1 飲用井戸とは
地下水、湧水を水源として、飲用水を供給する井戸等の供給施設をいいます。飲み水として全く使用しないもの(消火用水、工業用水等)は飲用井戸には該当しません。また、飲用井戸には、一般飲用井戸(注1)と業務用井戸(注2)があります。 また、飲用水等として使用する水量が一定水準を越えると水道法に定める専用水道(注3)に該当する場合があります。
注1 一般飲用井戸
個人住宅、寄宿舎、社宅、共同住宅等で、そこに居住している人に井戸水等を飲用として供給している施設です。
注2 業務用飲用井戸
官公庁、学校、病院、店舗、工場、その他事業所等で井戸水等を飲用として供給している施設です。
注3 専用水道
共同住宅や病院、学校など大きな建築物で井戸水などを飲用水等として一日あたりに使用する量(最大給水量)が20立方メートルを超える場合や100人を超える者にその居住に必要な水を供給する場合などは専用水道に該当します。専用水道は水道法の適用を受け、敷設の際には保健所の確認が必要です。また、定期的な水質検査も義務付けられています。
詳しいことは、熊本市保健所生活衛生課(電話番号364-3187)までお問い合わせ下さい。
3 飲用井戸を新たに使用する際の注意
地下水等を新たに飲用井戸として使用する場合は、必ず水道法に定める51項目の水質検査を受け、飲用に適することを確認しましょう。ただし、塩素による消毒設備を設けていない場合は、消毒生成物(塩素酸、クロロ酢酸、クロロホルム、ジクロロ酢酸、ジブロモクロロメタン、臭素酸、総トリハロメタン、トリクロロ酢酸、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム及びホルムアルデヒド)の項目は除きます。
なお、飲用井戸を設置された場合は、「熊本市小規模受水槽水道及び飲用井戸の衛生管理に関する指導要綱」に基づき、飲用井戸設置報告書(様式第2号)の提出をお願いいたします。
4 水質検査について
地下水等は周囲の利用状況、時間の経過等により、水質が変化する可能性があります。1年に1回は水質検査を受けて、飲用に適していることを確認しましょう。定期検査の他にも、水の色や濁りなどに注意し、異常を認めた場合は飲用を中止しすぐに検査を受けましょう。
5 水質検査の依頼先
熊本県内で水道法による登録を受けた水質検査機関のうち、熊本市近傍に検査施設を有する機関は次のとおりです。
名称 | 所在地 | 電話番号 |
株式会社再春館安心安全研究所 | 熊本市中央区帯山四丁目17-1 | 096-385-1222 |
株式会社野田市電子 | 熊本市中央区世安二丁目1-16 | 096-322-0167 |
株式会社三計テクノス | 熊本市東区御領五丁目10-20 | 096-388-1222 |
株式会社MCエバテック | 宇土市北段原町230 | 0964-22-4790 |
検査機関によって、検査費用等が異なりますので、事前に検査機関にご相談下さい。
6 水質基準の項目と意味
主な水質検査の項目については、次のとおりです。
ただし、地域によってはこれら以外にもフッ素、ホウ素やヒ素などその他の項目で基準を超過する場合がありますので、詳しい検査項目については、熊本市保健所生活衛生課( 364-3187)にお問い合わせ下さい。
濁度
2度以下であること。
濁りの指標です。濁度が高い水は病原微生物や健康に有害な物質が含まれる場合があります。
色度
5度以下であること。
水の色を表す指標です。高い値の場合は金属イオンによる着色や、汚水の混入等の影響を受けている場合があります。
臭気
異常でないこと。
カビ臭や有機化合物による汚染により発生する可能性があります。
味
異常でないこと。
金属イオンや有機化合物、カビなどの影響が考えられます。
pH値
5.8以上8.6以下であること。
地下水は、pHの変化が少ないので、急激に変動した場合は汚水の混入等の影響を受けている場合があります。
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
10ミリグラム/リットル以下であること(うち亜硝酸態窒素は0.04ミリグラム/リットル以下であること)。
自然な状態でも含まれていますが、肥料や生活排水などの影響を受けて濃度が上がることがあります。
塩化物イオン
200ミリグラム/リットル以下であること。
自然な状態でも含まれていますが、排水等の汚染に影響されている場合もあります。
有機物(TOC)
3ミリグラム/リットル以下であること。
汚染された水ほど高い値になるので、水質汚染の重要な指標の一つです。
一般細菌
1ミリリットルの検水で形成される集落数が100以下であること。
自然界に存在する細菌ですが、値が低いほど好ましい状態です。
大腸菌
検出されないこと。
動物等の腸内に生息する細菌です。検出される場合、糞便による汚染の可能性があります。
7 日頃の点検・管理
飲用井戸は大雨や地震などで水質が変化したり、汚水が混入したりする可能性がありますので、次に従い日頃から井戸や貯水槽(設置されているものに限る)の点検・管理を怠らないようにしましょう。
・飲用井戸の設置者は、1年に1回以上水質検査を行いましょう。(民間業者に依頼し、費用は自己負担になります)特に大雨や地震の後はすぐに井戸水の水質検査を行い、衛生的であることが確認されるまでは飲用を控えてください。
・貯水槽がある場合は、1年に1回以上貯水槽の清掃を行いましょう。
・飲用井戸やその周辺に人や動物が近づくと汚染の原因となります。柵や鍵で防止するようにしましょう。
・飲用井戸やその周辺を定期的に点検しましょう。虫や有害物、汚水などが入る余地がないことを確認しましょう。
・消毒設備を設けている場合は、蛇口における消毒成分の濃度が適切か、消毒液が不足していないか、気泡や詰まりがないかなどに注意しましょう。