目的
熊本市では、文化芸術がつなぐ社会的な関係が、人を孤独から救い、人々に生きる力を与え、ウェルビーイングの向上に寄与すると考えています。この考え方を市職員の施策やまちづくりにいかすため、文化リンクワーカー育成講座を実施します。
文化リンクワーカーとは?
文化リンクワーカーは、文化芸術を活用して人と人、人と地域をつなぎ、ときに自ら文化的処方の活動の場をつくり出す役割を担います。
- 対象者のお話を丁寧に伺い、その人に合う文化資源(人・場所・活動)につなぎます。
- 文化芸術を介したコミュニケーションで、気軽に安心して話せる関係づくりを大切にします。
- 必要に応じて、自らワークショップやアートプログラムを企画・実施するなど、文化資源として“つながる先”にも関わります。
- 文化芸術とのつながりを通して、孤独の緩和や生きがいづくりなど、ウェルビーイングの向上をめざします。
令和7年度の活動
文化リンクワーカー育成講座スケジュール(全7回:講義4回、演習3回)
9月24日(水) 第1回講義 ガイダンス+文化的処方とは
10月23日(木) 第2回講義 きく力
11月7日(金) 第3回講義 対話力(対話型鑑賞をとおして)
11月12日(水) 第1回演習 文化的処方のプランを考えてみる
12月5日(金) 第4回講義 地域での文化的処方の実践を知り、熊本での文化的処方を考える
1月14日(水) 第2回演習 実践演習
2月6日(金) 第3回演習 自分たちの職場で文化的処方を通して何ができるか?
文化リンクワーカー育成講座の様子
第1回講義 ガイダンス+文化的処方とは
日時:令和7年9月24日(水)
場所:熊本市現代美術館 ホームギャラリー
講師:伊藤達矢(東京藝術大学 社会連携センター 教授/ART共創拠点プロジェクトリーダー)、 田中一平(熊本大学 特任講師)
<内容>
文化芸術が人をつなぎ、ウェルビーイングの向上に寄与するという視点から、文化的処方の担い手となる文化リンクワーカー育成講座がスタートしました。東京藝大や熊本大学の講師による講義とワークを通して、文化的処方の基本的な考え方に触れました。
第2回講義 きく力
日時:令和7年10月23日(木)
場所:熊本市現代美術館 アートロフト
講師:森本祥司(レンタルなんもしない人) 進行:田中一平(熊本大学 特任講師)
<内容>
「レンタルなんもしない人」を講師に迎え、「なんもしない」というアプローチが生み出す「きく力」について学びました。レンタルさんの活動紹介をとおして、相手が自然と話し出す関係性のつくり方に触れ、文化リンクワーカーとして必要な傾聴の姿勢について考えました。
<受講生の感想をご紹介💡>
- 自己主張せず、相手の望みに寄り添うことが、相手を癒すことになっている気がした。
- 話したいけど話しにくいとき、レンタルさんのように自分のコミュニティ以外の人だったら、確かに話しやすくなるなと思った。
- 今まで伺ってきた傾聴に新たな視点や考え方が加わった。
第3回講義 対話力(対話型鑑賞をとおして)
日時:令和7年11月7日(金)
場所:熊本市現代美術館 アートロフト、ギャラリー(3)
講師:春日 美由紀(うるとらまりん主宰)
<内容>
きく力と同様に、対話する力も文化リンクワーカーに求められる重要な能力の一つです。全国的に対話型鑑賞の実践者として活動している春日さんを講師にお迎えし、対話型鑑賞をとおして“対話とは何か”について学びました。対話型鑑賞(※)で鍵となるのは、「よく観察すること」 と 「相手の話を丁寧に聞くこと」 です。これらの姿勢は、文化リンクワーカーが対象者と向き合ううえで不可欠であり、今回の研修はその能力を養う貴重な機会となりました。
※対話型鑑賞・・・絵画などの一つの作品を複数人で対話しながら鑑賞するという鑑賞手法
第1回演習 文化的処方のプランを考える
日時:令和7年11月12日(水)
場所:熊本市現代美術館 アートロフト
講師:藤原旅人(東京藝術大学)、古川実季(東京藝術大学)、田中一平(熊本大学 特任講師)
<内容>
一人ひとつ、実践してみたい文化的処方のプランを出し合い、その中から実践してみたい3案を選んで3グループを編成しました。次回の演習で実践するワークショップの準備を進めながら、文化的処方を自ら形にするプロセスを共有しました。
<第2回演習で、3つのワークショップを実践します!>
- あなたの♡(はーと)をつくりましょう
- 私の処方箋を処方します おみくじver.
- 熊本思い出プロジェクト
第4回講義 他地域での文化的処方の実践を知り、熊本での文化的処方を考える
日時:令和7年12月5日(金)
場所:熊本市現代美術館 アートロフト
講師:日比野克彦(東京藝術大学長・熊本市文化顧問・熊本市現代美術館館長)、水野友有 (中部学院大学 人間福祉学部教授・東京芸術大学共創拠点推進機構地域コーディネーター)/濱野かほる(東京芸術大学共創拠点推進機構地域コーディネーター・岐阜県美術館 普及業務専門職)
<内容>
岐阜県で文化的処方を実践する水野様・濱野様を招き、他地域での取組事例を学びました。岐阜と熊本の共通点や違いを考えながら、熊本だからできる文化的処方のあり方を探りました。
<受講生の感想をご紹介💡>
- 岐阜での文化的処方の実践を知り、様々な文化的処方の在り方を考える良い機会となった。
- 文化リンクワーカーの活動について、当初は漠然としたイメージしか持っていませんでしたが、岐阜県の事例を聞くことで少し具体的にイメージができました。
第2回演習 実践演習
日時:令和8年1月14日(水)
場所:熊本市現代美術館 アートラボマーケット
講師:藤原旅人(東京藝術大学)、山口萌(東京藝術大学)、田中一平(熊本大学 特任講師)
1.あなたの♡(はーと)をつくりましょう
日ごろから、ご自分の時間は後回しで忙しく過ごされているみなさんに、「ものづくり」の作業をとおして、自分だけの時間を過ごしていただくためのワークショップ!
2.私の処方箋を処方します おみくじver.
知らない誰かからの処方箋をとおして、新しい場所・モノ・コトを知り、その誰かとのつながりを感じるワークショップ!
3.熊本思い出プロジェクト
自分史を語り合いながら創作することで世代を超えた交流を育み、郷土・熊本への愛着を深めながら、さまざまな年代がゆるやかにつながる場をつくるワークショップ!
<ワークショップの様子をご紹介!>
3グループがそれぞれ企画したワークショップを実施しました。市民にも参加を呼びかけ、より実践的な形で文化的処方の演習を行いました。また、「実践を踏まえて、自分自身の職場でできる文化的処方のアプローチを考える」という課題も提示しました。最後の演習では、参加者それぞれがそのアイデアを発表します。
第3回演習 自分たちの職場で文化的処方を通して何ができるか?
日時:令和8年2月6日(金)
場所:熊本市現代美術館 アートロフト
講師:藤原旅人(東京藝術大学)、山口萌(東京藝術大学)、古川実季(東京藝術大学)、田中一平(熊本大学 特任講師)
<内容>
前回の課題として出していた「職場でできる文化的処方のアプローチ」を一人ひとり発表していただきました。さらにグループで意見を出し合い、グループごとに1つの文化的処方のプランとしてまとめました。
受講生の感想
- すぐにでも実践できることは多くあるように感じた!
- まだ、職員の間で文化的処方について浸透していない部分があるので、どのように説明し取り入れていくかが課題だと感じた。
- 実践形式の内容が多く、さまざまな課題に取り組むことで、自分自身の成長につながった!
- 技術職員として関わるインフラ整備や施設整備も、単に機能性や安全性を確保するだけではなく、「心の安心」や「社会的つながり」を生み出す視点が必要だと思いました。