報道資料
発掘調査を実施中の「大江遺跡群」(第168次調査区)で奈良時代の大規模な掘立柱建物跡を発見しました。令和5年(2023年)12月16日(土)に発掘調査現場の公開を実施します。 |
1.発掘調査の概要
(1)遺 跡 名 大江遺跡群(第168次調査区)
(2)所 在 地 熊本市中央区大江3丁目
(3)調査期間 令和5年(2023年)10月~(現在発掘調査中)
(4)調査面積 988平方メートル
(5)調査主体 熊本市文化市民局文化創造部文化財課
熊本市文化財課が発掘調査を実施している「大江遺跡群」(第168次調査区)にて、奈良時代の大規模な掘立柱建物跡を発見しました。
大江遺跡群は、飛鳥時代から奈良時代にかけて、大和朝廷による全国的な律令制度の下、肥後国の国府や託麻郡の郡衙(ぐんが)があった
候補地として注目されてきた遺跡です。
発見した掘立柱建物跡は、規格性ある形状・規模・間隔で存在していて、現時点では、3棟分・柱穴33基を確認しています。
この建物跡は、一辺が6~7mほどの総柱建物で、倉庫として使用された可能性が高いものです。
⇒奈良時代の役所へ納められた税(稲など)を収納する倉庫であったと思われます。
〔用語解説〕総柱建物(そうばしらたてもの)…外周(壁面)だけではなく、内側にも柱を有する建物。
床を全ての柱で支えるため、重量物を格納した倉庫としての使用が考えられる。
〔注目される点〕
・時代が特定できる 8世紀の後半以前(奈良時代)に建てられた建物です。→時代を特定できる建物はほとんどないため、重要な成果です。
・規模が大きい 柱の直径は最大40cm、柱を据えた穴は最大1.5m四方の大きさです。→奈良時代の建物としては、格段に大きいものです。
・計画的な建物の配置 建物は東・西・南・北の方位に合わせた向きで建てられています。→建物間隔も含めて、計画的に配置された可能性があります。
◎今回の発見は、奈良時代の律令国家体制における地方政治や都市計画を考えるうえで、重要な成果と考えます。
2.発掘調査現場の公開
市民向けの公開を、令和5年(2023年)12月16日(土)の午前10時から現地で実施します。(詳細は市ホームページでお知らせします。)
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