子宮頸がん予防ワクチン
子宮頸がんとは
子宮頸がんとは、子宮頸部(子宮の入り口部分)にできるがんのことです。
日本では毎年、約1.1万人の女性がかかり、約2,900人が亡くなっています。患者さんは20歳代から増え始め、30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も、1年間に約1,000人います。
病気の原因
子宮頸がんのほとんどは、
ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることが分かっています。このウイルスは、主に性的接触によって感染します。ウイルスに感染しても、多くの場合免疫機能により自然に排除されますが、一部が数年~十数年かけて前がん病変の状態を経て子宮頸がんを発症します。
病気の治療
子宮頸がんは、早期に発見し手術等の治療を受ければ、多くの場合、命を落とさずに治すことができる病気です。進行した前がん病変(異形成)や子宮頸がんの段階で見つかると、手術が必要になります。症状によって手術の方法は異なりますが、子宮の一部を切り取ることで、妊娠したときに早産のリスクが高まったり、子宮を失うことで妊娠できなくなったりすることがあります。
ワクチンの効果
公費で受けられる子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)は、子宮頸がん全体の50~70%の原因とされる
ヒトパピローマウイルス(HPV)16型及び18型の感染を防ぐことができます。 公費で受けられるHPVワクチンの接種により、感染予防効果を示す抗体は少なくとも12年維持される可能性があることが、これまでの研究で分かっています。
また、前がん病変や子宮頸がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。
HPVワクチンの接種を1万人が受けると、受けなければ子宮頸がんになっていた約70人ががんにならなくてすみ、約20人の命が助かると試算されています。
ただし、HPVワクチンの接種を受けた場合でも、すべての発がん性HPV感染を防ぐことはできないため、20歳になったら、子宮頸がんを早期発見するため、子宮頸がん検診を定期的に受けることが重要です。
ワクチンのリスク
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種後には、多くの方に、接種部位の痛みや腫れ、赤みなどが起こることがあります。 また、まれですが、重い症状(呼吸困難やじんましん(アナフィラキシー)、手足の力が入りにくい(ギラン・バレー症候群)、頭痛・嘔吐・意識低下(急性散在性脳脊髄炎)等)が起こることがあります。
因果関係があるかどうかわからないものや、接種後短期間で回復した症状を含めて、HPVワクチン接種後に生じた症状として報告があったのは、接種1万人あたり約10人です。このうち、報告した医師や企業が重篤と判断したものは、接種1万人にあたり約6人です。
HPVワクチン接種後の主な副反応
発生頻度 | ワクチン: サーバリックス® | ワクチン: ガーダシル® |
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50%以上 | 疼痛・発赤・腫脹、疲労感 | 疼痛 |
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10~50%未満 | 掻痒(かゆみ)、腹痛、筋痛・関節痛、頭痛など | 腫脹、紅斑 |
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1~10%未満 | じんましん、めまい、発熱など | 掻痒・出血・不快感、頭痛、発熱 |
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1%未満 | 注射部位の知覚異常、感覚鈍麻、全身の脱力 | 硬結、四肢痛、筋骨格硬直、腹痛・下痢 |
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頻度不明 | 四肢痛、失神、リンパ節症など | 疲労・倦怠感、失神、筋痛・関節痛、嘔吐など |
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※出典:厚生労働省作成リーフレット
定期予防接種対象者
小学6年生~高校1年生相当の女子 ※接種日時点で、熊本市に住民登録のある方
※標準接種年齢は、中学1年生
ワクチンの種類
公費で受けられる子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)は、「サーバリックス®」(2価)と「ガーダシル®」(4価)の2種類があります。
「ガーダシル®」と「サーバリックス®」は、異なるワクチンを接種した場合の安全性・有効性などが分かっていないため、同じワクチンを3回続けて接種することになっています。
なお、すべての医療機関で両方のワクチンを取り扱っているわけではありませんので、必ず事前にご確認ください。
「ガーダシル®」と「サーバリックス®」の効果の違い等については、接種する医療機関又は感染症対策課にお尋ねください。
予防接種スケジュール
ワクチンの種類 | 接種回数 | 接種間隔 | 標準的な接種間隔 |
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2価ワクチン(サーバリックス®) | 3回 | 2回目:1回目から 1ヶ月以上 3回目:1回目から 5ヶ月以上、かつ2回目から2ヶ月半以上 | 2回目:1回目から1ヶ月 3回目:1回目から6ヶ月 |
4価ワクチン(ガーダシル®) | 3回 | 2回目:1回目から 1ヶ月以上 3回目:2回目から 3ヶ月以上 | 2回目:1回目から2ヶ月 3回目:1回目から6ヶ月 |
接種費用
無料
接種場所
熊本市の予防接種実施医療機関 ※市外での接種をご希望の場合は、事前の手続きが必要です。
接種方法
予防接種は、接種対象者であれば、いつでも受けることができます。(予約は必ず行ってください。)
接種の際は、(1)親子(母子)健康手帳 (2)本人確認ができるもの(健康保険証など)をご持参ください。
※予診票は病院にあります。
ワクチンを受けることに対する緊張や強い痛みをきっかけに、立ちくらみがしたり、血の気が引いて、時に気を失うことがあります。
血管迷走神経反射という誰にでも起こる可能性がある反応で、通常、横になって休めば自然に回復します。ワクチン接種後30分ほどは、背もたれのある椅子に座って様子をみてください。
また、予防接種当日は激しい運動は避け、接種部位を清潔に保ちましょう。
接種後に体調の変化や気になる症状が現れたときは、接種を行った医療機関などの医師にご相談ください。
《お知らせ》定期接種の対象年齢を過ぎて令和4年3月31日までに自費で接種された方へ
キャッチアップ接種対象者(平成9年(1997年)4月2日生まれから平成18年(2006年)4月1日生まれの方)が、定期接種の年齢(小学6年生から高校1年生相当)を過ぎて、すでに任意接種として自費で接種している場合、本市が定める上限額の範囲内で払い戻し(償還払い)を実施します。
対象者
以下の条件を全て満たす方
(1)令和4年4月1日時点で熊本市に住民登録がある方
(2)平成9年4月2日~平成17年4月1日生まれの女性
(3)定期接種の対象期間内に子宮頸がん予防ワクチン(2価又は4価ワクチン)の接種を3回完了していないこと
(4)定期接種の年齢(小学6年生から高校1年生相当)を過ぎて、令和4年3月31日までに国内の医療機関で子宮頸がん予防ワクチン(2価又は4
価ワクチン)の任意接種を受け、実費を負担した方
※現在、定期接種の対象となっていない9価ワクチンは対象外です。
払い戻し額
接種1回につき、16,698円を上限に、ワクチン接種費用の払い戻しを行います。
(注)接種費用に含まれないもの(接種に要した交通費、宿泊費、文書料、手数料など)は払い戻しの対象となりません。また、申請書類のうち、「(5)接種費用の支払いを証明する書類」の添付がない場合の払い戻し額は、接種1回につき、14,000円です。
申請期間
令和7年3月31日まで(必着)
※申請書類が不足している場合、書類の追加提出を求めることがあります。追加提出書類も令和7年3月31日までにご提出いただく必要がありますので、余裕をもって申請してください。
申請方法
感染症対策課に郵送又は持参にて申請してください。
申請に必要な書類は以下のとおりです。
(1)【必須】
ヒトパピローマウイルス感染症に係る任意接種償還払い申請書(第1号)
(PDF:173.4キロバイト)
(2)【必須】被接種者の氏名・住所・生年月日が確認できる書類の写し(住民票、運転免許証、健康保険証(両面)などいずれかひとつ。)
※被接種者と申請者が異なる場合は双方のものをお願いします。
(3)【必須】振込先口座が分かる資料(通帳またはキャッシュカードの写し)
(4)【必須】接種記録が確認できる資料(下記のうちいずれか1点)
ア.親子(母子)健康手帳の写し(氏名・生年月日が分かるページと子宮頸がんワクチンの接種履歴が分かるページ)
イ.接種済みの予診票の写し
ウ.医療機関の発行する予防接種済証
エ.
ヒトパピローマウイルス感染症に係る任意接種償還払い申請用証明書(第2号)
(PDF:86.5キロバイト)
(5)【任意】接種費用の支払いを証明する書類(領収書および明細書、支払証明書等の原本で、各回の接種日、ワクチン名、料金、医療機関名が分
かるもの。当時の書類がない場合は、(4)のエ.「ヒトパピローマウイルス感染症に係る任意接種償還払い申請用証明書」(様式2号)に接種料
の記入があれば、(5)の提出があったものとみなします。)
※ご提出がない場合は、接種にかかった費用が確認できないため、払い戻し額が14,000円となります。
(注)医療機関に書類を発行してもらう際に文書料(発行手数料)が発生した場合、その費用は自己負担となり、払い戻し額へ含むことはできませ
ん。
【申請先】
〒862-0971
熊本市中央区大江5丁目1-1
熊本市感染症対策課 予防接種班
《お知らせ》子宮頸がん予防ワクチンのキャッチアップ事業について
子宮頸がん予防ワクチンのキャッチアップ事業について
令和3年(2021年)12月28日の国からの通知により、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的勧奨の差控えにより接種機会を逃した方に対して公平な接種機会を確保する観点から、時限的に、従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を行うこと(以下「キャッチアップ接種」という。)となりました。なお、従来の定期接種の対象年齢は、小学6年生~高校1年生相当の女子です。
対象者
次の2つを満たす方が、対象者です。
(1)積極的な勧奨を差し控えている間に定期接種の対象であった、平成9年(1997年)4月2日~平成18年(2006年)4月1日生まれの女性
(2)過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない
※平成18年度(2006年度)・平成19年度(2007年度)生まれの方は、通常の接種対象の年齢を超えても、令和7年(2025年)3月末まで接種可能
です。
※過去に1回接種したことがある方は残り2回を、2回接種したことがある方は残り1回を、公費で接種することができます。過去に接種したワクチン
と同一のワクチンを接種することが原則となります。過去に接種したワクチンの種類が不明な場合は、医師と被接種者等がよく相談のうえ、どちら
のワクチンを接種しても差し支えありません。ただし、既に1回目のワクチン接種を行っている方が、ワクチンを選択して接種を再開する場合は、
2回目と3回目の種類については同一のワクチンを用いてください。
期間
令和4年(2022年)4月1日~令和7年(2025年)3月31日
保護者の同伴や同意について
熊本市では、16歳以上18歳未満の方については、予防接種の際、原則として保護者同伴をお願いしています。 ただし、次に該当する場合で、やむを得ず保護者が同伴できないときは、熊本市のホームページや厚生労働省作成のリーフレットをお読みいただき、ワクチンの効果やリスク、接種後の注意などを十分ご理解いただいた上で、保護者が署名をした「接種同意書」を実施医療機関にお持ちください。
・保護者が接種について十分理解していること。
・保護者と本人が相談の上でワクチン(2価あるいは4価)を選択していること。
・保護者と本人が相談の上で予診票の質問項目に回答していること。
※16歳以上18歳未満のお子様は、法律上は保護者の同意なく接種することができますが、できるだけ保護者の同意を得てから接種するようお願い
します。
《お知らせ》子宮頸がん予防ワクチンの予防接種後に症状が生じた方に対する相談窓口について
子宮頸がん予防ワクチンの接種を受けた後に、気になる症状が出たときは、まずは接種医療機関又はかかりつけの医療機関にご相談ください。そのほか、子宮頸がん予防ワクチンに関する相談先については、以下をご参照ください。
子宮頸がん予防ワクチンに関する熊本市の相談窓口
○医療・救済などに関すること
健康福祉局 感染症対策課 予防接種班
電話:096-372-0700
受付日時:月~金曜日 8:30~17:00(祝日・年末年始を除く)
○学校生活に関すること
教育委員会事務局 健康教育課
電話:096-328-2728
受付日時:月~金曜日 8:30~17:00(祝日・年末年始を除く)
厚生労働省の感染症・予防接種相談窓口
子宮頸がん予防ワクチンを含む予防接種、インフルエンザ、性感染症、その他感染症全般についての相談にお答えします。
電話番号:050-3818-2242 ※令和4年(2022年)4月1日から電話番号が変わりました
受付日時:月曜日~金曜日 9:00~17:00(祝日、年末年始を除く)
※行政に関するご意見・ご質問は受け付けておりません。
※本相談窓口は、厚生労働省が業務委託している外部の民間業者により運営されています。
ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療について
子宮頸がん予防ワクチン接種後に生じた症状について、より身近な地域において適切な診療を提供するため、各都道府県において協力医療機関が選定されています。
○熊本県内における協力医療機関
熊本大学病院(窓口診療科:婦人科)
○全国の協力医療機関、厚生労働行政労働調査事業研究班の所属医療機関について
健康被害に関する相談窓口
○定期接種(接種時の対象:小6~高1)として接種した方
熊本市 感染症対策課 予防接種班(熊本市保健所)にご相談ください。
電話:096-372-0700 受付日時:月~金曜日(祝日・年末年始を除く) 8:30~17:00
受付日時:月~金曜日(祝日・年末年始を除く) 9:00~17:00