【記者】バス電車無料の日の効果分析についてお伺いします。資料を見ますと、12月から3月の流れは環境負荷や経済効果でいい方向に働いているのかなという印象を受けるのですが、改めて全体の結果に関して市長の受け止めをお聞かせください。
【市長】全体としてバス電車無料の日が、今まで全く公共交通を使っていなかった、バスや電車に乗ったことがない、あるいは日常的にほとんど乗ってないという方が利用する大きなきっかけになっているということ、そして1回乗ってみるとこれは意外といいぞということで、多くの皆さん方が、さらに乗ってみよう、今日は車じゃなくてバスや電車を利用しようという行動につながる結果となっていると受け止めております。実際に、昨年12月と3月の実施時点でも、これだけ(利用が)伸びていることを考えましても、非常に効果があるのではないかと思います。
バスや電車については、乗りにくいとか時刻表が分かりにくいといった、いろんなお話があったのですが、昨日メディアの皆様に報じていただいたかと思いますが、共同経営推進室を通して、それぞれの運行会社の皆さん方が協力しながら、より乗りやすく、使いやすくするために、例えば時刻表を統一するなどいろんな取組をされています。バスの料金も、市街中心部のエリアに限られますが、180円均一という事になりますので、多くの皆さんが公共交通を利用しやすい環境を、一歩ずつ、ユーザーの声を聴きながら、こうやってバス電車無料の日で(公共交通の)利用者が増えることによる新たな気づきや、今まで利用されていない方々から、もう少しこうなれば便利になるのに、もう少しこうなれば使えるのに、などのアンケート等で色々な要望もいただくことになりますので、これは継続して、12月にもやりますけれども、今回、10月に実施をいたします。また、私はこの効果については時間をかけて分析する必要があると思っています。と言いますのも、先ほどグラフにもありましたとおり、当然12月実施時から(利用者は)増えていますが、今年の5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に変わりまして、この時点よりも行動が広がっていると思われますので、新型コロナの影響がバス電車無料の日と重なる部分があるものですから、純粋にどのように皆さんの行動変移につながっているのかというのは、もう少し幾つかの時期を長く見ていくことによって、その効果がさらに倍増していくのではないかと思っていますので、今後も継続したいと考えております。とりあえず12月実施分の予算まで確保しております。
【記者】くまもと花博2023についてお伺いします。今回は秋開催ということで、私自身秋と花とは少し結び付きにくいイメージがあるのですが、市長はどのような風景を市民の方に楽しんでいただきたいとお考えですか。
【市長】前回は春に開催しており、春は1年のうちでも非常にいろいろな種類の花が咲く時期でもありますが、秋にもコスモスなどの四季咲きの花もありますし、例えばバラであれば5月の連休の前後ぐらいが全盛期になります。ですが、その時期ではない秋バラというのも、また趣があっていいですし、動植物園のコスモスにいたっては、それは壮大な光景が広がります。それから、季節ごとに花の種類が違うことによって感じていただけることが多いのではないかと思いますし、また紅葉シーズンになりますので、紅葉狩りの時期にも重なるのかなと思います。そういう季節ごとの自然の環境や風景を楽しんでいただけるという意味では、秋というのはいろんなイベントも多いですし、秋は少しセンチメンタルな気分になりませんか。私は秋が大好きです。少し涼しくなって、ちょっと物悲しい感じもするけれども、花や緑に触れて気分が癒やされればな、豊かな気持ちになっていただけたらなと、そんな気持ちでおります。秋もいいですよ。是非楽しんでいただけたらと思います。
【記者】10月1日からチャットGPTが熊本市で本格導入すると発表されましたが、この件に関しての市長の受け止めをお願いします。
【市長】これまでも生成AIについては、今年度に入り6月から実証実験という形で進めてまいりました。業務の効率化にどの程度資するものなのか、あるいは職員の負担低減などいろんなものに繋がっていくものなのかどうか、例えば形式的なものを生成AI に任せることによって、政策の立案であったり、直接市民に関わるような業務に集中できる新しい時間を生み出すことになりますので、(生産性の向上に)効果があるものだろうと思いながら、100名以上の職員がそれぞれの分野、部署においてトライアルを行ってきました。
実際に、検証結果はかなり効果があると見込まれているということで、熊本市の正規職員7400名のうちの(生成AI)利用者が回答したアンケートによると、作業時間が短縮したと回答した割合が54%で、1ヶ月あたりに1人1時間仕事を短縮できると仮定した場合に、文書作成に生成AIを活用することによる削減時間は、年間4万8000時間と見込まれると試算しています。これは、正規職員の賃金を仮に1時間2000円とした場合、9600万円に相当するという事ですので、財政的にも効果のあるものではないかと思います。
一方で、いろいろな検証の中で古い情報が出てくるなど、正確性についてしっかりとした検証を行わなければならないことが分かりましたので、それはガイドラインの中でしっかりと運用を定めながら実際に運用はしていきますが、やはり人間の力と合わさって、より効果を発揮していくものだと思います。
熊本市の場合は、マイクロソフト社といろいろな業務提携をしておりまして、Bing Chat Enterpriseというサービスを利用します。これは追加費用負担なしで、非常にセキュリティの高いものにアクセスできるということになります。詳しくは担当課にお尋ねいただければと思いますが、セキュリティが強固なもので、かつ他のオープンになっているものよりも有料版ということですので、しっかりとした効果を発揮していくのではないかと思いますし、情報がかなりアップデートされていますので、その効果は大きいと思います。これからも、しっかりと検証しながら実際に活用していきたいと考えています。
【記者】市の教職員による性的な不祥事での懲戒や逮捕が相次いでいますが、この件に関しての市長の受け止めと、その原因はどのようなものか、お考えがあれば教えてください。
【市長】本会議場でも謝罪をさせていただきましたが、まずは市民の皆様に対して教職員の不祥事による懲戒免職という事態を招いてしまったことを、改めてお詫び申し上げたいと思います。特に学校現場というのは、お子さんをお預かりする大切な場所ですので、より一層の倫理感であるとか、そういった不祥事に対する対応というのは、徹底していかなければならないと思います。
これは熊本市に限らず、全国各地で色々な不祥事が起こっています。厳罰化は当然のことであり、教育委員会の教職員による性的な問題や色々な課題があった場合は厳しく罰していくということで、比較的懲戒処分の指針も厳しくしております。これは飲酒に関すること等も同様です。
ただ一方で、職場の中で何かおかしな行動をしているとか、コミュニケーションも含めてそういった事に気付ける現場環境といいますか、これは監視するということではなく、お互いがお互いの変化に気付けるようにするためには、学校現場のマネジメントもそうですが、人の配置も含めて(重要なことであり)、現在は教職員が多忙化し、人のことを見てられないような状態で生徒と向き合う時間を先生たちは確保しているという状態です。一方では、そういった不祥事を働くような教職員がいた時に、行動の変化に気付けるようにするためには、学校全体の風通しの良さもそうですし、お互いにコミュニケーションをもっと取りあっていく事が、悪い事件や事故につながるその前の段階で、防げるのではないかと、私は考えています。そういう意味では学校からも増員の要求などありますが、できる限り対応して改善していきたいと思いますが、やはり先生達自身が、そういう立場にあるということを肝に銘じながら、特に職員研修などを充実して少しでも不祥事を減らしていくなど、こういった努力を続けていくしかない、粘り強くやっていくしかないと思っています。
ただ学校は、(保護者が)信頼してお子さんを預ける場所でありますし、また子ども達が健全に育つ意味でも非常に重要な場所です。さらに自分の信頼する先生が問題を起こしたとすれば、子どもたちの心の傷になっていくという事もありますし、大きな影響を与えていく事になりますので、これからも綱紀粛正を図ると同時に、研修や対応を充実させていきたいと考えています。
【記者】バス電車無料の日に関してお伺いします。効果分析の結果から見える課題と今後の対処、特に熊本市の公共交通機関においても2024年問題が直撃するという指摘もあるので、利用者、乗務員ともに確保していくために、市として今後どのような取組が必要かをお聞かせください。
【市長】公共交通自体の利用が増えるというのは非常にありがたいことで、そのことによって経済波及効果も環境負荷も、渋滞の効果は同程度ということですが、しかし、多くの方が公共交通を利用すればするほど、この効果は出てくるものだと思います。このあたりの要因分析はもう少し確認が必要です。
課題としては、主要交差点における交通量の変化が、今のバス、電車へのシフトだけでは十分ではないのかどうなのかという事も含めて、これから秋の10月のバス電車無料の日、また12月の無料の日でもこの点を追いかけながら判断をしていきたいと思いますが、もう一つはご質問にもありましたとおり乗務員不足の問題です。これは非常に深刻になってきており、2024年問題で、トラックなどの物流業界においては、物流クライシスと呼ばれ危機感が高まっている状況です。そしてご承知のとおり、タクシーの運転手もいなくなっている、コロナ禍の中で辞めてしまったり他の業種に転換してしまったりする方が多く、乗務員不足は非常に深刻になっています。
特にバスに関しては、大型2種を持っていなければならないなど色々なスキルがなければ運転できませんので、そういう意味では、各バス会社さんは乗務員の獲得は非常に難しいと考えていらっしゃるようです。ただ、今は共同経営推進室の中で5社のバス会社が共同でされていますので、例えばこの組織の中で、人を融通し合ったり、待遇を考えたり、それから共同で採用をしたりなど、そういうことが進んでいき、各会社によって(待遇などに)違いがあり簡単ではないとは思いますが、将来の運転士の確保に繋げられればと思いますし、そこに行政としても何らかのバックアップができないかと、常に考えているところです。今後、バス会社の方々といかに連携していくのか、そして若い人たちも含めたスキルの養成をしっかりとやっていくこと、それからバスは公共性のあるものですので、人材の確保に関しては行政としても一定の支援ができるように、これは国や県とも連携をしながら、これから取り組んでいきたいと思います。
【記者】くまもと花博に関してお伺いします。いろんな魅力が詰まっていると思うのですが、市長が思われる是非見てもらいたい場所や、注目してもらいたいポイントなどありましたら教えてください。
【市長】やはり、街なかには人がたくさんいらっしゃると思います。ニコライ・バーグマンさんは、常に新しいことを考えられて、前回もすごかったのですが、前回と同じようにすると、さすがに予算が足りません。ただ、そういう中でも相当熊本にシンパシーを感じてやっていただいているので、これは街なかエリアの(中での)見どころだと思います。花畑広場のエリアに巨大なフラワーボックスは今回ありませんが、前回は相当な期間行いましたが、(今回は前回とは違った)こういった形で行います。
動植物園は、動物も見ながら、最近レッサーパンダが生まれて、非常に大人気で人が集まっています。そういうときに江津湖の自然に触れながら、花や緑を感じる時間というのを持っていただく、そしてコスモスも満開の状態であろうと思いますし、例えばフラワーマルシェなどでお花を買って、少し殺風景なトイレに一輪挿しを置いてみるとちょっと気分が違うと思いますが、どうでしょうか。そういった普段やっていないこと皆さんにやっていただける様になればいいかなと思います。
そしてなんと言っても金峰山です。金峰山の山頂から有明海を望むロケーションの中でのブランコは、ぜひ私もやってみたいと思っています。金峰山というのは、我々熊本の人間は小学生ぐらいで必ず上る山です。さるすべりと呼ばれる所を登るのですが、そういう原体験がありますので、足腰を鍛えるという意味でもいいかもしれません。豊かな金峰山の自然、街なかに1番近いところにあれだけの山があるのは、すばらしいことだと思いますので、それも感じていただきたいと思っています。
【記者】市庁舎の建替え問題についてお伺いします。サウンディング調査や市民アンケートが始まっていますが、現在の状況や今後の見通しについて、現段階でお話できる範囲でお聞かせください。
【市長】サウンディング調査も始めてそんなに経っていませんが、沢山のいろんな事業者の方からのご提案があるということは伺っておりますので、かなり反応がある事は言えると思います。その中身については、まだ報告が来ておりませんので承知しておりません。
民間の方からのいろんなアイデアがあることによって、単に市庁舎を建替えるだけではなく、防災拠点としての視点もそうですし、まちづくりの観点、あるいは将来あるべき姿という意味でも、いろんな提案によってアイデアが生まれてきて、我々のこれから考えていく方向性にも大変参考になるものだと思います。
それからアンケート結果については、まだ回収が終わっていないのでちょっと分かりませんが、今月末までアンケートを行うということで、インターネット上でもホームページを経由していろいろなご意見をいただいてるということで、かなりその辺の反応が多いと聞いています。ですので、2000人に向けた無作為抽出での郵送分と、それとは別にインターネットを通していただいたご意見とを反映させ、集計が出来次第きちんとご報告をしながら、サウンディングの結果とアンケートの結果を踏まえながら、今後の検討に生かしていき、よりよい姿になるように検討していきたいと考えています。
【記者】県の旅行支援事業に関連してお伺いします。この問題に関しては、周遊券つきの日帰り旅行商品が販売された時期に、熊本市電の1日乗車券が前年同月比の約5倍の払戻し枚数になったことが明らかになりました。この問題を受けて公益外部通報があり、県は第三者委員会を設置するとしましたが、そもそもの旅行支援の在り方も含めて、こうした状況についての市長の受け止めをお願いします。
【市長】旅行支援については、新型コロナの対策ということもあり、割と急な形で支援事業が次々に造成をされていったと思います。それは、一定程度多くの皆さんが旅行をしたり、交通や人が動かないような状況の中でも、(支援事業により)動いていったという意味では、非常に意味のあることだったと思います。一方で、こうしていろいろ課題が今指摘されていますが、熊本市電の払い戻し等々について、私の手元に詳細な数字が分かる資料がないのですが、交通局は規定に基づいて適切に対応したと報告を受けておりますので、その点について何か問題があるとは思っていません。
ですが、旅行商品等を造成する時に利用者の目線に立って利用しやすいものになっていたかどうか、また、それが経済的な面も含めてどういった効果につながっていたのかということの検証はしっかりしていく必要があると思いますので、熊本市でもLOOKUP Kumamotoキャンペーンなど色々なものをやってきました。また、宿泊事業者のバックアップもやってきたものですから、やはり事業的にも一体どういう課題があったかという事を検証しながら進めていく必要があると思います。
県において調査されたり、第三者委員会で調査されると伺っているので、それは適切に行われていくべきだと思いますが、どうだったのかということを、きちんと詳らかにすることは非常に(重要)。慌ただしい中でいろんなことやっていますので、無理があった部分もあったのかもしれません。これはどこということではなく、全国です。そういった事をよく検証しないと、全国各地で問題が頻出していますので、その効果と功罪の部分、そういったものをきちんと明らかにすべきではないかと思います。
【記者】本庁舎の耐震性能についてお尋ねします。先日の国の調査結果と市の認識とのずれがあった件について、市長は市民の皆さんにこの事がどのように伝わっているとお考えか、お聞かせください。
【市長】何で国の調査では大丈夫と発表されているのに、熊本市は耐震性能が不足していて大丈夫じゃないと言っているのかというのは、やはり分かりにくいと思います。これは、調査の時点や基準がそもそも異なっていることもあって、分かりづらくなっている部分もあります。消防庁が実施された調査は、昭和56年(1981年)の6月1日を基準日とし、耐震性があるかないかという、ある意味ではそれを整理するということで、大まかといいますと変ですが、そういう基準で考えられた調査ということです。
一方で、熊本市が調査したものは、これまで2度の、耐震性能調査は、ボーリングまで行い、細かく調査をしていますので、そういう意味では平成29年(2017年)時点の建築基準法に沿って、現地調査を踏まえて、構造計算やいろいろな検証をして調査を行っていますので、国の調査の内容は新耐震基準になっているかどうかということであって、それと我々がさらに調査を細かくしたという部分が反映されてないという点に関しては、そもそもの調査基準が違いますので、より詳しい基準で調査をしたということに関しては、こちら(市の調査)が信頼性を持っていただけるのではないかと思っています。
ただ、国が出している調査について、その基準でいけばこうですよという話なのですが、国の調査自体が安全面をちゃんと見て細かくやってるわけではありませんので、どのように今後国に回答をしていくかということについては、国でもこの問題は、報道等もあっていますし、認識されていると思います。ですので、我々としてはきちんと国ともいろいろと確認をしながら、今後はどういう形にするのかも、内部でも検討していきたいと思っています。
【記者】今年5月に有識者会議の答申が出ましたが、超高層建築物に関する基準が厳格化されてから数年間、その基準を満たさない状態だったのではないかと不安になる市民の方もいらっしゃるのではないかと思います。その点、市長はどうお考えでしょうか。
【市長】我々としては、この熊本市の(本)庁舎は単に職員がここで仕事をしているというだけではなくて、何かあったとき、災害に対応するために万全の体制を整えて、かつ一番安全な場所でなければならないし、その上で市民生活に滞りがないように(しなければなりません)。もしも災害が起きて、非常に困難な状況になったとしても、一日も早く市民生活を取り戻すことができるようにするべきだと思いますので、そういう意味での不安がないように、これからも努めていきたいと思います。ですので、そういう意味では、国の全国一律調査という形と、我々みたいな掘り下げてやった調査とありますが、やはり最新の情報で、できるだけリスクを排除して万全の体制を取るという事が、将来50年先、100年先の、何もないことを望んでいますが、何かあったときの拠点として非常に重要になると思っています。ですので、そういった意味での説明を、市民の皆様にも分かりやすく尽くしていきたいと考えています。
【記者】昨日の議会で可決されました、自治基本条例についてお伺いします。議会の中では全員異議なしで可決となりましたが、削除は残念だという意見や、逆に削除することによって外国人は市民じゃないと誤解を生みかねないという懸念の声もありました。このことを踏まえ、可決されたことについての市長の受け止めをお聞かせください。
【市長】可決されたことについては、議会でもこれまで様々な議論を行っていただいた結果だと受け止めております。我々としてはこの条例の、改正案が可決された上で、多文化共生について、外国人の皆さん方も市民としてきちんと中に定義されていますので、地域住民の方々との共生をいかに実質的に、そういった交流の機会などを、地域住民の皆さんにもっと理解していただくためのアクションとして、しっかりとやっていくべきだろうと思っています。報道等でも、議会における議論があまり深まらなかったのではというような記事がありましたが、この議論は(昨年の)12月からずっと続いているものですので、ある意味ではいろんな論点はかなり整理をされてきていると思います。
一方で、それ(文言)は入れた方がいいのではないかというご意見もあれば、誤解を生まないようにするためにも、それは削除した方がいいのではないかといった、色々な声がたくさんありましたが、私たちが1番大事だと思うのは、外国の国籍を有する人たちも、それから日本国籍を有する人たちも、この熊本市の中でいかに充実した地域社会を構築していくのか、ここがポイントになりますので、私としては今回の議決を受けて、これで終わりではなく、これがまさにスタートです。今回話題になったことによって多くの皆さんが知ることになりましたので、しっかりとここから説明をし、そして外国人の皆さんとのいろんな交流をする場がもっと広げられたら、相互理解に繋がっていくものだと考えていますので、文化の違いや考え方の違いなどいろんなことがあるとは思いますが、ただ外国人だからどうだということにならないように、しっかり取り組んでいきたいと思います。
【記者】議会において説明がありましたが、文言を削除した理由に関して、市としてはパブリックコメントの結果や、当事者および議会の声も聴いた上での総合的な判断ということかと思いますが、市民の誤解や不安を招いたり、分断を招くと市長が最終的に判断されたかと思いますが、なぜそういうことが懸念されるのかということについて、改めてお聞かせください。
【市長】例えば、外国人参政権の問題などは十分理解されていないと思いましたし、それから多くの皆さんが触れたことのない人々や、今、国際情勢の中で他国を侵略をする行為であるとか、力でねじ伏せていくというものに対する恐怖心というのは、思想云々を超えて非常に不安感があると思います。
そういう中で、多くの皆さんが地域社会において市民生活を送る上で分断を生まないということは非常に重要ですので、この文言が入ることだけによって、何かいたずらにそういった議論やヘイトのようなことにつながっては何もならないと私は思います。
それよりも、外国の国籍を有する者を含むという括弧書きの文言を入れなくても、この条例の理念は変わることはありませんし、定義は変わりませんので、さらに理解を深めていくという方向で進めていくほうがいいと、私は思いました。
担当もいろいろなことを検討して考えたかと思いますが、それを議会でも慎重論がいろいろある中で押し切ってしまうということではなく、そこは丁寧に対応し、そして相互理解というのは時間をかけて深めていかないと、海外においては移民との戦いであるとか衝突であるとか、そういった問題も起きています。日本の人々は島国ということもあって、国境に接して往来したり、侵略されたらどうだという感覚は、ヨーロッパなど諸外国に比べれば少なく、実際にこの熊本市74万市民のうち1%程度ということですので、他の政令指定都市よりも相当少ないです。そういう意味では、不安感というものが漠然としているというところはあると思います。
ですので、やはり根気強く理解を深めていく必要があると思います。そのために、先ほど申し上げた様な交流をしていく、また外国人との共生の中で課題があれば、それを行政として解消していく、そういった役割を果たしていく事が私は望ましいと思いましたので、削除すること自体が差別的な意見に屈するということには繋がらないと私は思っておりますし、逆にそういう誤解を生まないように取組を進めていきたいと思います。
【記者】海外出張に関してお伺いします。今週末からフランス、ドイツに姉妹都市および友好都市との交流のため海外訪問される予定かと思いますが、意気込みや抱負と、現地で具体的にどういったことをされるのかを、あわせて教えてください。
【市長】これまでも、記者会見でも発表しておりますし、議会でも申し上げましたが、30日から訪問をいたします。まず、今回の訪問の目的は何かということですが、友好都市でありますドイツのハイデルベルク市とは30周年、また、(交流都市である)フランスのエクサンプロヴァンス市とは10周年ということですので、ハイデルベルク市とエクサンプロヴァンス市の双方から周年を記念する特別な事業としてご招待をいただいたものです。今年エクサンプロヴァンス市とハイデルベルク市から、それぞれ両市長が熊本にお越しになられて相互交流をしていますので、その逆といいますか、こちらからもお伺いしますということです。
コロナ禍の中で交流がほぼ途絶えていて、定期的な交流も随分出来なかったり、経済界もそうでしょうし、学生同士の交流などは以前から積極的に行っておりましたが、そういったものも途絶えている中で、それを今後復活させていこう(ということです。)。それからハイデルベルク市においては、先方と熊本市民病院とは連携を深めてきました。ご承知の通り、ハイデルベルク大学というのはかなり高度な医療や技術を持っていますので、そういったところとの医療連携、医療交流というものを再開するための交流再開の協議であるとか、今申し上げたようなことが大きなテーマです。
それから意気込みといいますか、これまでの交流をさらに進化させていくためにどうあるべきかということは、両市長としっかり話をしていきたいと思いますし、これまでの両市との歴史的なつながりの中で人間関係が随分出来てきていますので、そういうものをまた更に深めていきたいと思います。
【記者】現地へは飛行機で行かれるかと思いますが、最近も香川県の県議会や、富山県高岡市において話題になりましたビジネスクラスの利用について、当然割高になりますので、どうなのかといった市民の方からの声もあります。今回、市長自身はビジネスクラスを利用されるのかどうか、またその理由について教えてください。
【市長】(本市の)旅費規程の中に定めがありますので、その範囲の中で行きたいと思います。旅費について、いろいろと高くなったりするのではないかという話がありますが、今回のミッションは一つではなくて、本来二つも三つもあるものを併せていきます。毎回出来るだけそうしているのですが、今回はフランスとドイツの両国から、10周年と30周年で来てくださいという話で、それぞれ国も違えば、本来2回行くべきような所を1回でするという事で、そういう意味では、交流訪問ということであっても、経費は随分削減出来ているのではないかと思います。
一方で、ビジネスクラスを使うことはどうなのかという事は、過去に市議会においても議論がなされています。それはもちろん、できるだけ安くすませた方がいいのではないかという議論は理解をしますが、私自身も向こうに行っていろいろな交流をする中で、かなりハードな日程も組まれていますので、そこはご理解をいただいて、ビジネスクラスを利用させていただければと思っています。もちろん、規定が違うとか変えろということであれば、またそれは検討することになりますが、できるだけコストを圧縮しようということは重要なことで、視点としては大事だと思いますが、行程の中でかなりハードな部分もありますので、市民の皆さんのご理解やお許しをいただければ、そうさせていただければと思っています。
今後、これはいろんなことでもそうだと思いますが、そこだけがいいとか、けしからんということではなくて、全体を見ていただくということです。特に今回は、二つの国の訪問を一遍にやりますということで、経費削減もそうなのですが、それと同時に内密出産の視察や望まない妊娠に対する対応など、いろいろなものを組合せているので、そういう意味では、いろいろな成果を市民の皆様には理解していただけるのではないかと思います。
色々なご批判はあるのかもしれませんが、例えば観光目的ではないのかなど、(話題になっているので)言いますが、例えば、ハイデルベルク市の市長が先日いらっしゃった時に、やはり熊本城はご案内しますし、交流団の皆さんにも熊本のいいところをどんどん見てくださいという思いで、一緒に食事をしたりという事もやりますので、相互理解の為には、必ずしも会議だけの目的でやるということではないような気がします。
旅行で遊びに行っているならば話は別ですが、しっかりとしたミッションがあるようなものについては、やはり一定の理解をしていただくべきではないかと私は思います。海外での視察は、特にヨーロッパに行くと、国会議員の件が炎上して話題になったので、いろいろと注目する点はあるかと思いますが、その成果がいかに発揮されたのか(が重要だと思います)。特に、実際に直接先方の市長や幹部の皆さんとお会いして、いろんなことを話す、それから日本では事例のない、望まない妊娠に対するいろいろな妊娠内密相談センターへの視察や、かなり充実している性教育に関しても、いろいろと調査を行っていきますので、そういったものは本当に金額だけでは測れないような人脈や経験というものがあると思っています。
今回にドイツでは、ハイデルベルク市との交流もありますが、ドイツの連邦政府の皆さんともお会いするようにしています。連邦家族・市民社会局へお伺いする予定ですが、そこでもいろいろなお話が聴けると思います。日本に事例のないようなことは、かなり学べるのではないかと思っています。
それともう一つは、私や議員だけが行くのではなく、担当職員も同行し事務的ないろんな協議をする中で、様々な学びや気づきがありますので、もちろん厳しい視点で市民の皆さんに見ていただくのは非常に重要なことである一方で、そういった側面もあるということは、ぜひご理解いただければと思います。
【記者】宿泊税についてお伺いします。宿泊税導入も含めた検討に向けて、今後どういった姿勢で臨まれるのか、教えてください。
【市長】まず今回、(議会において)補正予算を通していただき、外部の有識者の皆さんの検討委員会を設置させていただくことになりました。ここでは、導入の是非も含めて議論をしていただきます。さらには、税を仮に徴収するとなった場合に、税額も含めてどういう形で観光や産業に資するようにするのか、ということもご議論いただきますので、(導入)ありきではありません。ただ、各自治体でも導入されていますので、そのあとに導入する我々としては、他の自治体の先進的な事例や課題を踏まえてしっかりと捉えながら、また有識者の皆さんのご意見もお聴きしながら、来年以降の議会において議論を進めていきたいと思います。