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人口減少時代における新しい地域経営とは(都市政策研究所第40回講演会講演録)

最終更新日:
(ID:68499)

概要


第40回講演の様子

開催概要
【日時】令和7年(2025年)7月25日(金曜日)
    14時30分~16時30分(14時 開場)
【会場】桜の馬場観光交流施設(城彩苑) 多目的交流施設

講演
【演題】人口減少時代における新しい地域経営とは 
【講師】熊本大学 副学長・教授(研究開発戦略本部) 
    金岡 省吾 氏
【講演録】 


研究員報告

【テーマ】小地域における​住宅供給および地域特性と​年齢階級別転出入者数の関連​
【報告者】熊本市都市政策研究所 研究員 山中 雄登

講演要旨


人口減少時代の地域経営と産学官金連携


 熊本大学の地域連携戦略部門では、県内13校・約2,300人の高校生に今日話す内容を伝えてきました。講演で高校生に聞くと、地元で活躍したい生徒は約5%にとどまり、熊本市や福岡、東京、海外で活躍したい生徒が多数です。この意向は地域の人口動態に大きく影響します。

 地域の課題は人口減少、ひいては消滅の可能性にどう挑むかです。表題の「地域経営」は、人口減少下で地域をどう元気にし、どう戦うかという意味です。かつては規模拡大による生産性向上が重視されましたが、現在は課題解決や雇用維持に焦点が移っています。したがって「産学官金」が連携し、新しい地域活性化モデルを考える必要があります。そのためには「パーパス(組織が社会の中で果たす役割や存在意義)」など、経営戦略を自ら考えることが求められます。農林水産省など国の各省庁でもこうした動きがあります。

 産学官金連携の主役は地域の小規模企業です。例えばA市の信用金庫によれば、同市には約3,000社あり、その約6割は事業承継者が未定です。これは地域企業の存続に不安があることを意味します。しかし、そのような状況の中でも、小規模企業は地域課題に立ち向かい「ローカルイノベーターの卵」として奮闘しています。

 地方創生は10年前に始まりました。私たちが取り組む小規模企業の人材育成を目的としたリカレント教育は、富山から始まり、熊本から全国へ広がろうとしています。産学官金が連携し「第二創業」を支援するプロジェクトを展開し、県内外にノウハウを広げている点が国からも面白いと評価されています。


人口動態の変化と地方創生の課題   


 人口増加時代の地域づくりは、中心点をつくり周辺へ効果を波及させる外発型開発(インフラ整備や企業誘致)が中心でした。しかし人口減少時代に入り、従来政策の前提が崩れました。日本創生会議は「消滅可能性都市」の概念を提起し、2040年までに全国約半数の市町村が消滅する可能性を予測しました。これに対応し、地方創生政策が始まりました。

 住民基本台帳の転入超過数を見ると、毎年11~12万人規模で地方から東京圏に転入し、一極集中が続いています。仕事も大学も東京に集中し、若者は進学後に戻らず、結果として出生率が低下します。

 熊本県の人口も2000年頃まで増加しましたが、その後減少に転じ、熊本市でさえ減少が予測されています。

 大学進学時の流出は昭和46年には東京に集中していましたが、現在は「札仙広福」など地方中枢都市への進学が増えています。熊本は県内進学率が高く、東京への進学率は7%程度、福岡は14%程度です。東京だけでなく福岡などへの流出対策も重要です。

 私は若者が地域を出ること自体は悪いことではないと思います。問題は、出た後に「戻りたくない」「住みたくない」と思われることです。このイメージをどう変えるかが地方創生のテーマです。

 人口が減ると学校や店、公共交通が維持できず、高齢者の買い物困難、鳥獣害など問題が発生します。人口減少時代にどう地域を経営するかが問われています。


地域課題解決の実践と若者の意識変化


 地域課題に向き合うには、地域の人が立ち上がることが重要です。私たちは市役所を中心に若者を集め、金融機関と連携し「起業増加町の醸成」や「小さな拠点づくり」を進めています。

 熊本大学は県内外で、事業承継を目指す若い経営者などを対象に「未来創造塾」を開催しています。人口減少や地域課題の講義後にディスカッションするPBL(課題解決型学習)形式で「自分たちに何ができるか」を考えるプログラムを実施しています。このような取組は「CSV」や「パーパス」という言葉で表せます。

 ある地域ではイノシシ被害対策で若者の捕獲により年間90頭を減らし、食材活用や解体処理場を設置し、フレンチ料理人や外部人材との共創に発展しました。クラウドファンディングで「地域にイノベーションを起こす拠点を作る」と発信すると、都会の人が「住みたい」と感じ、都会の企業も応援してくれるようになりました。彼らは「地域課題はピンチではなくチャンスだ」と語ります。こうしたつながりを「クラスター」と呼びますが、企業と地域課題を重ね合わせ共に解決する「共創」が重要なのです。

 大手企業にも地域課題をビジネス機会と捉える動きが広がっています。国もITや技術革新を取り入れた「未来型小さな拠点」構想を掲げていますが、企業が現場を理解しなければ実現は困難です。補助金頼みでは持続しないので、理論と実践をすり合わせた小さな取組の継続が重要です。

 では、この動きを見た大学生・高校生はどう感じているのでしょうか。最近では企業の採用姿勢も変わり、地方創生を打ち出す企業が増えています。熊本大学でも地方創生の講義があり、600人以上の学生が参加しています。事例を紹介すると、レポートには「地方で働くのはダサいと思っていたが、意外と面白い」という反応が見られます。

 皆さんもこれを機に地方創生について説明できるようになってください。地域課題の解決はダサくない。むしろ、かっこいい。高校生も「クールだ」と言っています。

 理工系でも人文社会系でも、どんな職業でも人口減少下での地域課題の解決に貢献できます。将来、どこで誰と共創するかは皆さん次第です。ぜひ地域について考えてもらえればと思います。


※講演会要旨の文責は都市政策研究所にあります。
※内容の詳細は講演録をご覧ください。

    【アンケート結果】
     当日参加者の皆さまにご協力いただいたアンケートの結果を掲載します。
     (自由記述の回答などの一部は除いています。)




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