外来生物とは
生物本来の移動能力を超えて本来生息していなかった地域に持ち込まれた生物を外来生物といいます。
特定外来生物とは
外来生物の中で生態系、人の生命・身体、農林水産業などへ特に大きな被害をもたらすと考えられるものを特定外来生物として指定し、飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入・野外へ放つことが外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)で禁止されており、これらの項目に違反した場合は罰金などが科されることとなっています。
また、既に定着しているものについては、必要に応じて防除が行われます。
外来生物が引き起こす3つの悪影響
日本固有の生態系への影響 |
人の生命・身体への影響 |
農林水産業への影響 |
在来生物(もともとその地域にいる生物)を食べる 在来生物の生育環境を奪ったり、えさの奪い合いをする 近縁の在来生物と交雑して雑種をつくる 伝染病を媒介する |
毒をもっている 人をかんだり刺したりする 伝染病(花粉症など)を媒介する |
農林水産物を食べる 畑を踏み荒らす |
外来生物を拡げないために私たちができること
外来生物が引き起こす問題は、外来生物が拡がり定着してしまった後に明らかになることが多いです。その場合、問題を解決するために多大な費用と時間、労力が必要となります。
外来生物を拡げないためにも次の3原則を守るようにご協力をお願いします。
※外来生物被害予防3原則
1 入れない 悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない 2 捨てない 飼っている外来生物を野外に捨てない 3 拡げない 野外にすでにいる外来生物は他地域に拡げない |
特定外来生物を見つけたら
特定外来生物を捕獲、発見した場合等は、外来生物法により生きたまま許可無く運搬できないことから、不用意に捕まえず、その場所の管理者などに相談することをお勧めします。
特定外来生物を駆除することは、鳥獣保護法で捕獲が規制されている哺乳類と鳥類を除いて、だれもが自由に行うことができます。
ただし、生きたまま他の場所に運んでしまうことは規制されています。
次の場合は下記へ連絡を
・特定外来生物かどうか判断できない場合やその対処方法など不明な点について
・カミツキガメを目撃した場合(主に沼地周辺など淡水環境に生息しており、攻撃性があり噛まれると
大怪我をするため早急に駆除する必要があります。)
・その他の特定外来生物を目撃した場合
●お願い●
釣ったブラックバスやブルーギルを採捕した場合、その場で放す行為(キャッチ&リリース)は外来生物法では規制されていませんが、在来種の保護のため、再放流(リリース)しないようご協力お願いします。
また、平成27年4月1日から、「江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害の防止に関する条例」の施行により、江津湖及び一部周辺地域では、指定外来魚(オオクチバス、ブルーギル、カダヤシ、ナイルティラピア、ジルティラピア、カムルチーの6種)のキャッチ&リリースが禁止となりましたのでご注意ください。
※リンク先「江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害の防止に関する条例」について
問い合わせ先
熊本市役所 環境政策課
TEL 096-328-2427・FAX 096-359-9945
クリハラリス(タイワンリス)
東南アジアから中国に広く分布。頭胴長20~22cm、尾長17~20cm。関東、関西、九州などの都市近郊に侵入している。県内では、2008年に宇土半島で生息が確認されており、農作物被害や樹木の皮はぎなどが発生している。
アライグマ
北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカに分布する食肉類。日本にはペットとして輸入され、その後逃げ出したり、捨てられたりした個体が野生化した。暑さや寒さに強く、何でも食べる雑食性で、分布を拡大している。現在は沖縄県を除く日本全国で生息が確認されており、農作物被害や住居への侵入等の生活環境被害、在来の小動物を捕食することによる生態系被害などが問題となっている。
熊本県内においては、平成22年に熊本市南区城南町で初めて捕獲されて以降、県北・県央地域で生息が確認されている。
熊本市内においては、平成22年の初捕獲以降、捕獲、死体の発見及び自動撮影カメラでの撮影などにより全区で生息が確認されており、徐々に生息域を拡大している。今後は更なる警戒が必要。
〔参考〕アライグマ(特定外来生物)対策について
カミツキガメ
北米から中米原産。背甲長20~30cm、約50cm(体重34kg)まで成長する。繁殖力が強く、通常20~30個を産卵。淡水環境に生息するが、汽水域に入ることもある。雑食性で夜行性の傾向が強い。成体は寒さに強い。千葉県印旛沼の周辺では繁殖が確認され、定着している。また、全国各地で目撃されており、ペットとしての飼育個体が逃げ出したり、捨てられたりしたと思われる。県内では、2006年に神社の境内での捕獲、2022年に熊本市南区での捕獲が確認されているが、定着は確認されていない。様々な生物を捕食。定着域では魚類、両生類などの生息に大きな影響を及ぼすと考えられ、陸上では攻撃的になり、噛まれると大怪我をする。
ミシシッピアカミミガメ
北アメリカ南部(米国、メキシコ)が原産。ペット用に主に米国から日本国内に持ちこまれた。池や流れのゆるやかな川などに生息し、雑食性で、水草や藻などの植物、魚類、甲殻類(エビやカニなど)、水生昆虫などの動物を食べる。
幼体(子ども)の体の色は緑だが、成体(おとな)になるとくすんだ暗い色になる。日本で最も多く見られるミシシッピアカミミガメは、顔の横に赤いラインが、甲らには黄色や黒のしま模様が入ることが特徴。成体のオスでは、さらに全身が黒くなって模様が見えなくなることがある。
大きさは、甲長(真上から甲らを見てタテ方向の直線の長さ)が最大でオス 20 cm、メス
28 cmとなり、在来種のニホンイシガメよりもずっと大きく成長する。また、ニホンイシガメよりもたくさんの卵を産む。汚れた水など悪い環境条件にも耐えることができるため、アカミミガメは様々な場所にすみ着くことができると考えられている。
日本では小笠原を除くほぼ日本全国に分布している。県内でも河川や池などで多数の個体が確認されている。
ウシガエル
北アメリカ東部原産。大型で体長は10~18cm。平地の川や池沼などに生息し、水中にいることが多い。牛のような低い声で鳴く。食用にされるため通称は食用ガエル。1918年から移入されたものが逃げ出し、定着して分布を広げた。県下では全域の河川、池沼、湿地に分布。昆虫や小型の哺乳類、鳥類など、口に入る大きさのほとんどの動物をエサにするため生態系に大きな影響を及ぼす。
アメリカザリガニ
アメリカ南東部からメキシコ北東部原産。全長が通常10cm程に成長し、最大で15cm。成体は赤~赤褐色。若齢個体は淡褐色、黄褐色、緑泥色。寿命は4~5年。河川・湖沼・池をはじめ、農業水路や水田、ため池など、さまざまな水域に生息。高水温・低酸素・水質汚染にも耐性があり,劣悪な水環境であっても定着し増殖することが可能。雑食性で、陸生植物の落ち葉、藻類や水草等の植物や水生昆虫、オタマジャクシ、魚類等の動物など、さまざまな動植物を捕食する。抱卵するメスは一年中見られる。水温が18~25℃の温暖な時期に産卵する個体が多い。1回の産卵で抱く卵の数は200~1000個。室内の飼育観察によると成熟サイズに達したメスは1年に1度だけ繁殖し、交尾した1~3カ月後に産卵。日本では、本州から沖縄までの都市部から里山の水田、用水路、ため池、河川緩流域、湖沼などの水辺に広く定着し、北海道でも温水が入り込むような水域で定着している。県内でも河川や池などで多数の個体が確認されている。また、注意するポイントとして、アメリカザリガニの幼体は赤くないので、在来種の二ホンザリガニと間違われることが多いが、二ホンザリガニは北海道と東北にしか生息していない。
〔参考〕令和5年6月1日よりアカミミガメ・アメリカザリガニの規制が始まりました!

チャネルキャットフィッシュ
北アメリカ原産。全長は最大で約130cm。体は細長くて頭部が平たく、背びれと胸びれに鋭いトゲがあるため危険である。湖沼や河川下流域に生息し、水生昆虫から小型の哺乳類などまで捕食する。日本へは1971年に水産目的で導入され、県内では、杖立川の温泉旅館で食用として養殖され、洪水時に杖立川に流出したもので、現在も生息していると思われる。
カダヤシ
北アメリカ原産。全長は3~5cmほど。メダカに似ているが、体が青っぽく尾びれが丸い。水田や用水路、平地の池沼、河川下流の暖流域などに生息。ボウフラ退治を目的に、1916年に日本へ導入され、県内では、宇土市で1973年に下水路や用水路へ放流されたのが最初である。

※左向き:メス(尻びれが丸い)、右向き:オス(尻びれが細長い交接脚に発達) |
ブルーギル
北アメリカ東部原産。全長25cm。雌雄ともにエラ蓋後端のやや突出した部分の色が濃紺ないし黒色である。湖沼やため池、堀、公園の池などに生息する。雑食性で動物プランクトンから魚類までを捕食する。1960年に渡米した皇太子殿下にシカゴのジェッド水族館から贈呈されたのが導入の始まりである。
オオクチバス
通称ブラックバス。北アメリカ原産。全長30~50cm。上あごの後端が眼の後縁の直下よりも後方に達する。湖沼やため池、河川の中下流域に生息する。1925年に芦ノ湖へ放流されたのが最初。現在では国内のほとんどの湖や池、川に分布している。県内では、1977年江津湖で、1979年球磨川で確認された。その後、県下に広く放流されて定着し、強い捕食圧によって在来生物を含めた生物群集が様々な影響を受けている可能性がある。
セアカゴケグモ
オーストラリア原産。成熟したメスの体長は、約1cm~1.5cmで、全体的に黒色又は褐色。背面には赤色の帯状、腹面はひしがたを2つ並べたような模様がある。毒をもつのはメスのみ。日本でのセアカゴケグモの咬傷例の報告では、ほとんどが軽症であるが、重症化する場合もあるので注意が必要である。県内では、平成25年8月に熊本市北区で初めて確認された。
ハイイロゴケグモ
亜熱帯地方原産。メスの体長は1センチ程度で、毒をもっているが、オスはメスの半分以下の大きさで、毒はもっていない。腹部が球のように丸く、体色は茶色、灰色、黒色とかなり個体差があるが、腹部の背面に縁取りのある赤褐色の斑紋、腹面に赤色の斑紋があることが大きな特徴。 平成7年に日本で始めて生息が確認され、福岡県・長崎県・宮崎県・鹿児島県などでも生息が確認されている。市内では、令和4年9月に熊本市西区で初めて確認された。
セイヨウオオマルハナバチ
ヨーロッパ、北アフリカ原産。栽培作物の受粉昆虫として、1992年頃ベルギー、オランダから輸入された。九州では、長崎、福岡、熊本、宮崎の4県で確認されている。県内では八代、玉名地域などで、熊本市内(立田山、薬園町)でも捕獲例がある。
オオキンケイギク
北アメリカ原産。国内には1880年代に導入された。高さは0.3~0.7mの多年生草本で、路傍、河川敷、道路際などに生育し、しばしば大群落を形成している。群生するため在来種の減少が起こるなどの影響が見られるようになっている。開花期は5~7月。県内では1990年代に道路沿いなどに植栽されるようになり、その後公園や人家の庭などで栽培されるようになった。現在、県内のほぼ全域に分布している。県内ではまだ具体的な被害事例は把握されていないが、道路法面や堤防などの草地は減少傾向が続いており、この環境を生育地とする在来植物をはじめ、在来生態系のさらなる衰退につながることが心配される。
オオキンケイギクの詳細や駆除の方法については、
お近くに黄色の花が咲いていませんか?特定外来生物『オオキンケイギク』をみんなで駆除しよう!
をご覧ください。
ミズヒマワリ
中央・南アメリカ原産。県内では2002年頃に南阿蘇村で確認。開花期は9~10月。水中や水際に生える抽水性の多年草で、高さは0.5~1m以上になる。栄養繁殖が極めて旺盛で、大きなコロニーを形成して密生。
オオハンゴンソウ
北アメリカ原産。県内への進入時期は不明。開花期は7~10月。高さ0.5~3m程になる多年生草本で、路傍、湿原、河川敷などに生育。横に走る地下茎から茎を密に出して大群落になる。
ナルトサワギク
マダガスカル原産。一年生または多年生草本で、高さは0.3~0.7m程度。開花は周年で、温帯~暖帯に分布し、海辺の埋立地、空地、河川などに生育。1976年に徳島県鳴門市で確認され、現在では本州(中部地方以西)~九州でみられる(環境省ホームページより)。県内では天草郡苓北町で平成23年11月に確認された。
オオカワヂシャ
ヨーロッパ~アジア北部原産。県内では2008年に益城町で確認。開花期は4~9月。高さは0.3~1.5mに達する一年~多年生草本。河川の岸辺、水田などの湿地に生育し、地中を横走する根茎で繁殖するため群落状になる。

ナガエツルノゲイトウ
南アメリカ原産。県内への進入時期は不明。花期は4~10月。水路や水辺など湿った環境に生える多年草で群生。茎は1m以上になり、中空で水に浮いて長く伸び水面を這うように広がる。
ブラジルチドメグサ
南アメリカ原産。国内では1998年頃に熊本県菊池川で大繁殖しているのが確認された。川岸や水湿地に生える多年草。茎は這うように分岐して広がり、長さは1m以上になる。茎の節から葉や根を出し、マット状に密生した群落を作る。開花期は4~6月。県内では菊池川水系の各地と阿蘇市、南阿蘇村に生育が見られる。現在では、福岡県、筑後川水系にも分布が広がっている。密なマット状に群生するため、光などが奪われ在来の水草類が駆逐されるとともに、水中の溶存酸素の減少により水生生物の生息環境が悪化する恐れが指摘されている。
アレチウリ
北アメリカ原産。県内への進入は1950年代と思われる。開花期は8~10月。日当たりの良い場所を好み、長さ数~10数mになる一年生のツル性草本で、生育速度が速く、群生することが多い。
オオフサモ
南アメリカ原産。県内への進入時期は不明。開花期は6月頃。水面からの高さは0.2~0.3m。河川、水路などの浅水中に生育する抽水性の多年草で、細い茎が水中を這いながら分枝、密に群生する。
スパルティナ属
スパルティナ属のうち、スパルティナ・アルテルニフロラが県内で確認されている。
スパルティナ・アルテルニフロラは南北アメリカ原産で、淡水と海水が混ざる汽水域に生育する多年生草本で、根を深く張り、高さは0.4~2.5mになる。一度形成された株は根茎をまわりに広げながら毎年1mも生長する。
海岸近くの河口域、塩沼地、干潟、砂浜に生育し、シルト、粘土、礫に適応できる。熊本市内では、平成23年に環境省により坪井川、白川での生育が確認されている。
ボタンウキクサ
アフリカ原産。ウォーターレタスとも呼ばれ、国内へは1920年代に観賞用として導入された。浮遊性の常緑多年草でロゼット状に葉を広げ、大きな株は径30cm以上になる。池沼、河川、水田、水路などに生育し、過繁茂による湖沼の水温や水質低下、水路の水流阻害、在来生態系への悪影響などが指摘されている。開花期は5~10月。県内への進入は1990年代後半以降と思われ、熊本市、嘉島町、小国町などで見られる。熊本市の江津湖では大繁殖し、定期的な駆除が行われている。
●ツヤハダゴマダラカミキリとは●
特定外来生物への指定はありませんが、注意の必要な外来生物です。
令和4年2月8日時点で、全国8県(宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、富山県、愛知県、兵庫県、山口県)で発見されております。
海外では幅広い樹種の樹木に甚大な被害を及ぼしており、日本においても、森林のほか、農地、公園、街路樹、学校等の樹木への影響が生じ、枯れ枝の落下による人的被害等が懸念されております。
ツヤハダゴマダラカミキリを発見されましたら、被害木処理のご協力及び環境共生課へのご連絡をお願いいたします。
学名 :Anoplophora glabripennis
分類群:コウチュウ目 ハムシ上科 カミキリムシ科
原産地:中国、韓国、北朝鮮
形態 :(成虫)体長 雄20~29mm 雌22~35mm
体色は全体に光沢のある黒色で鞘翅に約20個の白斑~黄斑を有する
触角は12節、3~12節には明瞭は白色の帯があり、雄では体長2.5倍、雌では1.3倍と長い。
防除方法:伐倒駆除又は、樹木類・カミキリムシ類に登録のある農薬による薬剤処理。
写真提供:林野庁
ツヤハダゴマダラカミキリの生態や在来種との見分け方、防除方法などは以下の林野庁提供資料をご参照ください。
林野庁提供資料
(PDF:871.9キロバイト)
メリケントキンソウにご注意ください!
●メリケントキンソウとは●
特定外来生物への指定はありませんが、注意の必要な外来生物です。
草丈は5~10cmと低く、地面をはうように生えていきます。
カブトガニのような形の硬いトゲ(種子)があり、公園の芝生などに入り込んで人やペットなどに怪我をさせるおそれがあります。
芝生地を裸足で駆け回るお子さん等十分にご注意ください。
学名 :Soliva sessilis
科名 :キク科(一年草)
原産地:南アメリカ
熊本市内においても多数目撃情報があります。
繁殖地拡大防止のため、靴底等についたトゲ(種子)落としにご協力ください。