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児童扶養手当受給の相談において、受給資格要件を誤って伝えたため、児童扶養手当の受給ができなくなるという事案が発生しました。関係者の皆様には深くお詫びを申し上げるとともに、今後、このようなことがないよう、再発防止に努めてまいります。
1 事案概要
諸事情により親に代わって児童を養育することとなった親族A氏が、児童扶養手当等の受給相談で来課され、「児童との養子縁組を検討している。児童の祖父母、もしくは養育している親族A氏のどちらと養子縁組をしても、親族A氏は児童扶養手当を受給できるか。」という主旨の相談があった。この相談に対し、本来であれば「祖父母と養子縁組をした場合、児童には両親が存在することとなり、親族A氏は児童扶養手当を受給できない。」と回答すべきところ、当課職員は、「どちらと養子縁組をしても親族A氏は児童扶養手当を受給できる。」と誤った回答をしてしまった。その結果、親族は祖父母との養子縁組を選択し、戸籍上、祖父母が実父母と同じ扱いとなったことで、児童扶養手当の支給要件を満たさなくなり、親族A氏は受給できなくなったもの。
2 児童扶養手当の制度概要
父母の離婚等の理由で父または母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立を助け、児童の福祉の増進を図ることを目的とする。手当を受ける資格がある者は、日本国内に住所を有する次の(1)~(3)のいずれかに該当する者。
(1)対象児童※を監護している母
(2)対象児童※を監護し、かつこれと生計を同じくしている父
(3)対象児童※を養育している者(養育者)
※対象児童の要件など、詳しくは、別紙リーフレット「児童扶養手当とは?」を参照
3 対応の経緯
令和7年2月28日
児童を養育し始めた親族A氏と、児童の祖母が、児童手当などの手続きのために来所された。相談のなかで、親族A氏が児童扶養手当を受給したいが、児童の養子縁組を検討しており、児童の祖父母、もしくは養育している親族A氏のどちらと養子縁組をしても手当を受給できるか、とのお尋ねがあった。児童扶養手当担当者は、担当者間で相談した結果、親族A氏が養育しているという実態が上記の要件(3)に該当することから、「祖父母と養子縁組をしても親族A氏の受給には影響がない。」と回答した。
令和7年3月3日
親族A氏と、児童の祖母が再び来所され、区民課にて、祖父母との養子縁組を届け出られた。
令和7年3月28日
祖母から、児童扶養手当申請手続きの件で電話問い合わせがあり、担当者は、対応する中で、祖父母と養子縁組をしたことで、戸籍上の両親が揃うことになると気づいた。事業主管課(以下、主務課という)であるこども支援課に確認したところ、児童扶養手当の認定は難しいとの認識であったが、祖父母と養子縁組したことで両親が存在するものの、児童の養育・監護を親族A氏が担っている実情を鑑み、支給認定の可否について県に照会をかけ、県から国にも照会を依頼された。
令和7年4月22日
国の見解を踏まえた熊本県こども家庭福祉課からの回答でも、認定はできないとの回答であったため、改めて親族に謝罪を行った。親族からは、謝罪で済まされる問題ではないとのご意見を頂いた。
4 判明後の対応
・今後の対応として親族のご意向を確認したところ、祖父母との縁組解消を行い、完了後に児童扶養手当の申請を行うこととなった。
・本市の対応誤りに起因してご親族にご迷惑をおかけしたことを重く受け止め、児童を養育する親族A氏に対して、案内誤りがなければ本来受給できた児童扶養手当相当分について、市として賠償するということで相手方から了承を得、損害賠償の手続が完了した。
5 原因究明
(1)担当者は、当該業務を担当して1年目であり、初めて対応する相談内容だったにも関わらず、制度上の要件を正確に確認せず、「受給資格要件の(3)児童を養育している者に該当しており、親族A氏の養育の実情を総合的に判断して支給可能」と誤認した。誤認の原因としては、担当者間で口頭にて情報を共有するにとどまり、組織内での情報の整理や可視化ができでいなかった。
(2)上司や主務課に判断の妥当性について相談・確認するという、組織管理体制が不足していた結果、事務処理ミスを未然に防止する機能が働いていなかった。
(3)児童扶養手当制度は、戸籍など多岐にわたる高度な知識を必要とするにも関わらず、計画的かつ実践的な研修が十分ではなかった。
6 再発防止策
(1)「相談対応票」を作成し、複雑な内容の問合せや相談内容、判断根拠・回答内容案等を記録し可視化する。記録後は速やかに班長以上のラインへ共有し、事務処理ミスの未然防止に繋げる。
(2)制度主務課において、5区が疑義事例に対する国や県の見解を容易に確認できる仕組みを整えることで、複雑な事例や制度に関する疑義について、速やかに情報共有し事務処理ミスを防止する。
(3)制度理解のための研修に加え、養子縁組などの複雑なケースを交えた研修を主務課とともに実施する。