令和6年第1回定例会提出議案についてご説明をいたします。説明内容については、随時モニターに表示してまいりますので、併せてご参照ください。
まず、令和6年度の一般会計当初予算案については、“よりよい未来への着実な一歩”というテーマに、新しい総合計画の8つのビジョンを柱に予算編成を行いました。
今回の予算の特徴として、ビルド・アンド・スクラップの徹底によりまして「予算の質の向上」を図るとともに、編成方針で最優先事項に掲げました「こども関連施策」や、「TSMCの進出を踏まえた施策」を大きく拡充するなど、重点的な予算配分を行ったところです。
その結果、一般会計の予算規模は4,014億円と前年度比5.2%の増で、当初予算としては過去最大の規模となります。また、国の経済対策に呼応して令和5年度11月補正予算及び2月補正予算案において52億円を計上しておりまして、それらを含む一般会計の予算規模は4,066億円となります。
それでは、主な事業についてご説明をいたします。こちらをご覧ください。
まず、こども関連施策について、こども局の予算を大幅に拡充させていただきました。予算は前年度から37億円増の620億円と大幅に増額をしております。また、こども関連予算につきましては、私の市長就任時の平成27年度と比較いたしますと、近年の税収増、税収が平成27年度から1.3倍ほど増えており、近年の税収増も捉えながらこども局予算を約1.3倍に増やしているところでありまして、未来を担うこどもたちへの支援を、これまでも強化してきましたが、今回、さらに拡充をして37億円増の620億円ということで、過去最大規模となります。
来年度の主な取組ですが、子育て家庭を支援するための「児童手当の対象年齢等の拡充への対応」、また結婚、妊娠、出産などの希望を叶えるための「結婚支援センターの開設」や「産後ケアの拡充」、こどもの命と権利を守る「こどもの権利サポートセンターの開設」、悩みを抱える若者を支援する「(仮称)若者・ヤングケアラー支援センターの設置」などで、結婚や子育て、あるいは課題を抱えるお子さんや若者に寄り添った支援など、様々なライフステージ・環境に置かれたこどもやご家庭へのきめ細かな支援を強化してまいります。
次に、TSMCの関連施策につきましては、前年度の3.9億円から、約3倍増となります11.2億円に増額をしております。主な取組といたしましては、「半導体関連企業の誘致活動」の強化はもとよりですが、地下水を未来につなげるための地下水かん養促進、これは地下水を守る取組ということでございまして、「水田湛水の協力農家への助成金の拡充」や「水質保全対策の強化」、これを図るとともに、企業進出に伴う交通課題に対応するため「10分・20分構想の推進」などのインフラ整備を推進したいと考えております。
この他、新総合計画の8つのビジョンに沿った主な取組についてご説明させていただきます。まず、ビジョン2ですが、これは、「市民に愛され、世界に選ばれる、持続的な発展を実現するまち」として、起業家の皆さんのスタートアップや中小企業への支援を強化する「ミドルステージからさらなる成長を促す伴走型支援」、こうした事業を進めていきます。また、農水産業の振興に向けた「販路拡大への個別支援」や「農業基盤整備の着実な推進」などに取り組みまして、本市の強みを生かした産業振興、まちのにぎわいの創出を図ってまいります。
次に、ビジョン3「市民生活を守る強くしなやかなまち」として、重要な防災拠点としてあらゆる災害リスクに対応するため、「新庁舎整備の推進」や西消防署の移転、(モニターを指しながら)こちらに移転予定地がありますが、「西消防署の移転による1区1消防署体制の確立」を図っていくということ。それから、「犯罪被害者等への見舞金制度の創設」など、安全・安心な市民生活を実現する取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
次に、ビジョン4「だれもが自分らしくいきいきと生活できるまち」として、心のバリアフリーを推進するため、「バリアフルレストランの開催」により、(障がい等がある)皆さんの状況を体感する、また、昨年の市議会においても活発に議論が行われました、がん患者の方への「医療用ウィッグ等の購入助成によるアピアランスケアの推進」を図るなど、誰もが自分らしく、暮らしやすいまちづくりを推進してまいります。
次に、ビジョン5「豊かな環境を未来につなぐまち」として、熊本連携中枢都市圏で連携をいたしました「電力の脱炭素化事業の加速化」など、本市の豊かな自然環境を守り、将来へ受け継ぐ取組を強化してまいります。
次に、ビジョン6「すべての市民がより良い暮らしを営むまち」として、地域活動への参加を促すための「くまもとアプリを活用した地域活動の活性化」、(モニターを指しながら)こういうイメージですが、くまもとアプリを活用しながら地域活動への参加を促していく。それから、学び直しの機会を提供するための「県市で連携した夜間中学の運営」など、市民の皆様が自ら参画し、誇りを持てるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
次に、ビジョン7「安全で良好な都市基盤が整備されたまち」として、公共交通の利用促進に向けた「まちなかフリーパスの実証実験の実施」です。(モニターを指しながら)このエリアをフリーパスで300円で実現しようということです。あるいは、「AIデマンドタクシーの本格導入」のほか、安定的な物流の確保や交通渋滞の解消に向けた「熊本西環状道路の整備推進」など、都市基盤の強化による市民生活の利便性向上を図ってまいります。
次に、ビジョン8「市民に信頼される市役所」として、市民の皆様の利便性向上を図るための「医療費助成の申請手続きの簡素化」や「行かない・書かない・待たない窓口の推進」など、行政サービスの質の向上を推進してまいります。
以上が、当初予算の全体像となります。新総合計画策定元年の予算として、市民の皆様に「よりよい未来への着実な一歩」を踏み出していると感じていただけるよう、全職員一丸で取り組んでまいります。
次に、2月補正予算案についてご説明をいたします。こちら(モニター)をご覧ください。
2月補正予算の主な取組としては、まず「能登半島地震災害復旧支援経費」を計上しております。能登半島地震の復旧支援につきましては、これまで延べ239名の職員の派遣をいたしまして、熊本地震の経験を生かした支援を行っているところですが、2月補正予算におきましても、これら職員の派遣に要する経費や石川県への見舞金など約6千万円を計上いたしまして、引き続き被災地に寄り添った支援を展開していきたいと考えております。
この他、物価高騰の影響が続く状況を踏まえた「学校等給食の食材高騰対策への支援」や、「学校施設等の長寿命化・耐震化」など、2月補正全体としては約67億円を増額しておりまして、当初予算と一体として着実に取組を進めてまいりたいと考えております。
最後に、条例等の議案については、「熊本市附属機関設置条例の一部改正」に係る議案等の提出を予定しております。なお、詳細につきましては、既に配付している資料のとおりとなりますので、ここでは割愛をさせていただきます。
以上、提出議案についてご説明させていただきました。
次に海外訪問についてご報告をいたします。
1月29日から2月2日にかけて、市議会の皆様とともに、台湾の高雄市、台南市、新竹市、台北市を訪問いたしました。今回は、「半導体関連企業進出に伴います行政課題などの調査」、「ビジネス交流拡大に向けたトップセールス」、それから「友好交流都市・高雄市との交流促進」を目的として訪問をしてまいりましたので、それぞれの成果についてご報告いたします。こちらのモニターをご覧ください。
こちらはTSMCの本社前です。JASMの熊本工場は、今月24日に開所式が予定されておりまして、生産開始に向けて順調に進んでいます。このような状況を踏まえまして、TSMC本社を訪問し、シルビア・ファン シニアヴァイスプレジデントなどの幹部の皆様と面談させていただきました。その中で、地下水の保全や交通対策、それから台湾から派遣された従業員の生活環境整備など、本市の取組を説明し、意見交換を行うとともに、JASMの熊本工場の生産開始に向けた進捗など、貴重なお話を伺ってまいりました。特に、市民の皆様の関心の高い、地下水保全など環境への影響については、TSMCの環境保全に関する積極的な取組等についてお聞きいたしますとともに、私からも、地元の理解がより進むよう、それらの取組について、わかりやすくTSMC側から情報発信していただくようにお願いしてまいりました。このように、TSMCの幹部の皆様と直接意見交換を行うことができ、本市の取組を進めていく上で、大変有意義な機会となりました。
また、TSMCの半導体製造工場が所在する台南市と新竹市のサイエンスパークを訪問いたしました。ここは台湾政府の計画により創設された産業集積地区でありまして、環境、交通、住宅の状況などについて現地の様子を視察いたしますとともに、関係者の方と意見交換を行ってまいりました。まず、こちらのモニターをご覧ください。
こちらはサイエンスパーク内の施設の状況です。TSMCの工場の半導体の製造工程で使用される水ですが、これは、下水道や工場排水の処理水を再利用した水及びダムの水が使われておりました。また、工場排水は台湾政府の厳格な基準を満たすよう管理されており、工場付近の地下水や河川の水質についても工場立地の前後において全く影響がないことが確認できました。本市においても、これから、県や菊陽町と連携して、工場排水及び放流水が関係法令の基準を満たすよう監視を強めてまいりたいと考えております。
次に交通・住宅についてです。こちらのモニターをご覧ください。
交通渋滞については、台湾においても半導体関連産業の成長などに伴う深刻な渋滞が生じている箇所や時間帯があり、サイエンスパークへのアクセス道路の整備やICT技術を活用した信号時間調整など複数の施策を組み合わせ、対策を進められておりました。
また、住宅については、周辺の地価や家賃上昇を見据えるとともに、人材の流出防止の観点から公営住宅や宿舎の整備を行われているほか、商業や教育、医療などの機能集積を図り、サイエンスパーク内に複数のタウンが形成をされておりました。
今回の視察・意見交換を踏まえ、これらの対応については、早急な施策の展開と将来を見据えた方向性を示す必要性を再認識したところです。
あわせて、サイエンスパークが所在する台南市、新竹市の市長をそれぞれ表敬訪問させていただきまして、両市との関係を深めてまいりました。両市長とお話しする中で、環境や交通などの情報共有を含めた今後の交流についてさらに深めていくことをお約束させていただきました。
ご承知の通り、2月6日、TSMCが熊本にJASM第二工場を建設し、2027年末までの稼働開始を目指すと発表されたところであり、半導体関連産業の集積を図っている本市としても、大変喜ばしく思っております。今回、台湾を直接訪問し得られた情報や経験を生かして、環境の保全、交通対策、住環境の整備、人材確保支援などの課題への対応に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に「ビジネス交流拡大に向けたトップセールス」です。台湾企業の対日投資や交流の動きが加速化している中で、昨年9月の熊本―台湾定期便の就航を、本市のビジネス交流を促進する機会ととらえ、台北市を中心にトップセールスを行ってまいりました。こちらのモニターをご覧ください。
まず、九州フィナンシャルグループと業務提携している玉山銀行並びに福岡フィナンシャルグループと業務提携している中國信託商業銀行を訪問してまいりました。現地の金融機関の協力は台湾企業の立地や投資に大きく影響することから、相互の協力について意見交換を行うとともに、観光やスポーツ、文化等の分野の交流についても意見を交わしたところです。また、今後の連携協定の締結についてもこちらから提案をいたしまして、前向きに検討するとのお返事をいただきました。そのほか、台湾政府関係者や日本政府関係者、熊本関係企業などを訪問しまして、各分野のキーパーソンの方とのネットワークを構築してまいりましたので、それらを生かして、台湾とのビジネス交流をさらに促進してまいりたいと考えております。
次に「友好交流都市・高雄市との交流促進」についてです。こちらのモニターをご覧ください。まず、高雄市政府を表敬いたしまして、1年ぶりに陳市長にお会いしました。高雄市の皆様は、我々代表団を大変温かく出迎えてくださいまして、親交を深めることができました。また、「TSMC工場進出や大規模災害時の備えなど、お互いに協力できることについて検討していきたい。」など、今後に向けたご意見もいただいたところです。
また、昨年末に延伸工事が完了した、高雄LRT環状線を視察してきました。(モニターを指して)これが環状線です。実際に乗車させていただきまして、(モニターを指して)これがその車両ですが、広くゆとりのあるホーム、線路周りの緑化、架線レス技術、停留所についた時にすぐパンタグラフのような物を上げて急速充電するということで、架線がありません。街の風景に溶け込み、市民の皆さんや観光客の重要な交通手段となっておりました。また、環状線の整備は着工から約10年で完了したとのことであり、非常にスピーディに、(モニターを指しながら)この環状線が10年でできたということで、非常に早く完了したということで、これらの取組を市電の利用環境の整備や延伸等に生かしていきたいという風に考えております。
最後に、今回の訪問を通じまして、TSMC進出に伴う環境や交通などの各種課題について、TSMC本社の幹部の方々と直接、意見交換をすることができたこと、また、私が直接訪問することによりまして、様々なステークホルダーの方々とお会いでき、ネットワークを構築できたことは大きな成果であると考えております。また、今回、熊本―台北直行便を使いましたが、出国や入国の手続は混雑も全くなく、非常にスムーズで利用しやすいと感じました。みなさんも台湾へ行かれる際はぜひ直行便をご利用ください。ただ、予約があまり空いていない、現在非常に人気があるということです。
今回の視察や意見交換に関する詳細については、今後、担当部署よりホームページなどで情報提供させていただきたいと考えております。
最後に、熊本競輪場における競輪競技再開の日程について、いよいよお知らせさせていただきます。モニターをご覧ください。現在、再建工事を進めております熊本競輪場については、競技再開の日程を関係機関と調整しておりましたが、この度、本年7月20日に熊本競輪場を再開することが決定いたしました。平成28年熊本地震以降、競技を開催できない状況が続いておりまして、関係者や地域の皆様に大変ご心配をおかけしておりましたが、全国の競輪施行者、並びに関係団体等の皆様のご支援・ご協力により、8年ぶりに競輪競技が再開できますことを、この場をお借りして心より感謝を申し上げます。当日は再開記念イベント等も予定しておりますので、競輪ファンや地元の皆様はもとより、多くの方々に会場にご来場いただき、ゴール前では時速70kmにも達する選手たちの躍動感、迫力を肌で感じていただきたいと思います。また、G1などの特別競輪に関しても、全面オープンとなる令和7年度の開催に向けて招致活動を行っておりまして、熊本地震から力強く再建した姿を全国にアピールしてまいりたいと考えております。
私からは以上です。