臓器移植
(いのちの贈りもの)
■はじめに
臓器移植は、臓器提供者の方々はもとより、広く社会の理解と支援があってはじめて成り立つ医療です。
■臓器移植の現状
わたしたちの身体は、さまざまな臓器がきちんと機能して健康を保っています。しかし、病気や事故によって臓器の機能が低下することで、臓器不全に苦しんでいる患者さんが数多くいます。現在、日本臓器移植ネットワークに登録して移植を希望している方は、およそ14,000人です。それに対して実際に移植を受けられる方は、年間およそ400人です。
熊本県においては、移植施設として、熊本大学病院、熊本赤十字病院があり、平成30年は150人の希望者に対して腎移植が7例行われています。
臓器移植をすすめるためには、皆さんの臓器提供の意思確認から始まります。臓器提供意思表示カードや運転免許証・健康保険証・マイナンバーカードの裏の臓器提供意思表示欄がありますが、記入されている方はまだ少ないのが現状です。インターネットで意思登録をすることもできます。法律では、ご本人の意思が不明な場合でも、ご家族の承諾があれば、臓器提供ができるようになっていますので、日頃から臓器提供について家族で話し合い、意思を伝え合っておくことが大切です。
■臓器移植の啓発
熊本市の臓器移植の啓発は、平成9年10月に施行されました「臓器移植に関する法律 第3条」により、『国及び地方公共団体は、移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない』と謳われることからはじまりました。
本市では、臓器移植が円滑に進められるよう、市民への臓器移植について、臓器提供意思表示カード及びリーフレットを各区役所の総合案内、熊本市保健所等に設置しております。
出典:(公社)日本臓器移植ネットワーク |
■令和元年度の移植医療普及街頭キャンペーンへの参加
令和元年11月に下通アーケードで行われた熊本県主催の移植医療普及啓発街頭キャンペーンでは、ライオンズクラブの方々や熊本県内の病院の医師、県臓器移植コーディネーター、看護師や県の職員など多くの関係者と一緒に、緑のハートの風船や移植医療のシンボルであるグリーンリボンのバッジやリーフレットを配布し臓器提供の意思表示が大切であることを啓発しました。
■『いのちの贈りもの』
提供される臓器は、『いのちの贈りもの』と呼ばれています。生きている私たちが亡くなる時にできる最期のボランティアです。
臓器を提供できる適応基準として、おおよそ次のとおりが望ましいとされています。
心臓;50歳以下
肺;70歳以下
腎臓;70歳以下
膵臓;60歳以下
小腸;60歳以下
この年齢を超えた方でも医学的に提供が可能な場合もありますので、年齢に関係なく意思をご記入ください。
また、角膜は年齢制限がなく、白内障や緑内障などの病気でも角膜が透明であればご提供いただけます。なお、アイバンクにご連絡されるのは、死後10時間以内が望ましいとのことです。
今後も、ひとりひとりが臓器提供について考え、日ごろから家族と話し合い、自分の意思を示す人が少しでも増えるよう願っております。
熊本県移植医療推進財団(外部リンク)
■臓器移植とは?
臓器移植とは、重い病気や事故などにより臓器の機能が低下した人に、他者の健康な臓器と取り替えて機能を回復させる医療です。第三者の善意による臓器の提供がなければ成り立ちません。日本で臓器の移植を希望して待機している方は、およそ14,000人*です。それに対して移植を受けられる方は、年間およそ400人**です。
*2019年度末に心臓・肺・肝臓・膵臓・腎臓・小腸の移植を希望してJOTに登録され
ている方は14505人です。
**2019年度の移植件数は480件ですが、年度によってばらつきがあります。
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■臓器提供とは?
臓器提供は、脳死後あるいは心臓が停止した死後にできます。2010年7月17日に改正臓器移植法が全面施行され、生前に書面で臓器を提供する意思を表示している場合に加え、ご本人の臓器提供の意思が不明な場合も、ご家族の承諾があれば臓器提供できるようになりました。これにより、15歳未満の方からの脳死後の臓器提供も可能になりました。
臓器提供に関するQ&A(外部リンク)
■脳死とは
出典:(公社)日本臓器移植ネットワーク
■脳の構造と役割(機能)
大きく以下の3つに分けられます。
・大脳;知覚、記憶、判断、運動の命令、感情などの高度な心の働きを司る。
・小脳;運動や姿勢の調節をする。
・脳幹;呼吸・循環機能の調節や意識の伝達など生きていくために必要な働きを司る。
大脳、小脳のある程度の損傷は、回復の可能性もありますが、脳幹は、その機能を消失
すると生命を維持することができなくなります。
■脳死とは
・脳幹を含む、脳全体の機能が失われた状態です。
・回復する可能性はなく元に戻ることはありません。
・薬剤や人工呼吸器等によってしばらくは心臓を動かし続けることはできますが、やがて
(多くは数日以内)心臓も停止します(心停止までに、長時間を要する例も報告されてい
ます)。
■植物状態とは
・脳幹の機能が残っていて、自ら呼吸できることが多く、回復する可能性もあります。
・脳死と植物状態は、全く違うものです。
■脳死と人の死について
世界各国の考え方はいろいろですが、日本では脳死での臓器提供を前提とした場合に限
り「脳死は人の死」とされます。
詳しくは、下記をご覧ください。
脳死とは(日本臓器移植ネットワーク)(外部リンク)
意思表示について
出典:(公社)日本臓器移植ネットワーク
「臓器を提供する」という意思だけではなく、「臓器を提供しない」という意思も表示できるようになっており、どちらの意思も尊重されます。
なお、提供する意思表示は民法上の遺言可能年齢である15歳以上が有効ですが、提供しない意思は何歳からでも有効です。
そして、その意思表示は何度でも変更が可能です。
その他、提供したくない臓器の選択や特記欄に組織提供や親族優先提供の有無などを記入することができます。必ず本人の署名と署名年月日を自筆署名してください。
脳死後および心停止後に臓器を提供してもいい方は1に、脳死後での臓器提供はしたくないが、心臓が停止した死後は臓器を提供してもいい方は2に○をしてください。
臓器を提供したくない方は3に○をしてください。
1か2に○をした方で、組織の提供や親族優先について記入できます。組織を提供してもいい方は「すべて」あるいは「皮膚」「心臓弁」「血管」「骨」などと記入できます。
親族優先提供については、親族優先に関する要件などを良く理解した上で記入することができます。
基本的に本人の意思が尊重されますが、家族の承諾がなければ臓器提供は行われません。
意思表示関するQ&A(外部リンク)
臓器提供意思表示カード記入方法
出典:(公社)日本臓器移植ネットワーク
臓器提供に関する意思表示の方法は、主に3種類あります。
(1)健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードの意思表示欄への記入
2010年7月に改正臓器移植法が施行され、健康保険証や運転免許証の裏には意思表示欄が設置されました。2016年1月に交付が始まったマイナンバーカードの表面にも意思表示欄があります。
身近に意思表示ができるようになってきていますので、自分の健康保険証や運転免許証、マイナンバーカードの意思表示欄を確認してみましょう。
(2)インターネットによる意思登録
JOTのホームページからインターネットを通して臓器提供の意思が表示できます。
健康保険証、運転免許証等や意思表示カードに記入して携帯する方法がありますが、カード等の入手が難しい人にも所持を容易にし、臓器提供に関する意思がより確実に確認できるように、インターネットで意思を登録(IDの入った登録カードを送付)する方法も用意しています。
臓器提供意思登録はこちらから
(3)意思表示カードへの記入
都道府県や市区町村役場窓口、一部の病院、あるいは社会貢献事業としてカードの設置に協力いただいている企業や団体等にはカード付リーフレットが設置されている場合があります。また、これらの場所やJOTのホームページ等で入手した意思表示カードに必要事項を記入し携帯します。
■臓器提供に関する意思表示欄の記載方法(外部リンク)