慢性腎臓病(CKD)と糖尿病
腎臓は、常に多量の血液が流れ込んでいるため、血液や血管の状態にたいへん影響を受けやすい臓器です。
そのため、血管や血流に障害をきたす病気になると、腎臓の機能が低下し、CKD(慢性腎臓病)になりやすくなります。
糖尿病は自覚症状のないまま、じわじわと忍び寄る怖い病気です。
エネルギーのとりすぎ、運動不足、お酒の飲みすぎ、ストレスといった、生活習慣が主な原因とされます。
糖尿病患者はその予備群を含めて成人の4人に1人だと推計されています。
人工透析にいたる原因となる病気の第1位は糖尿病(糖尿病性腎症)です。
慢性透析患者 原疾患割合の推移
(出典:一般社団法人日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」2023年慢性透析患者に関する集計より)
糖尿病とはインスリンの不足や働きが悪くなることで、慢性的に血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなる病気です。
※1 インスリン:すい臓から分泌されるホルモンで、体の中で唯一、血糖値を下げる働きがある。食後、糖を細胞にとどける手助けをしている。
※2 ブドウ糖:ご飯やパンなどの炭水化物は消化され、ブドウ糖になり、体を動かすエネルギー源となる。血液の流れにのって体の細胞に運ばれ、筋肉や内臓で使われる。血糖値は、血液中にブドウ糖がどのくらいあるかを示すもの。

定期的に健康診断を受けているのに、糖尿病だとわからなかった。そんな「隠れ糖尿病」の方が増加しています。
病院や健康診断では、ほとんどが空腹時に採血をし、血糖値を測って糖尿病かどうか判断しています。しかし、空腹時に血糖値が上がるのは糖尿病がかなり進行した状態です。軽症の場合、食後2~3時間程度血糖値が上昇することが多く、糖尿病の診断からもれてしまう場合があります。この状態が「隠れ糖尿病」といわれます。気づかないうちに、いつのまにか重度の糖尿病に進行してしまう危険もあります。
あてはまるものはありませんか?
- 肥満気味
- 早食い・食事時間が不規則
- アルコールをよく飲む
- 脂っこいもの、甘いものが好き
- 運動不足
- ストレスが多い
- 家族に糖尿病の人がいる
血糖値を高いまま放置すると、余分な糖分が全身の血管や神経を痛めます。
合併症は糖尿病自体よりも深刻なため糖尿病は「全身の病気」とも呼ばれています。
(1)神経症 手足のしびれ、痛み。壊疽の原因にも。
(2)網膜症 眼底(網膜)の血管が詰まったり出血して、失明する場合も。
成人の中途失明の原因第2位です。
(3)腎症 人工透析の原因の第1位は糖尿病性腎症。
その他にも、脳梗塞、心筋梗塞、歯周病などの危険が高まります。
糖尿病を予防するには
糖尿病予防は、肥満の予防から。食事のバランス、運動不足の解消、減塩、節酒、禁煙など、生活習慣改善の心がけが大切です。
糖尿病の合併症は、血糖を良好にコントロールすることで発症を抑制できます。
糖尿病の発症早期には自覚症状がないことが多いので、定期的に検査を受けることが大切です。
糖尿病を調べる主な検査として、尿糖検査、空腹時や随時の血糖検査、そのほかHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)という値を調べる血液検査があります。
過去1~2ヶ月間の血糖値の平均を反映するとされ、糖尿病の診断に使われています。
HbA1c(NGSP)値が6.5%以上の場合は、糖尿病が強く疑われますので、主治医に相談しましょう。
糖尿病の早期発見・早期治療のために定期的に
検査を受けて数値を確認しましょう!