〜 文化芸術の力を市民に届け、市民が身近に文化芸術に親しめるまちづくりを推進〜
熊本市と国立大学法人東京藝術大学(東京都台東区、学長:日比野 克彦、以下東京藝術大学)は令和7年3月14日、「熊本市におけるアートをいかしたまちづくりに係る連携及び協力に関する協定」を締結しました。
熊本市では、令和5年に市民の暮らしと文化芸術を結びつける「文化顧問」を設置し、東京藝術大学の日比野学長に就任いただいています。市が抱える様々な課題に対し助言をいただくとともに、東京藝術大学の履修プログラムを取り入れた市職員の人材育成等を行っており、文化芸術を活用し多面的なアプローチを行うことで、多様化する住民ニーズへの対応や複雑化した社会課題の解決を図るために、連携した取組を進めてきました。
今回の協定締結により、熊本市と東京藝術大学双方がもつ資源や知見を活用し、文化芸術がもつ創造性や包摂性をまちづくりにいかすことで、異なる価値観をお互いに認め合い、市民一人ひとりが心豊かな生活を楽しむことのできる持続可能でウェルビーイングなまちの形成を目指します。
大西市長
「文化芸術(アート)は、まちづくり等いろいろな面で、これまで解決できなかった課題に対し、新たなアプローチを見出したり、人と人とをつなげたりするものだと思います。ぜひ、市民の皆様と一緒に、この”アートをいかしたまちづくり”を進め、共に良いまちをつくっていけたらと思いますのでよろしくお願いいたします。」
日比野学長
「東京藝術大学も全国の様々な自治体・企業・大学との連携を行っており、熊本市の中でも東京藝大が行っている次なる時代の芸術の役割というものを先進的に進めていければと思います。「地域の特性=そこに住む人々のその人らしさ」だと思います。アートの一番の特性である”その人らしさを発信していく力”をこのまちづくりにいかしていけるように、熊本市で東京藝大と熊本市と地元の大学である熊大、美術の発信拠点でもあります熊本市現代美術館などとも連携しながら進めていきたいと思っております。」
協定の連携・協力事項
(1)アートの特性を取り入れた思考を育む人材育成・人事交流に関すること
(2)暮らしとアートを結びつける取組に関すること
(3)その他、文化芸術の振興に関すること
今後の取組(予定)
□文化的処方の実践・研究
東京藝術大学で進められている「文化的処方」を熊本市のまちづくりに取り入れ、実践・研究を行います。文化的処方とは、文化芸術の活用によって、健康やウェルビーイングを地域や社会ぐるみで推進しようとする取組のことです。アートを介して人と人、人と地域をつなぐ人材の育成や、人や地域がつながることによって新たな価値や関係を生み出す取組が進められています。
少子高齢化や在住外国人の増加等により地域コミュニティのつながりが希薄化する中、アートのもつ人と人とをつなぐ力を活用することで、地域住民同士があたたかく緩やかなつながりをつくり、一人ひとりがいきいきと暮らせるまちを目指します。
□人事交流
熊本市職員を東京藝術大学へ派遣し、東京藝術大学で実施している、アートの価値や社会における役割の研究・実践について学びます。幅広い視野で柔軟な発想ができるアート思考などの多面的なアプローチを習得し、複雑化する社会課題の解決や、アートをいかしたまちづくりに貢献できる人材を育成します。
これまでの取組
□熊本市職員向けDOOR研修
東京藝術大学で実施している、「アート×福祉」をテーマに「多様な人々が共生できる社会」を支える人材を育成するプロジェクトである「DOOR」プロジェクトを熊本市職員向けにアレンジし、令和5年度から実施しています。 ダイバーシティ(多様性)がテーマの講義と、ケアや医療、福祉について考える講義があり、現代社会に生きづらさを感じている当事者や、表現者、専門家のお話を聴き、自らの思考を深めていきます。またワークショップでは、熊本市現代美術館と連携し、熊本市の地域性や独自の取組をいかしたオリジナルのプログラム実践演習を行っています。研修をとおして、スキルや知識の習得だけではなく、文化芸術からもたらされる多様性や包摂性を身に付け、また、心が動いて視野や思考が広がる感覚を実感するとともに、それを周囲の人にも伝播できるような人材を育成しています。