【記者】本庁舎整備に関してお伺いします。先ほどの議会運営委員会にて、市長自身が建て替えの方向で進めたいと市の方針を示されました。これは有識者会議の答申を重く受け止めたという理由かと思うのですが、答申のどの部分を特に考慮されたのか等、詳しい理由を教えてください。
【市長】まずこの方針に関しましては、非常に多岐にわたってご議論いただきました。しかも長期にわたってご議論いただいたことについて、平田会長をはじめ多くの委員の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。そして私としてもこの答申にありますとおり、現庁舎が耐震性能を有しておらず耐震改修も実現性が低いということ、機械設備が地下に配置をされているなど防災拠点としての機能を果たすことができないリスクがあるということ、庁舎が狭隘であるということなど、現庁舎に様々な課題があり、これらを解決するために総合的に勘案した結果、建て替えの方針で進めていくという結論に至りました。
【記者】建て替えを行うのか、あるいは大規模改修をするのかを巡っては、市民または議会の間でこれまで賛否様々な意見があったと思います。今回市長が表明された方針について、市民の方々と議会の理解は得られるとお考えでしょうか。
【市長】有識者会議において、その辺りの論点については十分に議論を尽くしていただき、一定程度の結論を導いていただいたと思っています。その内容を市民の皆様にご理解いただくことが必要であり、その上で我々も建て替えありきということではなく、これまでゼロベースという形で有識者会議に諮問し、その結論が建て替えるべきだということでの答申があったということ、これは予断を持たずに様々な議論を、2年程の長い期間ご審議いただいておりますので、その内容をきちんとわかりやすく市民の皆様にお示しすれば、ご理解をいただけるものだと考えています。
【記者】今後の方向性等については、本庁舎のあるべき姿や求める機能など具体的な考えを示しながらとお話されました。令和2年度に市として基本構想を作成していると思うのですが、これの取扱いはどうなるのかということと、今後示される具体的な考え方はいつ頃どういった形で示されるのかを教えてください。
【市長】有識者会議での答申が出たばかりですので、まずはそれを踏まえた上で市議会での説明をしっかりさせていただき、同時にご意見もいただきながら議論を深めていきたいと考えています。これまでの様々な検討案は無駄にはならないはずですので、色々なものを俎上に上げながら、特に今回、新たにまちづくりの観点などの、熊本市役所単体で考えるのではなく、経済界やいろんな皆さん方からのご意見を聴きながら考えていくべきだろうと答申の中身にもそうした趣旨のことが触れられておりましたので、今後は議会での議論のスタートとあわせて、そういった様々な検討をしながら、できるだけ早く(熊本市が)考える(市庁舎の)姿というものをお示しできればと思っています。
時期的なものは、現時点では明確に申し上げられませんが、これからどんどん前に進めていくという事でご理解いただければと思います。
【記者】提出議案にありました令和2年6月5日に熊本市民病院で発生した医療事故に関してお伺いします。第三者委員会から、その時の対応が一般的ではないという指摘があったと思いますが、この件に関しての市長の受け止めをお願いします。
【市長】まず今回、熊本市民病院で発生した医療事故において、重度の後遺障害が患者さんに発生したということ、そしてご本人並びにご家族の皆様に、改めて市を代表して心からお詫びを申し上げたいと思います。このような事故が起こることがないように医療安全管理を徹底し、市民の皆さんの健康、そして安全を守るという病院としての責任を果たせるようしっかり対応していきたいと思っています。
今回の医療事故については和解に至ったわけですが、産婦人科の医療事故の事例に経験のある弁護人の方が、双方の代理人となって協議を重ねて、合意に至ったということです。これは判断も含めていろいろな事実があったと思いますが、今回このように和解に至ったということについて、胎児に重大な容態の変化が生じたということ、そして、医師の判断の遅れや経過観察の部分は、例えば帝王切開を実施することが一般的であるが経過観察が続けられたということがあり、その後胎児の心音が確認できないとの理由から、緊急に帝王切開の方針を決めたことでありますが、分娩が急速に進んでしまい、胎児は経腟分娩によって重症の新生児仮死の状態で娩出されました。その結果、相手方に重度の障害が残ることになりました。
原因分析は、院内調査をしっかりと行った上で、日本医療機能評価機構の原因分析によって、昨年9月に緊急帝王切開の判断に遅れがあった可能性を指摘され、その後市民病院の弁護士への見解確認もいろいろと行いましたが、市民病院の責任を認めるという判断をいたしました。
【記者】TSMCに関連してお伺いします。先日のTSMC株主総会において、第2工場を菊陽町周辺に計画しているとのことでしたが、工場が増えるとなると地下水や渋滞の問題であったり、その問題の悪化も予想されると思います。熊本市として対策を加速していくような考えはありますか。
【市長】TSMCの第2工場については、私も報道で知ったところであり、大変大きなビッグニュースだなと受け止めました。そしてこれが実現していけば、経済の活性化そして日本の中での半導体産業の拠点エリアとして、この熊本都市圏が世界的に注目を浴びるような拠点になることに、非常に期待感を持っております。
ですので、まだ明確に土地が確保されてどこにどのくらいの規模のものを建てますといった事ははっきりしていませんので、現段階では特段のコメントは差し控えたいと思いますが、ただそういった大きな期待と共に住民の皆さんからは、TSMCの工場周辺だけでなく、こういった大きな企業の立地が進んでいくと関連企業の立地が進んでいきますので、周辺の生活環境に対する影響を心配される声が、恐らくこれから出てくるのではないかと思います。
渋滞の問題、これが一つあるかなと思いますし、また地下水の問題についても既に皆さんからご心配のお話がいろいろ出ております。先日私も地下水財団理事長として、県やJASMを含めた関連団体と協定を締結しましたが、こうした環境保全対策と交通の円滑化に関しては、より重点的に行っていく必要があると思います。既に最初の工場の建設が進んでおり、現在の状態をしっかりモニターしておりますので、今後、水質や地下水の量、涵養の状況など、こういったものをたくさんの観測点において、しっかりとデータをオープンにしながら市民・県民の皆さんに不安がないように努めていきたい。これが熊本市、地下水財団としての責務であると考えています。
この件に関しては、恐らく菊陽町に立地することになると思われますが、それ以外にも合志市にソニーが進出を決めたり、他にもまだまだ進出してくる案件があります。ですが、これらはほぼ熊本都市圏域の中に入っています。連携中枢都市圏の中枢都市として熊本市がありますので、そういう意味で、これからシリコンアイランド九州の中心的なエリアとなるのが、熊本都市圏エリアとなりますので、熊本市としては、近隣自治体との情報共有をしっかり行い、県ともしっかり連携しながら、この進出が熊本の経済など様々な面においてプラスになるように、全力で取り組んでいきたいと考えています。
【記者】6月補正予算に関してお伺いします。市民ボランティア等に対するくまもとポイント事業という内容がありますが、この事業の狙いについてお聞かせください。
【市長】くまもとポイント事業という形で今回予算を計上し、これから制度設計を行っていきます。例えば地域活動やボランティア活動に参加される方々が、活動内容をスマートフォン等のアプリ上で証明できるようにしたり、活動に応じたポイントを付与することによって、地域活動やボランティア活動を行ったことが、一つの価値に転換されるわけです。そうすると、それが社会全体で評価をされる仕組みとなり、自分もボランティア活動あるいは地域貢献を行ったことによるポイントの付与によって自身のやる気や、また参加してみようというきっかけにも繋がると思っています。
今はスマートフォンのアプリを活用したいろんなものがありますが、やはりできるだけ使いやすく、かつ分かりやすいものにして多くの方に利活用していただくこと、これが広がっていくと、私がマニフェストにも掲げております成熟した地域社会の構築や、地域のコミュニティを活性化するツールになっていくと思いますので、いろんな地域活動において自治会の役員など一部の方だけに負担がかかってしまうようなことではなく、みんなで少しずついろんなものをケアしながら負担を軽減していくことにより、こういうポイントもあるよということで割と楽しく参画できて、同時にそういった広がりができていけば、より上質な生活都市へとつながっていくのかなと期待しております。
これから様々なご意見を聴きながら制度を作っていきますので、できるだけ幅広く74万市民の皆さんにダウンロードしていただける様なものに繋がっていけばと思いますし、これがひいては熊本市の連携中枢都市圏でも利用できるようなるなど、総合的に横展開ができていくようになれば、またそれは熊本県全体でもプラスに働いていくと思っております。今現在ではまず、予算を活用させていただき、制度設計を行っていきたいと考えています。
【記者】ポイントの使い道に関しては商業利用も検討されているとのことですが、民間企業のポイントカードのように、商業施設での利用も視野に入れて考えていらっしゃるのでしょうか。
【市長】どのようなポイントになるということは、いろいろと検討する必要があると思いますが、多くの市民の皆さんに使っていただくように、そしてくまもとポイントですから、熊本のエリアの中でうまく使えるような仕組みができると、地域内での経済循環へ資するものとなり、地域や経済の活性化に繋がっていくと思います。ですので、そういった考え方も取り入れつつ、事業者の皆さんとも話をしながら構築できればいいなと思います。
【記者】立野ダムについてお伺いします。本格運用は来年度ということですが、既に完成しており、洪水調整機能は機能するということですので、これから迎える梅雨時期にどのように国と連携していくのか。また最大の受益者としてどのようなスタンスで対応されていくのか、市長のお考えをお聞かせください。
【市長】今回梅雨の時期を迎える前に立野ダムが完成したということ、本体の構造がほぼ出来上がっており、そしてダムとしての機能が発揮できるということは下流域で1番恩恵を受けるのは熊本市のエリアですので非常にありがたく思います。上流域の皆さんには色々とご迷惑をおかけするかもしれませんが、これは皆様がご努力をいただいたおかげで、こうして完成したということは、一つまず市民の皆さんの安心につながると思います。
それから今、特に線状降水帯も含めて非常に短時間で大きな雨雲がかかって大量の雨が降るということが各地で起こっておりますので、熊本でいつ起こってもおかしくないと思います。そう考えますと、この立野ダムの、ダムの洪水調整機能ということと同時に、やはり皆さんに、避難していただく意識をいかに強く持っていただくのかが重要であり、テレビ局でも「スイッチ」(現在熊本のテレビ局5社の合同キャンペーンで早期避難の呼びかけを行っている)とやっていますが、やはり皆さんが避難のスイッチをすぐ入れて、できるだけ予防的な避難をするといった取組を併せてやらなければ、これはただ単にダムが完成したので、もっと白川の治水安全が高まりましたよということだけでは十分ではないと思います。まだまだ治水安全度を高めていくべきであると思います。
ただ、現時点ではそういう状況ですので、特に川沿いや浸水をするエリアのリスクがある皆さんに早く避難していただくことが重要かと思いますので、そういう意味では様々な危機管理の観点から、先日は防災会議も開催されましたが、防災機関との連携を図り、また国との連携はもちろん、今までもダムがあろうがなかろうが常に九州地方整備局や熊本河川国道事務所とは常に川の氾濫がないか、氾濫する恐れがないかどうかも、ホットラインを通じて常に連携をしております。ですのでこれからも、その連携をさらに強化しながら取り組んでいき、皆さんの安全安心につなげていきたいと思います。
【記者】市長は白川改修・立野ダム建設促進期成会の会長としてもいろいろご対応されてるかと思うのですが、予算面に関して今後立野ダムを維持していくにあたり、市としてどういうスタンスで国と向き合っていくのか、市長のお考えを聞かせください。
【市長】もちろん洪水の調整も含めて、一定程度それは河川管理者である国に主体的にいろいろなことを行っていただくべきものだと思っていますが、もちろん必要に応じた負担割合などもありますので、そういったことがあれば適切に対応していきたいと考えています。
何か今から特段大きな予算が増えたといったことはありませんので、そうした心配はしておりませんが、こういった防災や減災につながるようなことに関してはしっかり対策をし、それから国としても、国土強靱化等のいろいろな法案も今出ているところですが、こうした予算が継続的に確保されなければならない。
そういうことは国に対して全国市長会や九州市長会等々で既に要望を上げているところではありますが、昨日、官房長官や各政府の皆さん方にお目にかかり、ご挨拶の際に様々な要請もさせていただきましたので、そういった予算の確保は国の方でもしっかりやって頂きたいなと思います。
【記者】熊本乳児院の件に関してお伺いします。昨日、熊本乳児院が、(市から)改善勧告が出たということを受け、再発防止策をまとめた改善計画を出されたと思います。今後熊本市として、これから管理・監督・指導という形をどのように向き合っていくのかを改めてお聞かせください。
【市長】昨日、報告書が提出されましたので、これを受けて現在我々も内部的に精査をしているところです。この内容についてはもう既にホームページ等でオープンになっておりますのでご覧になられたかと思いますが、これまで子どもの権利を守る、あるいは子どもが安全安心な環境で養育されるように努めるには、いろいろと課題や問題がいろいろ生じてしまい、そして職員や運営する側の皆さんとの疑心暗鬼や様々な事が重なり、結果としてこれは、ガバナンスに大きな問題があったと言わざるを得ないと、私は思っています。ですので、担当には厳しく対応するようにということで私から指示をしまして、いろいろ調査をした結果、改善勧告という形で勧告し、改善計画という形で出されたという事ですので、今後もこうした様々な再発防止策を徹底していくように指導を強化していきたいと思っています。
ただ、現在入所児童の状況等もきちんと安全確保し運営されているとのことですので、そのあたりは行政として(運営体制に問題がないか)チェックを行うこと、それから定期的な指導監査と随時施設への立入りをするなど、そういったことも行いつつ、同時にいろんなスタッフの皆さんの状況もよく聞きながら、運営体制に問題がないのかも含めて、調査をしながら適切に指導していきたいと思っています。
今回、運営体制を随分変えられるということで伺っておりますので、その後しっかり体制が機能しているのかどうかということについて、しっかり見ていく必要があると思います。それと同時に、法人が第三者委員会を設置されるということですので、想定されるメンバーの皆さんの名前や経歴を確認させていただいたところですが、十分チェックが機能する体制ではないかと私は感じておりますので、改善勧告を行って報告書が出たことを受け、第三者委員会の運営状況についてもしっかりチェックして、今後二度とこのような事例や問題が起こらないように、熊本市として徹底的に指導していきたいと考えております。
【記者】市庁舎の整備に関してお伺いします。現地で建て替えるか、または新築して移転するかについてはいつ頃に目処が立つのかという事と、財源については合併推進債を使われる予定かどうか、以上2点について教えてください。
【市長】本庁舎を建て替える場所については恐らくこれから本格的な議論に入っていくと思いますので、いつぐらいの時期にそれが確立できるかという事については、まだ明確に申し上げられません。
ただ、合併推進債を活用してできるだけそういった負担を軽減していくということで考えておりますので、そういう意味では余り悠長に構えている状況ではないかなと思います。ですが、答申の中でもありましたとおり市庁舎というのは、まちづくりにも非常に大きな影響を与えるものでもあるということですので、そういったところは関連の皆さんからお話を伺いながら、また民間の方からもいろんなご提案があるのかもしれませんので、そういったものもしっかりと聴き、そして議会の場においても、恐らく次の定例会から議論がスタートし活発なご議論をいただけると思いますので、その中で様々なことをしっかり受け止めながら、早く皆様にできるだけ良い案がお示しできるように努めたいと思います。
【記者】市庁舎整備の財源に関してお伺いします。合併推進債の活用を念頭に考えているとお話されましたが、これが優先方針ということでよろしいのか、あるいは3月定例会の中では民間活力の活用についても研究されていました。そのあたりの財源についてどうお考えになられているのか、整理して教えてください。
【市長】まだ明確に民間の財源的な面での検討ができているわけではありませんし、有識者会議の方針が出て建て替えする方向性ということをお示ししたばかりであり、これから議論をスタートしますという事ですので、そのあたりについてはまだ明確になっておりません。
ただ、合併推進債があるからそれに合わせてやるということではいけませんし、いかに市役所の防災機能やまちづくりの機能も含めて、今回いろいろとご指摘を受けたような機能をきちんとクリアできるような状態にするのかというのが1番大事なところであると思います。その上でどうやって財政負担を減らし、できるだけ市民の負担を抑えていけるのかが重要になってきますので、そうしたものも注視しながらバランスの取れた計画を策定していかなければならないと考えています。
【記者】今朝の新聞記事にありました、支援措置の閲覧制限に関してお伺いします。夫のドメスティックバイオレンスから逃れて熊本市に移住した女性に対し、市が住所の閲覧制限などの支援措置を断り、避難先が記載された納税関係書類を夫の依頼に応じて送付していたことが判明した件について、市は対応に違法性はないとしていますが、女性は転居を余儀なくされています。本事案についての市長の受け止めをお聞かせください。
【市長】私も報道の見出しを見て非常に驚きましたが、今回の件については、まだ報道があった中で事実関係が確認できていない部分がございます。DVの被害者の方を守るために、プライバシーに深く関わるような情報をしっかり保護されているということであり、どの方で、どういった相談内容なのかという事が特定できないという状況です。
ただ、この報道の状況を私も拝見しましたが、より被害者の立場に寄り添った対応をとらなければならないと思っていますので、今回報道のあったケースに照らして、しっかりとした対応を取ることができる体制を整えるようにということで、私から担当へ指示をしております。
本市では、加害者に基本的には知られていない住所に移り住んだ後に、支援措置の申し出をされるように助言しているということですが、この運用の在り方についても、案件によって状況が様々だと思います。例えば、記事の中で杓子定規であると弁護士さんのコメントがありましたが、行政としては、いろんな取扱いについてある程度のルールを決めた上で運用を行っておりますので、今回の支援措置の対応も、申出の状況に関してもいろんなケースがある中で、窓口としては丁寧に対応させていただいていると思っております。
ただ一方で、相談者の方にもっと寄り添ってニーズに対応できているかどうかという点に関しては、今回の報道の事実もしっかり把握し確認をして対応するようにということで、私から指示をいたしました。
【記者】市長からの指示というのは、新聞報道を受けて本日担当課へ指示をしたという認識でよろしいですか。
【市長】その通りです。
【記者】先週金曜日の熊日新聞の記事に関してお伺いします。現在市役所職員をかたった還付金詐欺が急増しており、特に4月以降倍増と言っていい程の相談件数が寄せられいるとのことです。この状況について市長が把握されているかということ、また還付金詐欺について今後対策を検討される予定があるのか、あるいはもう既に検討されているものがあれば教えてください。
【市長】これは皆さんご承知のとおり「電話でお金詐欺」という事案であり、これまで県警の生活安全課など様々な担当部署と一緒に取り組んでおりますので、被害にあわれる恐れのある皆さん方には、電話でお金の話題が出るものは詐欺だと認識を持つことで十分注意をしていただきたいと思います。
行政としては、悪意を持って還付金詐欺をはたらく人達に対して、予防的に何か行うということはなかなか難しい部分がありますので、やはり皆さん方に危機意識を持っていただくために、これからも啓発をしっかり行っていくということが非常に重要だと思いますので、こういったいろんなケースについては、現在担当部局のほうで全部調査を行い、把握をしながら取り組んでいるところです。
ですが、詐欺というのは巧妙にいろんな手口を使っていますし、最近は海外にある拠点が摘発をされたりする事件をよく目にします。そうやって行政を騙る、あるいはいろいろな公的機関を騙って言葉巧みに色々と言ってきますので、そういったものに対する啓発は、より一層強力に進めていきたいと考えています。
【記者】市電延伸についてお尋ねします。先ほど議会運営委員会の中でも、公共交通を取り巻く環境変化があるので基本設計の修正に係る予算を計上するとのご発言がありましたが、新型コロナなどいろいろと状況が変化している中で、ルートの再検討等の大幅な修正はあるのでしょうか。
【市長】現在は先ほど申し上げたとおり、令和2年度に基本設計を実施していますので、それをベースにいろいろなことを修正し、また現状に合わせてできるだけスピーディーに、そういった今のニーズに応えられるようにするという意味では、そこを追求していく事になろうかと思います。
課題としては、渋滞が以前よりもさらにひどくなっている部分がある点や、今後大きな企業の進出等々によって、また周辺の交通環境が変わってまいります。ですのでそういったことも、予測をしながら公共交通網はより充実をさせていかなければいけないものですし、道路の問題と併せて道路の整備も進めていくのと同時に、公共交通が非常に弱いので、特にこの市電の延伸というのはわかりやすくて非常に利便性が高いと皆さんに評価していただいておりますので、コロナ禍で若干乗客数が減ったという事はありますが、一方健軍電停あたりでは、積み残し客といいまして、これは健軍電停に限りませんが、たくさんの方が利用しており、特に健軍は終点でもあり始発の停留所ですので、そういったものを解消できるように、こういった延伸が更にそれに貢献できるような形で考えていきたいと思います。渋滞の緩和であったり、公共交通の今までの不便なところを利便性を高め、もっと多くの利用者の方に乗っていただけるように展開をしていくという意味では、今後のいろいろな将来への展望についても議会や市民の皆さんからの要望等もお寄せいただくことになるかと思います。実はもう既に、もっと延伸してください、他の路線も考えてほしいなどいろんな話が出ておりますので、一歩一歩やっていきたいと思っております。
【記者】支援措置の閲覧制限に関してお伺いします。先ほど市長は、事実確認ができていないとお話されましたが、この件に関して担当の地域政策課にお伺いしたところ、2月の相談の記録がないとの回答を受けました。記録が存在しない中で今後どのように事実確認を進めていくのかということ、また相談の記録がないこと自体についてどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
【市長】このような相談自体がプライバシーに深く関わるということもあり、不要な個人情報は記録をしないことにしております。ただ、いろんな相談がある中で、もちろんいろんな開示はしないということは当然ありますが、記録をきちんと追っていくことは非常に重要なことですので、そういったことについても今回の件を踏まえて、また検討をしていきたいと思います。この記事を踏まえてどういう在り方がいいのかということ、そしてこの被害者の救済のために、被害者の立場に寄り添った対応を考えるように指示をしておりますので、それは今から考えていくことになるかと思います。
私が担当課より聞く限りでは、いろんな事情をお聴きしながらかなり丁寧に対応しているということでありまして、一般的に支援措置とは一部情報をオープンにしないということではありますが、やはり類推をされるような親戚の家などに閲覧制限をかけて止めたとしても、果たしてそれが十分に被害者の皆さんを保護するために機能するものなのかどうかということに関しては、いろいろ運用上の考えはあったかと思います。
ただ、私は今回のこの報道も含めて、杓子定規に過ぎないような対応を考えるべきだと担当者に強く指示をしたところです。何が大事かといったら、そういう被害にあっている人たちをいかに守るかというこの視点ですので、法律上問題がないとかルール上問題がないからではなく、そういう視点をしっかり職員には持ってもらい、特に窓口には困った方がたくさんお見えになりますので、きちんとした記録の取り方も一つ一つ考えなければいけないでしょうし、それからそういった情報の取扱い等々についても、しっかり検討しなければいけないと思いますので、今回のことは新聞記事の中でご指摘いただいたことによって、我々の対応をしっかり見直すというところにつながっていると私は思いますので、実際に事実関係というものが確認出来てないことに関しては大変申し訳ないと思いますが、一方でそういう事実などについて明らかになってきた段階で、課題や問題点、それと我々が振り返って反省すべき点がなにかということについては、しっかり検証していきたいと思います。
【記者】今回の件に関して事実確認が取れていない部分に関しては、市として事実確認は行わないという認識で間違いありませんか。
【市長】事実確認はできる範囲で行っていきたいと私は思っています。ですので、今回新聞記事でご指摘なさった方から申し出をいただくことになれば、その際は丁寧に対応させていただきたいと思いますし、我々も分かる範囲の中でできる限りのことを尽くしたいと思っています。
いずれにしましても、市役所の窓口にはたくさんの方がお見えになり、多様なご相談があります。その時に我々市役所の職員は、何が大事かという本質を見失わないようにしなければいけないと、私から直接言いました。
例えば、このDVの加害者からいかに被害者を守っていくのかという視点、それがあればもう少し違った対応ができたかもしれません。また、ルールや運用上の取扱いを変えたほうがいいのであれば、それは柔軟に変えていく必要があると思いますし、それは市民の皆さんに寄り添った対応を徹底していくことに尽きるかなと思います。
一方で、例えば税法上いろんなルールとして決められていることを、適切に運用するという事は必要なことでもありますので、その辺のメリハリをしっかりつけるということ、そして窓口へご相談に来られた市民の皆さん方にも課題の解決につながるように全力を尽くす、知恵を尽くすというのが、現場で従事する職員の責務であると思います。それが市民の皆さんへの信頼につながっていくと思いますので、そこは今回の報道も含めた様々な案件について、また先日オンブズマンからのいろんなご指摘があった件についても、それを真摯に受け止め、対応していくという行政の姿勢が必要だと思っていますので、今後とも私から職員への指導を強化し、徹底するように努めてまいります。
以上。