熊本市ホームページトップへ

政策実務と政策研究(都市政策研究所第37回講演会講演録)

最終更新日:2024年3月22日
都市政策研究所 都市政策研究所TEL:096-328-2784096-328-2784 FAX:096-326-8954 メール toshiseisakukenkyusho@city.kumamoto.lg.jp 担当課の地図を見る
  • 都市政策研究所では、自治体職員や市民に向け、都市政策に関する様々な知見を提供するために、各分野の著名な方をお招きし、講演会を開催しています。令和6年(2024年)2月1日に、第37回講演会を下記のとおり開催しました。

概要

開催概要
【日時】令和6年(2024年)2月1日(木)午後2時30分~4時30分
第37回講演会 講演風景
  •             第37回講演会の様子
【会場】熊本市国際交流会館6・7階大ホール
講演
【演題】「政策実務と政策研究」
【講演者】熊本市都市政策研究所長 蓑茂壽太郎
【講演録】
研究員報告
【テーマ】「熊本市の緑業務に係る組織再編の意義と課題 ~政令指定都市における緑業務の統合集約化の状況から~」
【報告者】熊本市都市政策研究所 研究員 永田 裕


講演要旨

政令指定都市への移行を機に誕生した自治体シンクタンク

 本市が政令指定都市に移行した時、私は熊本県立大学の理事長でしたが、当時の幸山市長から市内部にシンクタンクをつくりたい旨のお話がありました。私は公園が専門ですが、関東大震災で多くの避難者が一命をとりとめた日比谷公園に東京市政会館という政策研究機関、後の後藤・安田記念東京都市研究所があって、雑誌「都市問題」を刊行していること、また日本都市センターが全国都市問題会議を主催し、他にも主要都市に都市問題研究所などがあることを知っていました。分権社会や地方の時代が叫ばれ、地域学が盛んなことなども認識の上、開設する研究所をイメージしました。そうしたことに加え、以前は市役所の内部にプランナーがいましたが、最近はコンサルタントへの外注が多く、インハウスのプランナーが育っていないのを危惧していました。また市民も一緒に政策を考える場にしたいとの思いも抱きました。

 人口減少社会の到来により、経済大国と生活大国の共存、成長社会から成熟社会へのギアチェンジが重要になります。本市は17回の合併を繰り返し、2012年に20番目の政令市となりました。成長社会の20両目の最後尾は、ターミナル到着後は、逆に先頭車両になります。先頭で走る「成熟社会号」は、住みやすい、快適な、住んでよかったと言える都市をつくる使命を持ちます。最後尾の時はルールドライブで良かったのですが、先頭車両はミッションドライブで使命を決めて目的地に走らなくてはいけません。そのような位置づけをしました。

政策実務と政策研究

 政令市の公務員には施策の執行能力だけでなく、政策立案能力が求められます。博士研究員の多くは、いずれ大学教員を希望していますので、自治体の審議会で学識経験者として社会貢献することになります。その時、政策研究の経験が非常に重要で役に立ちます。政治家の皆さんには、住民の要求を政治に昇華させる能力も求められます。これらに応える便(よすが)を提供するのが都市政策研究所であると考えました。便とは一方的ではなく、お互いに便利なウィン・ウィンの関係、相利共生関係でやれるものとしての思いです。「政策実務と政策研究の結婚」と述べたように、政策研究は政策実務と仲良く並走としなくてはなりません。エビデンスと言われる根拠、証拠、証言、形跡、を基本に議論するためです。

熊本市都市政策研究所の実像と実績の点検評価

 当研究所の実像に触れましょう。まず在籍のスタッフは、所長と副所長が定員1(副所長経験者はこれまでで4名)、博士研究員3(同12)、職員研究員3(同14)、併任研究員6(同15)です。講演会は37回開催し参加者総数は累計4,426名で、研究員報告33回で24名、ニューズレターは24号まで刊行、ホームページ更新は135回で162件の記事掲載、年報『熊本都市政策』は9号まで刊行し58本の論文を掲載しました。この間、熊本地震やコロナ禍等、臨時的な緊急調査研究も行いました。研究成果の発刊として『都市形成史図集』の戦前編と戦後編、『都市計画史図集』の3部作や、『熊本明治震災日記』の現代語訳、『平成28年熊本地震熊本市震災記録誌』の編纂等があり、現在はEBPMに役立つ『データで考える熊本市の都市政策2023』を作成中で、間もなく発刊します。当研究所は都市の本質・生活・産業の3つの大枠で研究を実施しています。学び、考え、行動する、これが政策実務で、様々な取組を通じて地域認識と時代認識の重要性を実感し、特徴ある研究所を目指してきました。

政策実務と政策研究の結合-本市における3つの実践例-

(1)中心市街地の再デザインとまちの活性化

 桜町・花畑周辺地区まちづくりマネジメント検討委員会の委員長として、中心市街地の整備に取り組みました。土地の歴史を研究して、「熊本城と庭つづき」「まちの大広間」をコンセプトに、オープンスペース主導のまちづくりを提案しました。

(2)熊本城復興を機に歴史まちづくりと熊本城公園の真正性

 『復旧基本計画』構想段階の座長他として、熊本城復旧に関わりました。20年間「工事中につき立入禁止」ではなく、展示型復旧(特別見学通路)で復旧過程を観光資源として商品化し、支援のお礼をするという概念による熊本城の復興を提案しました。

(3)全国都市緑化フェアとくまもと花博

 夏目漱石の「森の都」から126年、市議会の「森の都宣言」から50年、熊本県の「緑の三倍増計画」、緑化フェア、グリーンピック等の開催から相当な時間が経ち、熊本で緑化フェアを開催しました。今後は社会の変化に応じた「風致地区」の進化も重要です。

リバブルシティー、住みよい都市、上質な生活都市を目指して

 都市公園制度も150年の歴史を数え、公園の新時代を歩むことになります。これまで計画、設計、施工、管理という流れでしたが、管理運営側から逆流させれば公園の再デザインが起きます。公園は苦情の対象ではなく、市民が提案をし、市民力でお金も工面する時代だと思います。リバブルシティー、住みよい都市、熊本では「上質な生活都市」と言いますが、やはりこれからは、知識基盤型社会、まちづくりが避けられません。まちを点検するに相応しい展望所を整備することは非常に重要です。まちの再デザインをすることで、森の都・熊本を、やはり良いものだと感じるようにすべきでしょう。


※講演会要旨の文責は都市政策研究所にあります。
※内容の詳細は講演録をご覧ください。

    【アンケート結果】
     当日参加者の皆さまにご協力いただいたアンケートの結果を掲載します。
     (自由記述の回答などの一部は除いています。)

このページに関する
お問い合わせは
都市政策研究所 都市政策研究所
電話:096-328-2784096-328-2784
ファックス:096-326-8954
メール toshiseisakukenkyusho@city.kumamoto.lg.jp 
(ID:54200)
新しいウィンドウで このマークがついているリンクは新しいウィンドウで開きます
※資料としてPDFファイルが添付されている場合は、Adobe Acrobat(R)が必要です。
PDF書類をご覧になる場合は、Adobe Readerが必要です。正しく表示されない場合、最新バージョンをご利用ください。
熊本市役所〒860-8601熊本市中央区手取本町1番1号代表電話:096-328-2111(代表)096-328-2111(代表)
[開庁時間]月曜~金曜日の午前8時30分~午後5時15分(ただし、祝・休日、12月29日~翌年1月3日を除く)
肥後椿
copyrights(c) 2013 Kumamoto City Allrights Reserved