令和8年(2026年)8月19日に開催された第2回熊本市震災復興本部会議にて熊本市震災復興基本方針を策定しました。
令和8年熊本地震 熊本市震災復興基本方針~熊本の力を結集し、くらしの再建と強靭な都市の創造へ~
1 基本的な考え方
本市は、10年前に平成28年熊本地震に見舞われ、これまで、市民力・地域力・行政力を結集し、着実に復旧・復興を成し遂げてきた。
この間、道路や橋梁、上下水道、公共施設等の耐震化をはじめとする都市基盤の強靱化を進めるとともに、各校区における避難所運営委員会や校区防災連絡会の設置など、地域防災力の向上にも取り組んできた。
そして、令和8年7月、熊本県内で最大震度7、熊本市では南区で最大震度6強を観測する地震が発生したが、これまでの取組により、インフラ施設等の被害の軽減が図られるとともに、地域における共助の力も発揮された。
一方で、住家被害や道路、公共施設、文化財、地域経済など、市民生活の幅広い分野に影響が及び、最大で2,487名が避難生活を余儀なくされた。
このような中、人命救助や避難環境の整備などの応急期から、被災者の生活再建などの復旧・復興期への移行に伴うニーズの変化や課題を踏まえ、迅速かつ的確に対応していく必要がある。
本市では、過去の震災の経験と教訓、被災者の声を踏まえながら、一日も早い市民生活の再建を最優先に、復旧・復興に全力で取り組んでいく。また、次の災害を見据え、熊本の力を結集し、都市基盤等の強靭化に係る取組を更に進めることで、より強くしなやかな都市を創造していく。
2 基本理念
(1)被災者の生活再建を最優先
復興の原点は、被災者一人ひとりの命と暮らしを守り、日常を取り戻すことである。被災者の生活再建を最優先に考え、既存の支援制度では十分に対応できない課題等も踏まえ、避難生活の早期解消と安定した住まいの確保をはじめ、心身の健康や福祉的支援など、暮らしの再建に必要な支援を切れ目なく一体的に進める。
(2)より強靭で安全・安心なまちづくり
平成28年熊本地震で得た教訓を生かし、市民、地域、行政が互いに支え合う力を更に高めるとともに、単に被災前の姿に戻す原状復旧にとどまらず、次の災害も見据えた都市基盤等の強靭化を図るなど、さらに災害に強く、誰もが安全・安心で暮らし続けられるまちを築いていく。
(3)県都として熊本全体の復旧・復興をけん引
復興を着実に進めていくためには、熊本市だけでなく県内全ての被災地の復旧・復興が重要であることから、政令指定都市であり、熊本連携中枢都市圏の中枢都市である本市は、本市以外の県内被災地への支援にも積極的に取り組む。
3 施策方針
(1)被災者一人ひとりに寄り添った生活再建支援
(1) 被災者の避難環境の改善や健康観察、見守り支援等に取り組み、在宅避難者等の二次災害及び災害関連死を防止する。
(2) 被災者一人ひとりの生活状況やニーズを把握し、支援を必要とする全ての被災者に対して、生活再建に向けたきめ細かな支援を行う。特に、南区など被害の大きい地域に、家屋調査、保健・福祉巡回等に人員を重点的に配置し、総合相談窓口及び巡回チーム等を組み合わせ、移動が困難な被災者にも必要な支援を届ける。
(3) 応急的な住まいの確保から恒久的な住宅再建まで、切れ目のない住まい再建支援を行う。
(4) 生活再建の目途が立った後においても、高齢世帯や子育て世帯等に対する必要な健康観察や孤立防止などの見守りを継続する。
(5) こどもの心身の発達等に及ぼす影響にも配慮し、心のケアを含め、きめ細やかに対応していく。
(2)都市基盤の更なる強靭化
(1) 二度にわたる大地震を教訓とし、災害に強く、誰もが安心・安全に暮らせるよう、上下水道施設や管路、橋梁等のインフラ施設、建築物の耐震性の向上、代替機能の確保策等を進め、災害前より安全で強靱な都市基盤を構築する。
(2) 大規模災害時においても、行政機能を維持し、市民の命とくらしを守る防災拠点施設の強靭化を着実に進めていく。
(3)災害対応力の強化と地域防災力の向上
(1) 災害対応の検証を行い、避難所運営や情報発信、要配慮者支援、物資供給、受援体制、庁内連携などの行政の災害対応力を強化する。
(2) 発災時における避難者情報の把握、情報発信、支援ニーズの把握等を迅速に行う防災DXを推進することで、市民サービスと災害対応力の向上を図る。
(3) EBPMの観点から全庁横断的なデータ分析を実施し、災害対応における課題や対応状況を多面的に検証するとともに、防災・減災対策の強化及び災害対応力の向上に資するエビデンスに基づく政策の方向性を明らかにする。
(4) 復興の過程そのものを、将来の災害への備えを強める機会と捉え、市民及び地域と連携し、地域防災力のさらなる向上を図る。
(4)地域産業の再生
(1) 被災した事業者の事業再建と雇用の維持・確保に向け、きめ細かな支援を実施するとともに、力強く再生する熊本の姿や地域の魅力の発信、消費需要の回復に資する各種復興事業の推進を通じて、地域経済の再生・活性化を図る。
(2) 観光関連需要の喚起を図るため、風評被害の解消に向けた観光施設等の正確な情報発信を行うとともに、県や関係機関と連携し、観光消費の回復に向けた国内外の誘客促進に取り組む。
(3) 農漁業者等の経営継続に向けたきめ細かな支援と農水産業関連施設の着実な復旧を行い、災害に強い農水産業への復興を推進する。
(4) 誰もが必要な保健・医療・福祉サービスを継続的に受けられる環境を確保し、市民の生命・健康及び暮らしを守るため、医療機関、高齢者施設、障害福祉施設等の事業継続に向けた復旧・再開を支援し、必要な医療・福祉サービスの継続的な提供体制を確保する。
(5)熊本城をはじめとした文化財の着実な復旧
(1) 熊本のシンボルである熊本城をはじめ、被災した文化財の復旧に取り組み、歴史や文化を次世代へ継承するとともに、地域の心の復興につなげる。
(2) 文化財の復旧過程の公開をはじめ、二度の熊本地震からの復興を遂げた本市の都市ブランドや魅力などを積極的に発信し、交流人口の拡大及び観光振興につなげる。
(6)過去の災害の経験と教訓を活かした復旧・復興のけん引
(1) 県都及び政令指定都市として、市域の復旧・復興に全力で取り組むとともに、県や県内市町村、国、関係機関と連携し、県内被災地への支援を行う。
(2) 職員派遣、物資支援、避難者受入れ、専門的知見の提供など、本市が有する都市機能と行政力を活かし、熊本全体の復旧・復興をけん引する。
(3) 二度の熊本地震や過去の災害の経験を通じて培った防災・減災の取組や復旧・復興の知見を体系的に整理し、全国へ広く発信することで、全国の災害に強いまちづくりに貢献する。
4 復興の推進に向けて
(1)震災復興本部の設置と復興計画の策定
・震災復興本部が復興方針の決定と進捗管理を担い、災害対策本部の急性期対応と緊密に連携する。
・復旧・復興事業については、施策ごとの進捗状況や課題を適切に管理・検証し、一体的に推進することで、各施策の着実な実施につなげる。
・本方針を基に、復興を着実に推進するための震災復興計画を策定する。
(2)国・県等との連携
・各施策について目標、工程及び成果指標を設定し、国や県の財政措置等を最大限活用して必要な財源と人員を確保する。
・既存制度では十分に対応できない課題や制度の狭間にある課題等については、国・県に対し、制度の創設・拡充や柔軟な運用を要望する。