アタマジラミについて
お子さんの頭にアタマジラミを見つけたとしても、慌てることはありません。
正しい知識を持って適切な対処をしましょう。
アタマジラミは、接触の機会があれば誰にでもうつります。
人と人との接触や衣類などを介してうつることもあります。
特に小さな子どもたちが集団で遊んだり、同じ部屋で寝たり、寝具・衣類などを共用すると、それが感染の機会になることもあります。
清潔な暮らしをしているかどうかは関係ありません。
「不潔」、「だらしない」といった不用意な一言で子どもの心を傷つけないようにしましょう。
また、子ども達が仲間外れやからかいの対象とならないように十分に配慮して対応しましょう。
シラミの種類
日本で知られているシラミは40種類ほどいますが、動物に寄生するシラミがヒトへ寄生することはありません。
ヒトに寄生して吸血するシラミは、アタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミの3種類で、それぞれ潜伏場所が異なります。
種類 | 潜伏場所 | 大きさと体の特徴 |
アタマジラミ | 頭髪 | 2~3mm 灰白色、灰黒色 |
ケジラミ | 主に陰毛 | 1~2mm 蟹のような形 |
コロモジラミ | 体・衣類 | 2~4mm 淡黄褐色 |
アタマジラミの特徴
アタマジラミは季節を問わず発生し、卵→幼虫→成虫の順に成長します。
卵は髪に固着しているので、指でつまんでも簡単に取り除くことはできません。
幼虫と成虫は同じような形態をし、翅がないので飛んだり跳ねたりすることはできません。
ヒトの体から離れると7~72時間で死んでしまいます。
形態 | 外観 | 期間 | 特徴 |
卵 | 約1mm 乳白色 | 7~10日間 | 髪に固着する。 |
幼虫 | 2~3mm 灰白色、灰黒色 | 8~14日間 | 孵化した直後から吸血を始め、3~5回の脱皮を繰り返して成虫になる。 |
成虫 | 2~3mm 灰白色、灰黒色 | 約30日間 | 成虫期間に約100個の卵を産み付ける。 |
アタマジラミはヒトの頭部に寄生し、幼虫・成虫は頭皮から吸血します。
吸血された箇所は激しい痒みがありますが、感染症等を媒介することはありません。
アタマジラミの寄生経路
アタマジラミは寄生している頭や身の回りの物から、他の人の頭に移動することにより寄生が起こります。
次のような方法で寄生が起こります。
- 頭と頭が接触すること。
- 身の回りの物(寝具・帽子・タオル・ブラシなど)を共用すること。
- 他の人の衣類を重ねて置くこと。
アタマジラミの見つけ方
成虫や幼虫は頭部を動き回り、寄生数が少ないと見つけにくいことから、髪の根元に固着した卵を探してください。
卵は耳の後ろや襟足などの後頭部に多いです。
特に、身体を寄せ合って遊ぶことの多い小学生以下の子どもに多く見られます。
◆注意◆
髪に付着している白いものが全て卵というわけではありません。 髪には毛根部の皮膚がリング状に抜けたヘアキャスト(フケの一種)のほか、皮脂や整髪料の塊もあります。これらは指でつまんで簡単に取り除くことができるため、卵と区別することができます。 |
駆除の方法
アタマジラミを見つけても慌てる必要はありません。
次の方法を10日間ほど続けて、頭をチェックしてください。
症状が治まり、卵、幼虫、成虫が見られなくなれば、駆除は成功です。
効果がなければ、効果が確認されるまで駆除を続けましょう。
(1)洗髪と梳(す)きとり
- 成虫は、シャンプーを使用した洗髪時にブラシでブラッシングしながら洗い流して駆除します。
- 卵は、シャンプー後の髪にコンディショナーをつけ、目が細かい専用の「梳き櫛」を用いて髪の根元から卵を梳きとり除去します。
(2)駆除剤の使用
- 市販の専用駆除剤(パウダータイプ、シャンプータイプ)を使用して駆除します。製品に表示された使用方法をよく読んでご使用ください。
◆注意◆
- 卵には駆除剤の効果がありません。卵から孵化した幼虫・成虫を駆除するため、10日間ほど繰り返して使用する必要があります。(1)の卵の梳きとりと一緒に行うとより効果的です。
- 最近は、駆除剤に耐性のあるアタマジラミも見られます。適切な使用を続けても効果がなければ、使用をやめて、駆除剤を使用しない方法へ切り替えてください。
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(3)髪を切る
- 髪に固着した卵は「梳き櫛」を利用しなければ除去は難しいですが、卵の数がすくなければ、卵が付いている髪の毛を1本ずつ切り取る方法もあります。(1)や(2)の方法も髪が短い方が、対処しやすい場合もあります。
家族にアタマジラミが見つかったら
家族にアタマジラミが見つかったら、次のことに気をつけてください。
帽子、ブラシ、タオル、寝具等の取扱い
- 直接頭に触れる帽子、ブラシ、タオル、寝具等は共有しない。
- タオル、シーツ、枕カバー等の洗濯できるものは、毎日、使用後すぐに洗濯する。
- 55℃以上、10分間の処理(温水浸漬、熱風乾燥、アイロンの使用など)で死滅させる。
再寄生を防ぐ
集団発生への対応
集団発生が確認された場合は、できる限り関係者へ知らせて一斉に駆除すると、早く終息させることができます。
集団発生しても、薬剤などによる施設の消毒は必要ありません。
日ごろから掃除機などを利用して、施設内を清掃しましょう。
また、子どもが床に頭をつけて遊ぶ場所、昼寝をする場所、衣類や寝具等を保管する場所は、注意して清掃しましょう。
※ブール水等の「水」を介して感染が広がることはありません。
日ごろから気を付けること
残念ながら、どれだけ清潔にしていても、アタマジラミの寄生を100%防ぐことはできません。
しかしながら、次のことを心掛けることで、感染の予防になります。
- 毎日洗髪する
- こまめに掃除する
- 子どもの頭髪や頭皮をこまめにチェックする