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公園の進化を考える(都市政策研究所第30回講演会講演録)

最終更新日:2021年2月5日
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都市政策研究所では、自治体職員や市民に向け、都市政策に関する様々な知見を提供するために、各分野の著名な方をお招きし、講演会を開催しています。令和2年(2020年)8月28日に、第30回講演会を下記のとおり開催しました。

概要

講演写真

第30回講演会の様子

開催概要

【日時】 令年2年(2020年)8月28日(金)午後3時~ 2時間程度

【手法】 オンライン講演会(Microsoft teams使用)
講演
【演題】「新型コロナ感染症によるパンデミックと全国都市緑化くまもとフェア 2022の間に公園の進化を考える―熊本の公園の価値を高める方策―」
【講師】 熊本市都市政策研究所 所長 蓑茂 壽太郎 氏
研究員報告
  • 【テーマ】熊本地震(2016)時の産業保健活動の実際と課題
  • 【報告者】熊本市都市政策研究所 併任研究員 藤井 可
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              講演要旨

               都市の成立に繋がったイギリスの産業革命と公園は深く関係しています。近代都市の誕生後、ロンドンを中心とするスラム地帯でコレラが発生しました。そうした感染症対策の一つに、ロイヤルパークという王室の狩猟園の開放運動がありました。新鮮な空気を吸い、太陽の光を浴びることで健康を維持するという考えです。その後、公共の公園を新しく作る運動が起こります。そこで当時は、都市の公園が「都市の肺臓」や「都市の窓」と喩えられ、なくてはならない大事な空間となりました。

               また、工業化が進んでいたリバプールの郊外に作られたバーケンヘッドという公園では、公園の周りに住宅地を配置し、その収益で公園を整備するという公園の外部経済を目論んだマネジメントの考えをすでに取り込んでいます。これが約170年前のことです。そうしたわけで、公園の未来を考えていく上では、170年前にまで遡って議論を広げ思考していかなければならないと思います。

               日本の公園制度ができたのは、明治6年の太政官布達第16号とされています。これによって公園地の指定が進み、続いて各都市で公園の整備が本格化します。明治6年の東京では寛永寺の境内等に上野公園、芝の増上寺境内に芝公園等が誕生します。そうした公園を維持管理するためには財源が必要でしたが、これを独立した会計で年度ごとに内部留保もして、資金を備えて公園のマネジメントをしていた資料もあり、工夫をすることによって知恵を出し公園経営をやっていたわけです。これが約150年前の日本の公園です。熊本では、明治32年に熊本市内に下川原公園ができています。白川の河川敷に人造温泉を設けて食事を出したりして収入を得て経営をしていました。120年前の熊本のことです。

               そして、関東地域で大震災がありました。防災の日となっている91日、大正12年のことです。この関東大震災の復興公園は、いろんな意味で日本の公園の進化に貢献しました。これが約100年前のことです。熊本地震の際は、公園の備蓄倉庫の物資を利用して人々が難を凌いでいました。有事の際に公園がこのように有効に機能するならば、公園が無くてはならない存在であるということがよくわかると思います。

               以上、歴史的トピックを取り上げてきましたが、都市公園の価値は次第に向上してきたと思います。それは機能の重層化と言って良いと思います。都市公園に対する新しい使命が次々と加わることによって公園は進化してきたと言うことができます。

               観光地のホテルに行くと、四季折々の風情を感じさせる公園風景の眺めのいい部屋とそうでない部屋があり、この眺めの違いで値段に差があります。そうした景色の便益を受けているのに、ホテルは公園に直接はお金を払っていません。そうした現象をきちんとした政策にまで昇華させる仕組みもできていないからです。これからは公園の外部経済までを考えることが求められます。近隣公園を日常的に使っている人は、公園管理の経費が必要なら少しは払う意思があることが研究されています。これからは、それをきちんと計画すべきだと思います。

               全国で都市公園の整備が急速に進んだのは、昭和47年に社会資本整備の長期計画5箇年計画が都市公園にも適用されてからです。しかしその後、公園の量が増えていくのに公園の維持管理費がそれに応じた伸びでないのが課題となりました。公園を生むことから育てることへ社会はシフトしてきています。ストックマネジメントをどう考えるかが大事な課題となっています。

               今後は、グリーンインフラの視点で個別機能に分化して造られてきた公園を機能の統合として捉え直す必要があるように思います。そこで必要なのがデザイン思考です。既存の公園の再デザインが到来します。その流れの中で公園マネジメントが求められるでしょう。コロナ禍において新しい日常やパブリックスペースの使いこなし、さらには、公共の全てを行政が担うのではなく、市民が担う部分が増えていくはずです。

               日本社会は大きく変わってきています。その変化に公園は対応しているのでしょうか。モノの消費からコトの消費に変わってきていますが、そうなると単に昼食を提供すればいい、お土産を置けばいい公園食堂や売店から公園レストランやパークショップの時代になると思います。対応していくために民間の活力やノウハウを活用していくことになります。近年の公民連携の動きに必要なのは、ここでの大義と共感です。私は、多様な公園サポーター制度による新時代が訪れると思っています。加えて、空間を良くする事業だけでなく、プログラムを作るソフトの改革も同時にやらないと公園は進化しません。これを指定管理者等の民間の力を入れることでスピード感豊かにやれたと思います。その時大事なのがモニタリングです。反響を見て次をやることが、公園行政では非常に重要だと感じています。

               最後に、これから風景主導の社会が来ると思います。公園を核として地域の再デザインを考える。熊本で車道をシンボルプロムナードに変えるプロジェクトが達成できそうなのは、地域が公園を作り、地域力が公園をよみがえらせるという相互作用の基本的理念があるからだと思います。地域と公園を一体的に扱い、公園のマネジメントで終わるのではなく、その周辺を含めたエリアマネジメントというものに展開していく。そうすることによって、既存の公園が本当に都市で生かされるということ。そこが重要です。そこで大事なのが人材です。人財と呼べる人の育成が重要になります。

               人の関わりが、公園の落ち葉をごみではなくアートにする。落ち葉が落ちて終わるのではなく、それをきれいに映るものにする。それをその公園の訪問者が知ったら公園の価値は倍増するのではないでしょうか。

               

              ※講演会要旨の文責は都市政策研究所にあります。

              ※内容の詳細は講演録をご覧ください。

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