーフレットをご確認ください。
6.定期点検で異常が発見された場合は? 定期点検で異常が発見された場合、又は技術上の基準に適合しない状態が判明した場合は、速やかに改修を行う必要があります。変更工事の内容によっては、工事前に変更許可申請や軽微変更の届出が必要となる場合がありますので、事前に施設を管轄する消防署指導課にて確認してください。 <経年劣化による腐食孔の例> 
7.日常点検の重要性 事故の未然防止や異状の早期発見には、定期点検(法定点検)のみならず、日常点検(自主点検)を行うことが有効です。設備機器の不具合の中でも、特に腐食劣化による危険物の漏えい事故が多く発生しております。よって、始業時、終業時等に設備機器点検や危険物の在庫管理を実施し、事故の未然防止に努めましょう!! 
8.問い合わせ先 受付窓口 | 住所 | 連絡先 | 管轄区域 | 中央消防署 | 熊本市中央区大江3丁目 1番3号 | 096-364-2894 | 熊本市中央区(一新・慶徳・五福・向山校区を除く。) | 東消防署 | 熊本市東区東町4丁目 6番17号 | 096-367-6315 | 熊本市東区 | 西消防署 | 熊本市中央区米屋町1丁目 12番地1 | 096-353-5028 | 熊本市西区、熊本市中央区(一新・慶徳・五福・向山校区に限る。) | 南消防署 | 熊本市南区平田2丁目 13番1号 | 096-212-0303 | 熊本市南区 | 北消防署 | 熊本市北区四方寄町514番地1 | 096-327-2020 | 熊本市北区 | 益城西原消防署 | 上益城郡益城町大字寺迫 202番地1 | 096-286-2298 | 上益城郡益城町、阿蘇郡西原村 |
平成28年4月1日から消防署の管轄区域が変わりました! 9.その他 定期点検に関するリーフレットは、以下からダウンロードしてください。
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