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令和7年(2025年)11月4日に、熊本市内の医療機関から熊本市保健所に対してHUS(溶血性尿毒症症候群)を発症した腸管出血性大腸菌感染症患者の届出が提出されました。患者は熊本市在住の女性(4歳)です。熊本市保健所に腸管出血性大腸菌感染症患者として発生届出があったものは今年21例目で、HUSを合併した熊本市在住者は1例目です。
○ HUSは、様々な原因によって生じる血栓性微小血管炎(血栓性血小板減少性血管炎)による急性腎不全であり、発症した患者の致死率は1~5%とされています。
○ 今回の感染経路は不明ですが、腸管出血性大腸菌感染症は汚染食品からの感染が主体であるため、調理や食事前の手洗い、食品の十分な加熱(75℃で1分以上)、調理器具の洗浄等の注意が必要です。
1.患者
女性(4歳)、熊本市在住
2.経過
10月29日 発熱(37.1℃)および下痢、腹痛、食欲不振等の症状あり。
10月31日 症状継続に加え、新たに血便が出現したため、医療機関Aを受診。当日は帰宅。
11月 2日 さらに嘔吐の症状が出現したため、再度医療機関Aを受診し、入院。同日HUS発症を確認。
11月4日 便検査の結果、腸管出血性大腸菌O-157の感染とベロ毒素を確認。入院治療継続中。同日、医療機関Aより、熊本市保健所へ発生届の提出あり。
3.腸管出血性大腸菌感染症発生状況
全国 3,748件、熊本県 63件、熊本市 20件 ※令和7年(2025年)第1~44週(1月1日~11月2日)時点
4.腸管出血性大腸菌感染症について
【原因】ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌に感染することで起こります。感染力は強く、わずか50個程度の菌数で発症する可能性があります。
【感染経路】腸管出血性大腸菌で汚染された食物などを摂取することによって起こる「食中毒」が主体です。また、ヒトからヒトへの2次感染(経口感染)もあります。
【症状】多くの場合、3~5日の潜伏期をおいて、激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に血便が見られます。発熱は多くの場合37℃台です。発症者の6~7%に溶血性尿毒症症候群(HUS)※や脳症などの重篤な合併症が起こります。
※溶血性尿毒症症候群(HUS)とは
様々な原因によって生じる血栓性微小血管炎による急性腎不全であり、(1)破砕状赤血球を伴った貧血、(2)血小板減少、(3)腎機能障害を特徴とします。HUSの初期には、顔色不良、乏尿、浮腫、意識障害等の症状が見られます。腸管出血性大腸菌感染の重症合併症の一つであり、こどもと高齢者に起こりやすいのでこの年齢層の人々には特に注意が必要です。
5.予防のポイント
(1) トイレの後や調理前に、石鹸と流水で丁寧に手洗いをする。
(2) 生で食べる野菜などと、加熱する肉などを一緒に調理しない。まな板や包丁などを別々にする。
(3) 加熱調理を十分に行う。(中心温度75℃1分間以上)
(4) 調理器具を清潔に保つ。
(5) 焼肉等をするときは、肉を焼く箸と食べる箸を別々にする。
(6) 井戸水などを飲む場合は、必ず沸騰させる。