発表に入ります前に、職員の不祥事についてお詫びを申し上げます。
去る2月23日、本市職員が飲酒運転により人身事故を引き起こましたことから、当該職員を3月19日付で懲戒免職処分といたしました。
また、公印の不正使用等により不適切な事務処理を行った職員につきまして、停職2月の懲戒処分を行いました。
飲酒運転の撲滅、不祥事の根絶に向けて全庁を挙げて取り組む中、このような事案が発生したことを大変重く受け止めており、市民の皆様に深くお詫びを申し上げます。
改めて、法令遵守はもとより、常に全体の奉仕者としての強い自覚と緊張感を持って行動するよう周知徹底を図り、市民の皆様からの信頼回復並びに再発防止に全力で取り組んでまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、発表に入らせていただきます。
まず、交通局で発生いたしました事故及びインシデントについてでございます。
本年2月18日に発生いたしました熊本市電の人身事故につきまして、接触をされた歩行者の方が2月23日にお亡くなりになられました。ここに、衷心より哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。本市でも、現在も続いている警察の捜査に全面的に協力をいたしますとともに、市電の安全運行に努めてまいります。
また、市電につきましては、本年1月以降、乗車ドアが開いた状態で市電を走行させるという事案が2件、故障の対応で連結した車両について、走行途中に連結が解除される事案が1件発生をしております。公共交通の利用促進に努める中、重大事故につながりかねない事案が立て続けに発生をした事を、深くお詫び申し上げます。事案の発生以降、乗務員教育の徹底、並びに設備保全の対策を進めておりますが、インシデントが続発している現状を踏まえまして、外部有識者による第三者委員会を設置をいたします。委員会において、今後それぞれの事案に対する原因や問題の検証、および再発防止策の検討を行っていただくことによりまして、熊本市電の安全な運行と再発防止を徹底してまいります。
それでは、令和6年第1回定例会を終えての所感を述べさせていただきます。
今議会に提出をいたしました令和6年度当初予算案並びに条例案等の議案につきましては、議会において慎重にご審議をいただきました結果、原案どおり全て可決いただきました。代表質問並びに一般質問では、第8次総合計画や、こども・子育て政策、本庁舎整備、交通渋滞対策、地下水保全、人口減少・少子化対策など、いずれも本市の将来に関わる重要な政策課題について、議員各位から大変熱心にご質問をいただきました。議論を通じていただきましたご意見・ご要望につきましては真摯に受け止め、引き続き、職員一丸となって市政運営に取り組んでまいります。
改めまして、来る令和6年度の予算についてでございますが、「よりよい未来への着実な一歩」をテーマに、新年度からスタートする第8次総合計画における8つのビジョンを柱に編成を行いました。中でも、ビジョン1に掲げる「こどもが輝き、若者が希望を抱くまち」の実現に向け、こども局を中心に、こども・子育て施策を積極的に推進するほか、地域経済の活性化に向け、戦略的な企業誘致や魅力と活力のある中心市街地の形成などに取り組むほか、公共交通の利用促進、並びに道路整備など市民の皆様の生活を支える都市基盤の整備等を着実に推進してまいります。
また、本庁舎整備につきましては、昨日の特別委員会にて基本構想の素案をお示しさせていただきました。今後は、市民の皆様にこの構想についてのご理解を深めていただき、広くご意見を伺うため、4月中旬から5月中旬にかけて、本市ホームページにおいて説明動画の配信並びにWEBアンケートを実施するほか、合計10回の市民説明会を開催いたします。
市民の皆様にとって使いやすく、訪れたくなる庁舎となるよう、しっかりとご意見を伺いながら、丁寧かつスピーディに検討を進めてまいります。
今議会における議論を通じていただきましたご意見・ご要望を糧として、「誰もが憧れる上質な生活都市」の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、令和6年能登半島地震の被災地訪問についてご報告いたします。モニターをご覧ください。
3月14日、15日に防災担当の全国市長会の副会長として、能登半島地震で被災した珠洲市、また、七尾市、金沢市、そして石川県知事、馳知事と被害状況や今後の支援について意見交換をさせていただきました。こちらは、珠洲市内の被害状況の写真です。ご覧いただくとおり、多くの倒壊した家屋が全く手付かずの状態で残されておりまして、被害の甚大さ・深刻さを実際に目の当たりにし、更にスピードアップした対応が必要であると改めて感じました。
現在、各政令指定都市において中長期の職員派遣準備を進めておりまして、本市においても、土木職、建築職、事務職の計3名を、4月から珠洲市に中長期で派遣をする予定としております。加えて、来月開催されます全国市長会防災対策特別委員会においても更なる支援を呼び掛けてまいりたいと考えております。引き続き関係機関と連携して被災された皆様が一日も早く元の生活に戻ることができるよう、更なる支援を行ってまいります。
次に、くまもとポイント事業専用アプリのリリースについてお知らせいたします。
本市では、地域活動の参加者に対してインセンティブとなりますポイント制度を設け、より多くの方に活動に関わっていただくことや、災害発生時には、避難所運営、災害ボランティアの受入れ等にも活用して、迅速・的確な支援を行うことを目的として、「くまもとポイント事業」を導入することとしています。この事業では、マイナンバーカードと紐づけた専用スマートフォンアプリを利用して、地域活動やボランティア活動へ参加した際にポイントを付与することとしており、この専用アプリである「くまもとアプリ」を3月27日(水)にリリースいたします。こちらのモニターをご覧ください。こういったインターフェイスになる予定ですが、この「くまもとポイント事業」の詳細については、後日担当課よりご説明いたしますが、令和6年度は試用期間ということで、まずは本市主催のボランティア活動等を対象にポイントの付与を始めます。
また、より多くの方にくまもとアプリに触れていただくために、4月14日(日)に実施をいたします熊本地震の日のイベントをはじめ、市が行います様々なイベントにご参加いただくことで、ポイントの付与を行う予定でございます。
アプリの使用やポイント付与は熊本市民以外の方も対象となりますので、ぜひ多くの皆様にくまもとアプリをダウンロードしていただき、ボランティア活動やイベントにご参加いただきたいと思います。
次に、バス停へのベンチ設置についてお知らせをいたします。
本市では昨年6月のバリアフリーマスタープラン策定を契機として、バス停の待合環境の改善と公共交通の利用促進を図りますため、バス停にベンチを設置する取組を進めておりまして、第一弾として今月中に市内のバス停33か所にベンチを設置いたします。
こちらが設置するベンチのイメージです。このようなベンチを33か所設置します。これは今月中に33か所ということですが、今後は、令和6年度中に150か所、令和8年度までに600か所の整備を目標としておりますが、歩道に十分な設置スペースがない場所も多いことから、バス停周辺の民有地等のご協力もいただきながら、設置を進めてまいりますほか、ベンチの維持管理のための広告掲載を検討してまいります。
バス停の待合環境を整備いたしまして、高齢者をはじめ多くの皆様の外出機会の創出につなげていきたいと考えておりますので、バス停近くの民有地等へのベンチの設置について、ぜひご理解とご協力をいただきますようよろしくお願い申し上げます。
次に、4月以降の新型コロナウイルス感染症への対応についてお知らせいたします。
先日、国は新型コロナに関するこれまでの対応を本年3月末で終了し、4月以降は通常の医療提供体制に完全移行することを決定いたしました。これによりまして、外来や入院等は新型コロナ発生前の体制に移行することとなりますほか、3月末をもって、新型コロナ治療薬や入院医療費の自己負担分に係る公費支援、高齢者施設等の従事者に対する集中的な検査等が終了となりまして、発熱等の症状がある際の「受診相談専用ダイヤル」や、新型コロナ療養中の体調急変時の「健康相談専用ダイヤル」も終了となります。
本市におきましては、新型コロナに関する相談を引き続き保健所で対応いたしますほか、区役所でご相談を受け付ける体制を整えてまいります。また症状等がある方については、身近なかかりつけ医で直接ご相談いただきますようよろしくお願い申し上げます。
特別な対応は今年度をもって一つの区切りとなりますが、新型コロナウイルス感染症自体が無くなったわけではありませんので、市民の皆様におかれましても、どうか特に重症化リスクの高い方などについては、感染状況等を見ながらご自身にあった感染対策を取っていただきますよう、お願いを申し上げます。
最後に、熊本市第8次総合計画についてです。
先ほども申し上げました、この総合計画の推進におきましては、行政はもとより、市民の皆様と一体となって取組を進めていく必要がありますことから、まずは第8次総合計画を多くの方々に知っていただき、まちづくりへの興味を持っていただくことが重要だと考えております。
そこで、4月3日(水)から、熊本市現代美術館において「感じる計画 プラントゥーフィール 熊本市第8次総合計画展」を開催することといたしました。こちらのモニターをご覧ください。
この「熊本市第8次総合計画展」は、本市の文化顧問をお務めいただいています日比野克彦さん監修のもと、「総合計画」と絵画や映像作品といった「アート」を組み合わせた周知イベントでありまして、日本初の取組です。
また、本イベントが、本市のまちづくりのめざすまちの姿であります「上質な生活都市」の実現に向けて、市民の皆様と行政がお互いに支え合い行動する「きっかけ」となることを期待しているところです。開催初日の4月3日(水)午後2時から、現代美術館において開催しますオープニングイベントでは、日比野文化顧問による展示案内のほか、東京藝術大学伊藤達也教授をお招きいたしまして、日比野文化顧問と私を交えたトークイベントを予定しております。
この総合計画展は、現代美術館において5月下旬までの2か月開催いたしますので、ぜひ、多くの皆様にお越しいただきたいと思います。
私からは以上です。
【記者】市電のインシデントについてお伺いします。第三者委員会を起ち上げるということですが、時期や委員会の構成等、詳細について教えてください。
【市長】外部検討委員会、第三者委員会についてですが、これまでたくさんのインシデントや事故が起こっています。こうしたことは、内部でもいろいろな点検をしていく必要がありますが、第三者の目でしっかりと全体的な交通局のガバナンスなど、そういったことに問題がなかったのかという視点も含めて、組織体制の在り方、あるいはこうした事故を根絶していくために、安全管理上必要なことがどういうことかも含めて、原因を究明し、対策を検討するために、外部有識者による第三者委員会を設置したいと考えています。詳細なメンバー等は確定しておりませんが、4月中の設置に向けて、現在準備を進めているところです。
【記者】くまもとアプリについてお伺いします。まずは試験的に開始するということですが、将来的にこのアプリをどのように活用していきたいか、市長のお考えをお聞かせください。
【市長】まず、くまもとアプリの機能ですが、アプリとマイナンバーを紐づけしていただきますので、デジタル身分証明書になります。これは、マイナンバーカードの中の基本情報の4情報である、氏名、住所、生年月日、性別、こういったものを利用して、くまもとアプリ内での本人確認に活用できるということです。それからボランティア活動について、どんなボランティア活動があるのかという事を手軽に検索することができ、アプリ内で参加申込みが可能です。お名前等の情報は既に(アプリ内で)登録されていますので、登録ボタンを押していただくだけで手続きが完了するという形で進めていきたいと考えています。それから、ポイントについてですが、これはマイナンバーカードと連携していただく必要がありますが、いろいろなボランティア活動に参加することで、ポイントが貯まり、クーポンや抽選会等に参加いただける参加券のようなものに交換することが出来ます。これからの約1年間は試行期間という形で、まずはポイントを溜めていただく期間として、ポイントの交換は令和7年度以降に実施してまいりたいと考えています。
ポイントの使い方にはどんなものがあるのかということに関して、皆さんご興味があるかと思います。これはいろいろな企業様にもご協賛をいただいて、例えば、電子クーポンと交換することによって店頭でのドリンクサービスであったり、いろいろな商品やサービスとの交換ができたり、それから抽選会等の景品としては、熊本市が提供するプレミアムな体験ということで、熊本城のプレミアムライトアップの権利や、花火大会の桟敷席、熊本城マラソンの優先出場権などを現在想定しております。ボランティア等々を頑張って、こうした特典に交換できるというのは、市民参加としても非常に分かりやすいし、熊本城マラソンの優先出場権が欲しいなと思った時に、じゃあちょっとボランティアでも頑張ってみようかということになれば、これは相乗効果になるのでは、と思っています。将来的には、そこまではまだ設計してはいませんが、電子マネーなどに変換出来ないかということも含めて、これから市民の皆さんの要望を聴きながら、制度設計をしていきたいと考えています。このアプリを始めることによって、恐らく企業の皆さんや関係各所の皆さんも、例えばバスのチケットなどと交換できるなど、いろいろなことが相乗効果で出てくるのかなと思いますので、ぜひ活用していただければと考えております。
このアプリは3月27日にリリースをしまして、多くの方にダウンロードしていただいて、まずは4月の防災の日に実施する地震の日の防災イベント等への参加で、ポイントを差し上げるといったことも考えておりますので、皆様には積極的にご参加いただきたいと思います。
それから市政だよりに、ポイントがつく事業には分かりやすいようにマークを記載しますので、ぜひ市政だよりをご覧いただき、いろいろな事業に積極的に参加していただいて、とりあえず(ポイントを)貯める作業をやっていただけたらなと思っています。ポイントが貯まっていくということは、市政にいろいろな形で貢献していただいたという証にもなりますので、ぜひよろしくお願いします。
それから防災について、(アプリに)自分の情報を登録しておくことによって、災害時の避難所受付は今まで紙ベースであるなど、避難所によって違ったのですが、このアプリを使えば災害時の避難所受付を簡単に行うことができます。出水期の梅雨から夏にかけて、避難所を開設することが予想されますが、そういったときにこのアプリを使えるようになれば、避難所の受付も簡単になって市民の皆さんも非常に楽ですし、職員の負担もなくなります。(アプリを活用することで、)どこにどういう方が避難をしているのかという事が分かれば、適切な支援がしやすくなるということも、将来的には出来ていくのではないかと思います。
それからアンケート調査に関しては、市から発信する各種アンケートもアプリを見れば一覧で出てきますので、皆さんに気軽に回答をしていただけるような、こういった機能を考えております。
【記者】市電のインシデントに関する第三者委員会についてお伺いします。委員の方は未確定とのことでしたが、有識者の方というのは、例えば大学教授や交通事業に詳しい方など、どのような方をイメージされているのか教えてください。
【市長】現在、鉄軌道の運転業務や安全対策に係る専門家の方、もしくは鉄軌道の実務経験者等を想定して人選を行っています。人数は三、四名程度と考えています。
【記者】市電のインシデントに関して第三者委員会が設置されるのは、これまでに前例があるものなのでしょうか。
【市長】今回が初めてです。
【記者】3月21日に開かれた庁舎に関する特別委員会についてお伺いします。民間の施設を移転候補とした場合、間に合うのかという心配の声がありました。市長は(令和6年第1回定例会の代表質問に対する)答弁の中で、秋までに候補地を絞りたいとおっしゃっていましたが、そのスケジュール感を改めて教えていただきたいのと同時に、民間施設に決まった場合は、本当に間に合うのかということを教えてください。
【市長】建設予定地につきましては、基本構想の中でお示しさせていただいた、四つの候補地がございます。候補地をエリアと表現しているのは、地権者の方等々がそれぞれ分かれている場所があること、また建物自体はまだ交渉をしていませんので、どこの施設と限定はしないということで、エリアという表現にさせていただいています。新庁舎の整備推進経費が本日、議会で可決をいただきましたので、この中で建設費や新庁舎の機能・規模等々について、いろいろな事をこれから検討していくわけですが、できるだけ皆さんにそういった情報を知っていただくようにしたいということで、これから進めていきます。お尋ねのとおり(合併推進債の活用期限に)間に合うかどうかという話がありますが、合併推進債を活用すると概算ではありますが、136億円の国からの財政的な支援が受けられるということになり、市民の皆さんへの負担を少なくするという意味では、非常に大きいことでもありますので、それが間に合うように目指すことが大前提としてあります。もちろん、そうした制度ありきで全てを決めるということでもありませんので、(合併推進債を)使えるのであれば絶対使いたいというのが今の考え方ではありますが、場所の選定についても相手方がいらっしゃいますので、相手方が素早く交渉に応じていただけた場合など、その見込みによって少し変わってきます。ですので、4か所から絞っていくということになってきますと、おのずと相手方のいろいろな条件や民間の皆さん方がどういう形で参画をされるのかということについて、サウンディング調査の結果やその後の状況に関して、今からさらに深めてまいりますので、そこからある程度の候補地というものが絞り込めていけるのではないかと考えています。
そして、絞り込みの作業をできるだけ早くすすめていき、例えばどんなにこの場所がいいと言っても、相手がそこは売りません、交渉には応じませんということであれば、除外するということにもなってくるでしょうし、それから全体的なコストの問題もあります。例えば、仮庁舎をどういう形で設置をするのかということに関しても、費用がどのくらいかかるのかということでもまた変わってきます。そういう意味では詰めの作業をできるだけ早く新年度に進めていき、夏前ぐらいには大体大まかに、こういう形でということを皆さんにお示しをしていき、秋頃までに最終的な決定をしたいというスケジュール感です。そうしますと、合併推進債のような有利な財源を活用できるかなと思っています。ただ、それが困難だったということになれば、またその時点で改めて考えるということになるかと思います。まずは第一前提として、そうしたスケジュール感を持ってということです。
【記者】市電のインシデントに関する第三者委員会についてお伺いします。4月中の設置に向けて準備を進めているということでしたが、その後のスケジュールについて何か決まっていることがあれば教えてください。
【市長】約1年間の期間をかけて、いろいろな検証、検討を行っていただきたいと考えております。まだメンバーも決まっていませんし、その状況についても決まっておりませんが、焦って進めていくということではなく、しっかり検証していただこうと思っています。ただ、いたずらに長く期間を置いていいというものでもありませんので、その辺については、これからいろいろ検証をしながら、またメンバーの皆さんとご相談をしながら進めていくことになるかと思います。
【記者】労働基準監督署からの是正勧告についてお伺いします。先日、医療政策課が労働基準監督署より是正勧告を受けられましたが、この件に関する市長の受け止めをお願いします。
【市長】これは大変申し訳ない事態でございまして、こうした勧告を受けるということは、働く人々の健全な環境を阻害してしまうということで、今まさに4月からいろいろな法改正により制度が変わっていく中で、働き方というものを注視しながらやっていかなければならない時期でもあります。(是正勧告を受けた内容は)新型コロナウイルスの対応業務ということで、かなり苛酷な状況を強いてしまったことは、突発的な事情によってということではありますが、協定などの範囲を超えてしまうことはあってはならないことですので、しっかり改善するように担当部局には私からも指示をしたところです。
【記者】市庁舎整備に関連してお伺いします。庁舎整備に関する特別委員会の中で、市民説明会を行うというお話がありましたが、その説明会に市長は出席されるのかという事と、市民説明会を通して市民にどういったことを訴えていきたいかを教えてください。
【市長】市民説明会については、基本構想の中身について事務方(担当課)からご説明をさせていただきますので、今のところ私が出席する予定はありません。今、基本構想という事で、これまで長く、五、六年にわたって、庁舎問題についていろいろな検討をしてきました。昨年の有識者会議で建て替えるべきというお話をいただいてから、市議会での議論を再開し、そして基本構想を策定していく中で、市民の皆様に現状をしっかりとお伝えするということと、場所や機能も含めてしっかりお伝えすることで、市民の皆さんの中でイメージが湧くと思いますので、そういったことに関しても、ぜひご意見をいただきながら進めていけたらと思っています。
【記者】特別委員会の委員からは、1年という期間が拙速ではないかという声もありましたが、それに対して市長の所感をお願いします。
【市長】論点や様々な情報を(しっかり詰めずに)飛ばしてしまえば拙速ということになるかもしれませんが、しっかり詰めて、そして、期間が長ければいいという問題でもなく、これまでかなり慎重に、耐震性や財政も含めて有識者会議の中で防災拠点機能としてどうあるべきか、相当議論していただいた中で結論を得ましたので、ある程度市民の皆さんからの疑問点等についても解消できるようなものが出ており、議論としてはかなり成熟していると思います。これからまた議会においてもしっかりとご議論していただけるということでもありますので、有利な財源を活用するという意味では、スケジュール的にある程度決まっている部分はありますので、そういったものは意識しながらスピーディーかつ丁寧な進め方をしていきたいと思っています
【記者】能登半島地震に関連してお伺いします。今回、能登半島地震の被災地を実際に訪問されて、熊本地震の時と違う点があれば教えてください。また、熊本地震からも大分時間が経ってまいりましたので、皆さんの中で記憶が薄れている部分があるかと思います。約1か月後には8年目の節目を迎えますが、改めて市民の方々に訴えたいことがあればお聞かせください。
【市長】まず、先ほど被害状況の写真を見ていただきましたが、かなり古い木造住宅が多い地域であり、珠洲市もほぼ同じような状態でした。ところが、こういう状態の中でも立派に建っていてびくともしていない家屋があります。それは新しい耐震基準によって作られた建物でした。
やはりご自宅の耐震性能を上げていくこと、この地震列島においては強い建物をつくっていくことが重要であると、改めて思いました。珠洲市は、毎年のように大きな地震に見舞われています。潰れた家屋が建っていた頃の写真を見ますと、前回の地震は震度5強だったと記憶しておりますが、その際に被災調査を行って張り紙をしており、今回視察した家屋に危険という張り紙がしてある所は全部潰れてしまっていたのですが、これは新しくついた表示かなと思って見ると、前回の地震の時の表示がそのままついていて、今回の揺れで潰れてしまったというような家屋がいくつも散見されました。つまり、何とか耐えたからと大丈夫と思って耐えられるものではなく、前回の地震では大丈夫だったけれど、同程度の地震あるいは強い地震が発生したことによって、倒壊して犠牲も出てしまったということがありますので、そういうものに対する危機管理、災害対応という意味では、できるだけリスクの高い方を見据えて、念のためのいろいろな措置をしていく必要があります。耐震性に関しては、2000年以降の現行の基準を満たす建物は、これだけの地震でもほぼ問題がなかったということは、住家の被害に関して印象的に思ったところです。
一方で、珠洲市も含めた能登半島は、(金沢市内から)非常に遠い(場所に位置しています。)。熊本でイメージすると、例えば牛深の先の魚貫崎まで行くような(感覚です)。今回私は能登空港から行ったので、まだ数時間で行くことが出来ましたが、金沢市内から行くとなると大変な状況で、道路もまだでこぼこしているなど、被害が非常に大きく、移動に関してはかなり厳しい状況です。それから、熊本地震の時と違って、被災地を助けようと思って珠洲市や輪島市へ行っても、宿舎がないので寝泊まりする場所がないんです。七尾市では、テント村を設けてそこにボランティアの方が入れると先日報道等で発表されていましたが、珠洲市には、本市職員や全国の自治体職員が集まって対応していますが、まだキャンピングカーを使うぐらいの場所しかありません。海の方に宿泊施設も幾つかあるにはあるのですが、地震や津波の被害によりとても今すぐ使える状況ではありません。先ほど、中長期の派遣と申し上げましたが、派遣するとしても宿泊場所を含めてどう調整するのかというのは、かなり大きな課題だと思います。
熊本地震の際は、熊本市内、あるいは益城あたりは(宿泊施設の確保が)難しいけれども、八代や菊池、山鹿などの近隣市町村に泊まっていただいて復旧作業をしていただくという方が多かったのですが、(今回の能登半島地震に関しては)それよりもかなり離れたところに、宿舎や寝泊まりする場所を設けないと難しいと思いました。しかも、まだ水道が来ていません。皆さんが使っておられるトイレも仮設のトイレですし、現地に行けば住民の方が、あっちのトイレが綺麗だからあっち行こう、というようなことを言っている状況です。ただ、水道も徐々に復旧してきていますので、これが完全に戻って上水下水も含めた問題がなくなってくれば、復旧作業に関しては、人がたくさん入ってこられますし、近くで(支援が)出来ますので、はかどるのではないかと思いました。
あとは、熊本地震との違いは所々ありましたが、やはり避難所がなかなか厳しい環境であり、学校は再開したいのだけれども、避難者の方がいらっしゃるからと。熊本地震の時もそうだったのですが、学校の生徒さんたちと避難者の方々が共存できるようにいろいろな取組をされていましたが、例えば卒業式をやるにしても、体育館には支援物資等々がたくさん積まれてブルーシートが張ってあるその横で、紅白の横断幕を張っていくような、まだまだ日常に戻せない状況がかなり厳しいなと感じたところです。
【記者】改めて、熊本市として備えるという意味で、何か思い出されるところや感じられたことがあれば教えてください。
【市長】皆さんにぜひお願いしたいのは、この4月で8年になりますが、8年前は恐らく備蓄物資等々を皆さんが備えられていたと思います。しかし、8年経ってしまいその間大きな地震はありませんでしたので、物資の中身も含めてチェックが出来ていないのではないかと思います。当時はローリングストックといって、できるだけ食べながら使いながら、水なども使用期限があり大体3年から5年ぐらいしか保存がきかないので、開けていただくと過ぎてるものがあると思います。ですからこの機会に、ぜひ防災関係の備蓄やグッズ等、こういったものの点検をしていただいて。そして、トイレがとにかく皆さん困ります。熊本地震の時も、断水で2週間は水が通りませんでしたので、みんなが困って苦しんだのですが、(能登半島は)もう2か月もこういう状態が続いてるわけです。(そういった場合の)簡易トイレのつくり方ですが、例えばペットシーツなどを買っておいて、あと黒のビニール袋と防臭・脱臭機能付きの袋がありますので、それらを自宅のトイレにかぶせて用を足して袋に詰めるということで簡易トイレができあがります。そういったものを長めに(利用できるように)備えるということが出来ていけばいいのかなと思います。それから、倒れてくるものが非常に多いです。熊本地震のときもそうでしたが、やはりできるだけ倒れるものを近くに置かない、特に寝室です。夜中寝てる間に地震が来たときに、下敷きになるようなことがあれば、非常に厳しい状況になります。ですので、そういったものの転倒防止等々を、強力にやっていただくことも必要かと思います。そういう今まで当たり前のようにやるべき防災対策を、もう一度徹底していただくことをぜひお願いしたいと思います。
【記者】市庁舎建替えに関連してお伺いします。建設候補地の一つに白川公園が挙がっていますが、昨日の庁舎整備に関する特別委員会の中で、白川公園は都市公園であり、代替地の確保がなかなか難しい点や、熊本地震の際に市民の方が大変活用されたということで、防災上の観点からどうなのかというご意見が出ました。白川公園に新庁舎を建設することの実現可能性について、大西市長のご見解をお聞かせください。
【市長】白川公園は、広域の避難場所として熊本地震の際も多くの皆さんが避難されたということもあり、防災の広場という観点、また都市公園の機能という観点からも非常に重要なポジションにあると思っています。ただ、議会でのご議論もいただいた上で、候補地の4か所に関する検討を行うこととしました。これから、委託先のコンサルタントやいろいろな方々に入っていただいて精査をしていき、その中で検討されることであると思いますので、私がこの場で安易に発言をすることは控えたほうがいいかとは思いますが、そういう拠点であるということも十分に考慮した上で、最終的な場所の決定がなされなければならないと思っております。そういう意味では、広域の避難場所やまちなかの避難場所として他の代替地を設定するのは、なかなか困難ではないかと考えています。