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令和8年(2026年)5月11日 定例市長記者会見

最終更新日:
(ID:70772)

1 熊本市観光統計について

2 雨水出水浸水想定区域図について

3 熊本城の新しいサクラの名称について

4 質疑

(1)幹事社代表質問(熊日・共同)

(2)各社質問



会見録



市長発表

はじめに、「令和7年(2025年)熊本市観光統計」についてご報告させていただきます。
本市では、「熊本市観光マーケティング戦略」を定めまして、観光振興の取組を強化しております。その一環として観光消費額、入込数、延べ宿泊者数など、観光統計の調査を実施しております。
この統計について、令和7年の結果がまとまりましたのでお知らせいたします。
こちらのモニターをご覧ください。
このたび集計しました令和7年熊本市観光統計では、観光消費額、入込数、それから延べ宿泊者数の全てにおいて2年連続で過去最高を記録いたしました。
次のモニターをご覧ください。
それぞれの実績についてですが、観光消費額が前年から11%増の1,280億円、入込数が3.8%増の654万7千人、それから延べ宿泊者数が3.9%増の418万人となっております。
次のモニターをご覧ください。
中でも外国人観光客の伸びが顕著でありまして、入込数は前年から29.9%増の180万8千人、延べ宿泊者数も29.7%増の115万4千人ということで、いずれも過去最高を記録しているところです。
この背景ですが、円安に加えて、阿蘇くまもと空港の国際線新規就航や増便の影響があります。
あわせて、これまで本市の観光マーケティング戦略に基づき進めてきた、台湾をはじめとする海外へのプロモーションが一定の成果として表れてきたものと考えております。
本市では、引き続き、観光誘客の取組を着実に進めますとともに、本年7月から導入する宿泊税を活用しまして、観光資源の魅力向上、それから旅行者の受入環境を整備することで、「世界に選ばれる観光都市」を目指してまいります。

次に、「内水浸水想定区域図の見直し」についてお知らせいたします。
本市では、内水氾濫発生時の浸水リスクを示した「内水浸水想定区域図」を、令和6年10月から公表しております。
そのような中、昨年の8月豪雨において、市内各地で深刻な浸水被害が発生したことを受けまして、市民の皆様により正確で分かりやすい情報をお伝えするため、区域図の見直しを進めてまいりました。こちらのモニターをご覧ください。
そしてこの度、水防法に基づく「雨水出水浸水想定区域図」として新たに策定いたしまして、これまでの浸水範囲や浸水深の情報に加え、浸水がどの程度の時間継続するのかを把握できるように改善を図りました。こちらを本日12時から本市のホームページで公開いたします。
次のモニターをご覧ください。
新たな区域図では、45cm以上の浸水が、12時間以上24時間未満継続するおそれのある区域を水色に、24時間以上継続するおそれのある区域を青色にすることで、浸水の継続時間を可視化いたしました。次のモニターをご覧ください。
また、令和7年8月豪雨の情報をもとに、内水氾濫が発生した場合に想定される浸水区域や浸水深も更新しております。いずれも詳細については本市のホームページをご確認いただきたいと思います。
大雨への備えで最も重要なことは、事前に浸水等のリスクを正しく把握しておくこと、いざというときの行動を確認しておくことです。これから出水期に入っていきますので、ぜひ皆さんにこの区域図を活用いただいて、お住まいの地域、それから日常的に利用される道路などが、大雨の際にどの程度の影響があるのかを事前にご確認いただき、平時から備えに繋げていただければと考えております。

最後に、「熊本城の新しいサクラの名称」についてお知らせいたします。
こちらのモニターをご覧ください。
今年2月に、二の丸広場南西側において、既存の栽培品種には当てはまらない新しい品種のササクラが生育していることを公表いたしまして、その名称について投票キャンペーンを実施いたしました。その結果、5,797票もの投票をいただきました。
次のモニターをご覧ください。
この投票の結果、3,212票という圧倒的な投票をいただきまして「八十姫」に名称を決定いたしました。「八十姫」は、熊本城主であった加藤清正公の娘の名前、八十にちなんだものです。
また、「八十姫」という名前には、八と十の間に九がないということで、「苦がないように」という両親の願いが込められていると伝えられています。この由来にあやかって、熊本城の復旧・復興についても「苦がなく着実に進んでいくように」という思いも込められているところです。
改めまして、今回のキャンペーンに大変多くの皆様にご参加いただきましたことに、心より感謝を申し上げたいと思います。
今後、この「八十姫」を正式な栽培品種名として学術誌で公表できるよう、関係機関と連携して取り組みますとともに、この貴重なサクラが末永く愛され続けるよう大切に育ててまいりたいと考えております。

私からは以上です。


質疑応答

【記者】観光統計について、観光客の流入が特に増えていることへの受け止めと、今後、どういう政策に力を入れていきたいかを教えてください。

【市長】観光消費額、それから入込数、そして延べ宿泊者数が過去最高ということで、ある程度上回ることは想定していたのですが、過去最高を記録したということは、非常に喜ばしく感じています。やはり、多くの皆さん方に、熊本への興味や関心を持っていただいている、あるいはビジネスも含めて非常に交流が盛んになっていることの現れですので、それは熊本市全体の魅力向上においても非常に重要であります。また、これから経済分野も発展していこうと様々な半導体投資もある中で、半導体だけではなく観光資源も豊富ですので、熊本のいろいろな歴史や文化の魅力を多くの皆さんに知っていただくという上でも、ビジネス面、あるいは観光振興の面で非常に大きいものだと受け止めているところです。これまで、いろいろな取組を続けてきましたが、特に台湾の直行便が多くなりましたので、ビジネスだけではなくて、観光の方も非常にたくさんお見えになっています。知り合いの方を通じて、熊本という名前を聞いて興味を持ったという台湾の観光客の皆さんからの声も伺っていますし、私も直接そういう話を伺っています。それ以外にも、台湾のいろいろな番組で取り上げられたり、私もYouTubeなどいろいろなところに出たという話が聞こえてきました。そうやって、熊本の認知度が高まっていることは非常に大きいかと思います。インバウンドの多角化という面では、台湾をはじめとする東アジアだけでなく、実は今、欧米豪の方も非常に増えていて、日本を訪れる外国人の方は、いろいろな国からいらっしゃっています。皆さん方のニーズであるとか、興味や関心、それからリピーターになるようにどういう取組をしたらいいのかは、我々もしっかり分析をしていく。それから、入ってこられる皆さんのルートも、今、熊本空港(の国際定期便)が週44便で、令和7年4月から5便ぐらい増えているわけです。今後も多角化が進んでいくという話ですが、そういったエアラインの状況と、それから福岡空港の国際線の便数も週に換算すると約500便あります。熊本空港とは桁違いにあります。ということは、福岡空港を利用して新幹線で熊本に入られる方もかなり多くいらっしゃるのではないかと期待します。福岡空港と熊本空港の連携も空港同士でされていると伺っておりますが、九州全体が盛り上がって、どこの地域(の観光統計)も過去最高になるように、我々も福岡や他の九州各地といろいろ連携すれば、長く滞在していただける。九州にはそれだけの魅力が詰まっていると思いますし、また、熊本も多くの方々にもっとディープにいろいろなところを知っていただきたいと思っております。

【記者】中国の渡航自粛の影響は出ているのでしょうか。

【市長】実は、中国からの旅行者は前年から比較すると約4万人増の21万8千人となっています。ただ、令和7年11月頃からの中国政府による日本への渡航自粛呼びかけによりまして、11月から減少傾向になっています。本市の観光動向による国別のインバウンド宿泊者数の構成比においては、中国の占める割合が10月は22.0%だったのですが、11月に13.3%になって、それから12月には9.3%になっています。いずれにしても台湾がトップということは変わらないのですが、11月以降は台湾、韓国、中国という順番になっています。詳細の数字については担当部局の方にお問い合わせいただければと思いますが、去年の11月からの影響は、来年の結果に多分出てくると思いますので、しっかりその辺の動向は見極めたいと思います。影響が年末あたりに出たとしても、その分をカバーするだけの他の国からの渡航が増えているというのは、市の観光の状況として特筆すべきところではないかと考えています。よく分析をしたいと思います。

【記者】他の観光地ではオーバーツーリズムが課題になっていると思います。その対策は、今後どうしていこうとお考えですか。

【市長】熊本市においては、現時点で観光地や宿泊施設等も含めてオーバーツーリズムという状況は特に確認されていません。たくさんの方が集中して、日常生活に影響が出るとか、市民生活に影響が出るということがあってはいけませんので、その辺についてはこれからもよく検討していかなければならないと思いますが、今のところはない状況です。ただ、他都市では特に人気のある場所に集中するということがあります。熊本でも、これからいろいろな場所が急に人気のスポットとなって、(観光客が)増える可能性もあると思います。十分その辺は他の自治体での取組等も検討しながら、あまりいろいろな規制を重ねていくということではなく、インバウンドのお客さんも興味や関心を持って日本、熊本にお越しいただいているので、排除するのではなくて、市民の皆さんの生活をしっかり保ちながら、調整できるような策をいろいろ工夫していかなければいけないと考えています。

【記者】内水氾濫のハザードマップについてお聞きします。昨年8月には記録的な大雨がありました。梅雨の時期が近づいていますが、市民の方にどういった活用をしていただきたいか、呼びかけをお願いします。

【市長】まず、この区域図で、自分がお住まいのところ、それから関係のある立ち寄るような場所で、どういう浸水リスクがあるのかを皆さんにも実際に知っていただくことが必要です。今日、これからホームページで公開しますので、ぜひ多くの皆さんに見ていただきたいと思います。ホームページで公開するだけではダメですので、SNSでも、できるだけ広くわかりやすく、内水氾濫した時にどうなるかを皆さんに知っていただくようなお知らせをしたいと思います。こういうものを見ていただくと、24時間以内には水が引くのはこの辺だとか、1日以上ここら辺はずっと水が溜まるんだとか、捌けないんだということが分かると、ある程度自分たちでどう備えなければいけないのか(が分かります)。
それから、今、止水板の補助もしておりまして、おかげさまで順調に申請がきているようです。こういったものも、内水氾濫が予想されるエリアに店舗や住宅などがある皆さんには、ぜひ早めの対応をしていただければと思います。ちなみに、止水板の方で申し上げますと、昨年度は申請件数が最終的に27件、今年度は5月8日時点ですでに18件の申請をいただいていますので、これからまた多くの皆さん方からのニーズがあると思われます。
雨水出水浸水想定区域図というのは、読みにくいから違う名前はないのかと担当課に言いました。言いにくいと思いますし、早口言葉みたいになって少し嫌なのですが。例えば線状降水帯が来た時に、急激に増水した場合にこの辺でこういうことが起きますということを、皆さんに(知っていただける)。線状降水帯の発生予測が出た時に、半日前予測も出ますので、我々も気象台から発表されることについて対応を考えるのですが、こういうものをパッと見ていただいて、ハザードマップも出ていますし、我々がどれだけいろいろ言っても皆さんで備えていただかないと、昨年の実績でも大体そういうエリアが浸水しているんです。ですから、そういったものを皆さんに知っていただくことが非常に重要かと思います。

【記者】新しい桜の名前についてお尋ねします。今回、八十姫という名前が決まったことで、今後PRもしやすくなっていくと思いますが、熊本市の観光施策にこの新しい桜をどのように活用していきたいか教えてください。

【市長】新しい桜の品種がここで生まれているということは、熊本城は被災して復旧にまだずいぶん時間がかかりますが、その中で非常に明るい話題だと思います。そして、新しい品種の命が芽生えたということは、希望にもつながっていると思います。また、観光のPRにもなって、2月に公表してからこの品種を実際にご覧になった方も結構多いと思いますが、かなりの方々に興味を持って見に来ていただいています。特に、「八十姫」というのは、圧倒的な得票を得ているわけです。ですから、この八十姫という名前が浸透して、ここから加藤清正や細川家やそういったものにつながる熊本の歴史や文化にも関心を持っていただけるようになると、すごくいいのではないかと思います。しっかりキャンペーンもしていきたいと思いますし、それから、学術的に正式に発表できるように、専門家による学術誌への論文の投稿について、2027年の春の掲載を目指して、今、関係機関と連携して必要な手続きを進めていこうと考えておりますので、そういう形で頑張っていきたいと思います。

【記者】八代市の新庁舎整備をめぐり、八代市議らがあっ旋収賄の疑いで逮捕されました。熊本市でも今後、新庁舎の整備を控えていますが、改めて入札の透明性、それから議員や業者との関係のあり方について、市民の関心も高まることが予想されます。今回の事件の受け止めと、今後の対応についてお願いします。

【市長】まず、今回の事件の受け止めなのですが、これだけの汚職事件、しかも現職の議員の方が逮捕されるという状況で、非常に驚いておりますし、こういった不正が実際に行われたとしたら、非常に由々しき問題だと思っております。天の声ということで、いろいろな議員の関与が疑われる旨の報道がされているわけですが、熊本市でも過去に議員の方からのパワハラであるとか、不当な要求、圧力によりいろいろ問題が生じたケースがございました。そこで、私が就任後ですが、平成27年3月に熊本市不当要求行為等防止対策会議を設置しております。(八代市の件は)議員の関与が疑われるという旨の報道でありますが、議員の皆さんとの関係性という中で、職員と議員の方が接触をする場合は、すべて文書で記録、そして録音した上で、私、市長、それから副市長に共有することになっております。ですから、要望があったり、提案があったり、いろいろなご質問があったりということについてはある程度把握しています。どういう部局にどういう議員の方が問い合わせをしているのかということは、だいたい分かっております。仮に、その中で不当な圧力ではないかと疑われるものがあった場合は、行政の公正な執行が歪められてしまうことになってしまいますので、そうならないよう対応するのが熊本市不当要求行為等防止対策会議で、要綱で定めまして、機能させているところでございます。ただ、こういう仕組みが、恐らく他の都市ではできていないのかと今回の報道を見て思ったのですが、我々もこういう仕組みを入れつつも、やはり市民の行政に対する信頼、信用に関わることでもありますので、常に自分自身も強くこの辺を意識しながら、今後取り組んでいきたいと考えています。それから、熊本市が結ぶ契約において、契約の公正性や透明性を確保するためにどういうことをやっているかということなのですが、公契約条例の制定はもちろん、入札、契約情報の公開、一般競争入札の原則化、それから各局内で契約事務調査会議や工事物品の選定等審査会というものをやって、さらに有識者で構成されている入札等監視委員会での第三者による審議など、特定の職員や議員の介入を排除して、契約の競争性、それから公平性、公正性および透明性の確保というものに我々は取り組んでおります。参考までに、八代市の庁舎を請け負ったとされるゼネコンの前田建設工業との(工事)契約案件は、現時点ではございません。一応そういう状況でございます。

【記者】福島県で、部活動で移動中のバス事故がありました。熊本では、県教育委員会が部活の大会参加や合宿の際には、原則公共交通機関を利用するようにと過去に通知しているようですが、熊本市立の学校の考え方や現在の運用状況について教えてください。

【市長】熊本市立の学校については、修学旅行、見学旅行、それから宿泊研修等において、当然のことですが、法令を遵守したバス会社を利用して安全確保を図ることにしております。現地での活動は、各学校において事前指導を行った上で、安全確保に留意しながら取り組んでいます。一方で、部活動については、車を使用する場合は原則として保護者送迎としています。高校において、後援会が所有するバス等を使用する場合がありますが、これは車種に応じた免許を保有していることを確認した上で、保護者に運転の依頼をしているというのが今の状況でございます。なお、各学校に対しまして、校外活動の安全管理について、事前確認や緊急対応等の徹底を求める文書を発出する予定となっているのが今の状況でございます。
過去に市立学校ではこういった交通事故等はございません。

【記者】原則、保護者送迎ということですが、事故が起きた場合の責任の所在や対応についてはどのようになりますか。

【市長】これは教育委員会の方でもある程度ルールがあると思いますが、基本的には保護者の皆さんの責任において、送迎を安全に行っていただくということであります。先ほどの県の通知もそうですが、基本的に公共交通機関を利用できるところは公共交通機関を利用するということです。学校行事に関して言えば、当然のことながら、バス会社等ときちんと契約をした上での利用と安全確保ということになっているところです。

【記者】今後、生徒の移動の安全を守るためのガイドラインの作成など、踏み込んだ対応は検討されていますか。

【市長】今回のことを受けまして、例えば学校側と受託した旅行業者側との話に齟齬があるということを昨日の報道で見たのですが、契約関係をきちんと確認する、それから安全に対してしっかりコストもかけて現場で生徒、こどもたちの命を守るためにどうあるべきかは、熊本市でもガイドラインの検討も含めて、いろいろな取組を教育委員会等でする必要があると考えております。今後、教育長ともしっかり話をしながら、そして各学校現場ともよく連携を取りながら、今の実態と、そういった課題がないのかということについて、しっかり洗い出しをしていきたいと考えています。

【記者】新庁舎の整備について伺います。当初想定していたよりも、資材の高騰などにより増額するという話がありました。八代市の件もあって、庁舎整備費の増額に対しては市民の関心も高まっていると思います。改めて、増額分をどのように捻出していくのかを教えてください。

【市長】今、概算の工事費等が倍になるなど、いろいろな積算が出ています。これを今後しっかり外部の方に検証していただこうということで諮っていきますので、透明性を持って皆さんにお知らせできるのではないかなと思います。それとは別に、今後、契約の段階においてどうなっていくのかは非常に重要になってきます。ですから、工事の発注方式の中で、公平性、公正性、それから競争性がしっかり担保されているかどうかは、非常に重要なことだと思います。これは、庁舎の整備に限らず、あらゆる公共工事において重要なことだと考えておりますので、その点についてはしっかり対応していきたいと思います。
額が高くなっていくことによって、今回の事件と同じように見てもらっては困るのですが、逆に言えばなぜそういう価格がこのぐらいの価格になっているのか。例えば工事の単価がどうなるかなどは、検証の場をこれから6月に向けて設置して、議会にも関連の議案を提案する予定ですが、その中できちんと客観的に見ていただくということ。客観性が非常に重要だと思いますので、その辺についてはこれからしっかり検討していきたいと思います。工事については、例えば用地の取得であったり、それからいろいろな契約をする場面というのは、額も含めてずっと年次に渡って変わっていくわけです。その時点ごとにきちんと議会にもお諮りしますので、しっかりそこで説明責任を果たせるようにしていきたいと考えています。

【記者】こうのとりのゆりかごが今月で19年を迎えたことについての所感と、大都市圏でも広がりを見せつつある状況、また与党の自民党でもPTで議論が本格的に進められている状況についての受け止めをお願いします。

【市長】まず、こうのとりのゆりかごが開設されてから、間もなく19年になります。令和6年度末までに193人のお子さんたちが預け入れられたゆりかごについて、ある面では多くのこどもたちの命を救って、そして母子の孤立を防いで適切な支援につなげる役割を果たしてきたということで、一定の評価をしているところでございます。また、母子の命を守るために献身的に取り組まれ、支援をされてきた慈恵病院には、改めて敬意を表したいと思います。ただ一方で、過去にもいろいろな検証の場等で話が出ているところですが、ゆりかごへの預け入れを前提とした孤立出産は、母子の生命に危険がございます。それから、こどもの出自を知る権利をどう保障するのかについても、まだ解決すべき課題が多いと思っております。とりわけ、こどもの出自を知る権利の保障に関して言えば、19年という歳月の経過とともに、預け入れられたこどもたちが自分たちのアイデンティティの確立のために自らのルーツを求めるということも増えているのだろうと推測しているところです。出自を知る権利をいかに保障していくのかについては、令和7年3月に、緊急下の妊婦から生まれた子どもの出自を知る権利の保障等に関する検討会から提出された報告書も踏まえて、慈恵病院、それから全国の児童相談所等とも連携を図って、こどもたちの思いに丁寧に寄り添えるようにしていくことが我々の使命であると考えているところです。一方で、令和7年3月には東京都の賛育会病院で、こうのとりのゆりかごと類似する施設であるベビーバスケットの運用が開始され、内密出産の運用も開始されています。また、ご承知のとおり、大阪府泉佐野市でも行政主導で、今年度中の運用開始に向けて取組が進められています。国においても、今、複数の自治体でそういう動きが出ていることを踏まえて、いろいろな内密出産やゆりかごにまつわる課題の整理をされているものと承知しております。特に、4月6日には自民党の孤独・孤立対策特命委員会の内密出産について考えるプロジェクトチームが熊本にいらっしゃって、慈恵病院を視察され、熊本市とも意見交換をされて私も出席しました。こういう国の動きも出てきて関心が高まっていると思っております。我々としては、足元でまず妊娠内密相談センターで、予期せぬ妊娠等で非常に戸惑っておられる方々、あるいは困っておられる方々に寄り添った相談体制を充実させていますので、こうしたところをこれからも確認して頑張っていくということ。それと同時に、自民党の孤独・孤立対策特命委員会の内密出産について考えるプロジェクトチームの皆さんの動きについても、大変期待しております。今月中をめどに報告書を取りまとめると伺っておりますので、その動向については注目していきたいと思っております。これまで、熊本市として、市長会等を通じて国にいろいろな要望をしてきました。慈恵病院や熊本市の現場の意見、それから全国のいろいろな取組に関する状況を踏まえて、法制化に向けた議論がさらに進んでいくこと、深まっていくこと、それから全国的な相談体制が充実していくことを期待しているところです。

【記者】自動運転バスの今年度の実証実験を見送ったことについて、市長の認識を教えてください。

【市長】これまで2年にわたって実証してきた自動運転についてなのですが、技術的な面で、例えば路上駐車の車両への対応、システムの安定稼働、それから運行コストなど、導入展開にかかる必要な期間やコスト、走行環境の整備など、想定以上に多くの課題があることが分かりました。今後も実証運行をしていこうと計画していたのですが、ここに来てAI技術の発達によって、AIベースの自動運転の技術が日進月歩でアプローチが進んでいまして、熊本市にとっても、いろいろな課題をクリアしていくために新しい技術も含めてさらに検討していった方がいいと判断いたしました。当然、導入容易性や、それから持続可能な運行体制を図るという上でも、コストの問題は非常に大きいものがあります。今、実証実験は国からの補助を受けてやるということでしたが、今後、実際に持続可能な形で、運転士不足などいろいろな課題に対応できるようにするためには、さらにいろいろな研究をしなければいけないということで、今年度の実証実験自体は見送って、自動運転技術に関する最新の動向をしっかり研究して、そして熊本市にフィットする、あるいは熊本市の交通事業者の皆さん方にフィットするような事業にできないかということで、少しやり方を変える形で検討しているということでご理解いただきたいところです。

【記者】今は、AIベースの自動運転の開発を待つ期間になるということでしょうか。

【市長】レベル4まで行こうと考えていたのですが、そこに一足飛びに行ける条件というのは、例えば車両をいろいろ改良しなければいけないとか、さらにコストがかかってしまうということになると、非常に課題が大きい。自分で学習するAIベースの新たなシステム開発が今急速に発展しているので、そういったものを取り入れた方が、コスト面でもより安価になるのではないかと考えているところですので、今後そういった研究をさらに深めていこうということです。自動運転の実験をやめたからといって、自動運転へのアプローチをやめたということではなくて、違う展開で、しかも日進月歩でいろいろなものが進んでいますので、それをしっかり見極めて、適切な時期に適切なシステムが導入できるようにしたいというのが我々の考え方であるということです。

【記者】観光消費額が、2年連続で過去最高となり喜ばしい一方で、ハンタウイルスの集団感染など、インバウンド増加に伴う懸念があれば教えてください。

【市長】ハンタウイルスという新しいウイルスの存在もありますので、この動向については保健衛生上も注視していかなければいけないと思います。感染症対策や危機管理の面では、コロナの時に様々な課題に当たりながら解決してきたわけで、健康危機管理の分野のスタッフもしっかりおります。それから、今、県や大学と連携してそういった感染症への対応をしようということで、先日も連携協定を結んだということもありますし、感染症対応についてはかなりこれまでもいろいろな危機対応をしてきております。観光面で今後、海外からの方がいらっしゃった時に、ハンタウイルスなどの脅威にさらされないようにするためにどうすればいいかは、しっかりシミュレーションしていく必要があると思います。
一方で、皆さんに安全に快適に熊本を訪れていただきたいということに変わりはありません。宿泊税が導入されますので、その財源をしっかり活用しながら、環境整備に努めていきたい。健康危機管理上の問題とはまた別に、しっかり対応していきたい。
国や他の自治体、それから各国の保健機関等とも連携しなければいけないと思いますので、しっかり情報収集をしていきたいと思います。

【記者】今度の市長選について、現時点でのお考えをお聞かせください。

【市長】現時点で申し上げることはないのですが、私自身も、これまでの3期、12年間を今振り返っている最中であります。そして、マニフェストの実行に向けて、検証も含めて取り組んでいるところであります。今この時点では、次の市長選へ出馬するかどうかについて申し上げる時期ではないと思っておりますので、しかるべき時期に改めて表明させていただければと思います。

【記者】先日、市が発表した、個人情報が記載された書類の誤送付について伺います。2024年度以降だけでも生活保護関連で6件紛失していることについて、市長の見解を教えてください。

【市長】個人情報の取り扱いについては、単なる事務処理ミスで片付けていい問題ではないという、強い危機感を持っています。熊本市役所は、市民の皆さんのいろいろな個人情報をお預かりすることが非常に多いので、個人情報の取り扱いに関する職員の意識はもちろんですが、意識だけではそういったものをコントロールすることはできません。当然、意識は高くなければいけないのですが、それと同時に、それが発生しない仕組みをしっかり作っていくことが重要になってきます。そこで、臨時庁議等も行いながら、それから副市長も含めて各局長や各区長、現場を持っているところには特に注意するようにということで、今、いろいろなルールを考えて、改めて引き締めているところです。おっしゃるとおり、非常に多いと思います。これは、非常に重大な状況です。事務処理ミスは、熊本市は全部公表しています。ホームページ上で公表している自治体はそんなに多くはないと思いますが、毎月公表させていただいています。当然、いろいろなミスは起こりうるのですが、起こった時にその情報を隠さないで、とにかく早く市民の皆さんに影響を与えないように公表しつつ、さらにそれについての原因の分析を徹底するということです。どこの判断が悪かったのか。あるいはどこの取り扱いが悪かったのか。例えば、生活保護のいろいろな台帳がアナログで、国の事務である程度決まっているものがあるとはいえ、非常に紙資料が多い。それから、非常に忙しい部署でもあり、人が足りないという中でやっていることもありますので、構造的な問題もあります。生活保護行政だけではなく、繁忙期の時にしっかり職員が応援に入るような仕組みであるとか、それから紙をできるだけデジタルに切り替えていくということは、こういう個人情報の散逸、紛失をなくす上で非常に重要だと思っていますので、そういったことを徹底するように、私からも改めて指示しているところでございます。これは、私にもきちんと報告案件として上げるようにということで、逐一細かいところも含めて、私もしっかり見ながら対応していきたいと思います。まず、市民の皆さんに熊本市役所を信頼していただくためにも、これからもそういったきちんとした対応ができるようにしっかりやっていきたいと思います。そういった事案が6件ですが、他にもいろいろありますので、まずは、そういったことが起こっていることに関しましてお詫びを申し上げたいと思いますし、それを正していくために全力で対応していきたいと思っております。

【記者】ガイドラインを新しく策定されるのでしょうか。

【市長】個人情報の問題はあらゆるセクションにあるので、常に事務処理ミスも含めてきちんと上がってくる仕組みになっていて、誰のどこの部分でミスが起こったのかということから追究して、全庁的に同じような事務について見直す。それから、仕組みの見直しも今しっかりやっております。ガイドラインを作るというよりも、例えばある区の保護課で起こった案件であれば、全部の区で同じようなことが起こりうるだろうということで、一個一個の事象についてすべての関係者を集めて対策を協議しながら、今改善を進めている最中であります。

【記者】雨水出水浸水想定区域図について、以前は内水浸水想定区域図だったと思いますが、名称はこちらに統一されるのでしょうか。

【市長】国土交通省の内水浸水想定区域図作成マニュアルがあって、浸水深が50センチメートル以上、浸水時間が概ね24時間以上継続する場合に浸水継続時間を表示することになっています。45センチメートル以上の浸水が12時間以上または24時間以上継続する区域を浸水継続時間として今回新たな内容として追加しました。水防法第14条の2第2項で規定する内水浸水想定区域図ということでありますが、名称については、今回、雨水出水浸水想定区域の指定に必要な浸水継続時間のシミュレーションが完了したことから、雨水出水浸水想定区域図として公表することになります。わかりにくいと思いますので、詳しくは担当に聞いていただければと思います。そういう形で、今回公表しているのは内水浸水想定区域図のことなのですが、名称としては雨水出水浸水想定区域図ということになりました。

【事務局】水防法によりその名称で規定されています。市長が説明しましたように、浸水継続時間を追加すると雨水出水浸水想定区域図の条件を満たすため、その名称で公表させていただくということになります。

【市長】ただ、分かりにくいです。要は、河川の氾濫ではなくて、浸水する区域はここですということで、市民の皆さんにとって、もっとシンプルで分かりやすい名称があればと考えております。もし、メディアの皆さんも、こういう呼び方がいいのではないかというのがあれば、通称という形が分かりやすいのではないかと思います。皆さん、多分、雨水出水浸水想定区域図とは言わないと思います。もう一回言えと言われても、多分、原稿がなければ言えないと思います。内幕を言えば、実は記者会見の前に、これは読みにくいから(他の分かりやすい名称で)言えないのかという話をしたところだったのですが、正式にやっているということです。

【記者】内水浸水想定区域図はあまり知られていないようなのですが、説明会などの予定はありますか。

【市長】おっしゃるとおり、まだ知られていないです。限られたエリアですから、こういうエリアの皆さんに、まちづくりセンターでいろいろな地域の活動をしていますので、そういったところと一緒になって説明をしたり、予防を呼びかけるということをさせていただければということで、今後、考えていきたいと思います。

【記者】八代市の案件に関連して、前田建設工業の受注がないというのは、現時点でという理解でよろしいですか。過去はいかがでしょうか。

【市長】現時点でということです。過去について、契約状況の詳細は契約監理部にお問い合わせいただければ分かると思います。過去に全くゼロということは多分ないだろうと思いますが、現時点でどうなっているかを調べたら、(工事)契約案件はありませんということでした。

【記者】前田建設工業に限らず、市発注の業務で、八代市と似た疑念が生じるような事案はないでしょうか。

【市長】ないです。先ほど申し上げたように、契約に関しては、契約事務調査会や選定等審査会など、何層にもわたっていろいろな人の目を入れて客観性を高めていますし、もし議員の方から職員だとか副市長だとかに対して何か話があった場合、すべて記録されるので、その時点で皆が共有しますから、そうすると、これは問題がある案件ではないかとなるんです。ただ、今のところそういう案件はありません。平成27年に不当要求等防止の仕組みを入れてからは、議員の皆さんから契約に絡むことや口利きになるようなことは一切ないですので、非常に健全な状況になっているのではないかと思います。過去のいろいろな教訓もあって、元議員の方のパワハラによって(市政が)ゆがめられたという、熊本市の非常に苦い経験があるので、こういう対応を取っていることで、そこはずいぶん改善しているのではないかと思います。とはいえ、公共工事は重層的にいろいろな事業者が入ったりする構造がありますので、いろいろなものが介入していかないように、例えば暴力団関係のフロント企業が入ってくることがないようにするために、桜町の再開発の時も県警と連携協定を結んで、そういう不当な介入を防ぐ仕組みを取ってきましたので、これからもいろいろな大型案件について、できるだけそういうことを排除していくことが非常に重要だと思います。

【記者】庁舎整備のような大型案件について、さらに透明性を高めていくのでしょうか。

【市長】そうです。特に皆さんの関心が高いから、余計に透明性を高めていかなければいけませんし、誰が何を言ったか、どういう手続きで契約がなされたのか、きちんと分かるようにしていかないと、市民の皆さんの不信感や疑惑を生むことになってはいけません。そこを徹底するということは、私自身の政治信条としてもこれまで取り組んできましたし、仮に私がそういうことを何か発言した場合もすべて記録が残る仕組みになっていますので、そういうことはあり得ないと思っております。

【記者】こうのとりのゆりかご19年に関連してお尋ねします。先ほど、193人が預けられて多くのこどもを救った一方で、孤立出産だったり、出自を知る権利の課題もあるというお話があったと思います。当事者の方からは、最終的なゴールとしては、ゆりかごがいらない社会が理想であるという声もあると思いますが、そこに関して市長はどのようにお考えでしょうか。

【市長】19年前と比較してその後大きく変わっているのは、そういうものに対する関心が非常に高まっているということと同時に、多くの皆さんに寄り添えるように、熊本市でも妊娠内密相談センターを設置したように、相談機関をしっかり整えているということです。そこへの相談が非常に多くなっているということは、逆に言えば、(こうのとりのゆりかごを)利用しないでも済む方々がいて、いろいろな悩みや課題を解決できるきっかけになっているのではないかと思います。そういう面では、今後も、そういう相談機関が全国に拡充されていくということが非常に望ましいと思います。とはいえ、まだ課題はありますし、先ほど記者さんもおっしゃったとおり、こうのとりのゆりかごのようなものがない、使われない社会が望ましいと思います。私もドイツに視察をさせていただいて、ベビークラッペを視察して調査した時も、やはり、ないに越したことはない。しかし、最後の最後の砦として残している。ドイツの場合は、内密出産や、それから妊娠葛藤相談所というところが非常に機能して、そういったものを防いでいるというお話がありましたので、何層にもわたってサポートする体制があることが望ましいと思います。

【記者】自民党のPTは、内密出産について考えるPTだと思いますが、ゆりかごについて、今、国に求めたいことはありますか。

【市長】19年間、これまでいろいろな課題がある中で、実はこうのとりのゆりかごが設置されたからこそいろいろな課題が見えてきて、そこで内密出産が検証の場でも出されたわけであります。そこから検討に入っているということもありますので、内密出産とこうのとりのゆりかご、あるいは、いわゆる赤ちゃんポストというものは全部つながっています。自民党で、特に孤独・孤立対策特命委員会でこれを議論されているということは、非常に大きいことではないかと思います。つまり、妊婦さんやお母さんたちが、孤独や孤立にならないようにするためにどうしたらいいのかというアプローチは、非常に重要だと思います。

【記者】自動運転バスについてお尋ねします。この案件はBOLDLY社と連携してやってきたと思いますが、今回の見送りで、契約や連携関係は解消されるという理解でよろしいでしょうか。

【市長】今回、実証実験の部分に関しての契約はないということになりますが、連携自体は、一緒に自動運転の研究やいろいろなものも進めてきているので、そういった面での情報交換や関係性は今後も続いていくと思います。

【記者】最初の触れ込みは、AI技術を活用した自動運転バスの導入ということでした。実証実験を見送った理由の中に、AI技術が進歩しているのでそれを研究するというものがあったのですが、これは別の分野のAI技術ということなのでしょうか。

【市長】AI自体が自分で学習していくシステムができてきたということです。自分で走行ルート等いろいろなものを学習しながらやるシステムの開発が進んできたという、他のアプローチが出てきているということです。AIと言っても、当然のことながら全部一緒ではありません。いろいろな分野があります。それについて、今、技術革新が非常に早い。本当に日進月歩というか、数ヶ月で大きく変わってしまうということがありますので、そういう面では、新たなシステム開発の動向を見極めたいということがございます。

【記者】これまでのAI技術では、学習していなかったのでしょうか。

【市長】いえ、ある程度は学習していたと思いますが、レベルが違うと思います。詳しいことは、担当の方に聞いていただければと思います。ただ、少なくとも私もいろいろな生成AIを活用するのですが、日々バージョンが上がっていっています。常に最新動向を見ながら、最適なものを選んでいくことが必要ですので、既存の実証実験をやめたからといって、それで後退するとか、そういうことではなくて、どんどん新しいものに転換していって、ベストなものを熊本市として選択をしたい。こういうことでの一環だとご理解いただければと思います。


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