1.背景
熊本市本庁舎及び議会棟、中央区役所(以下、「本庁舎等」という。)については、昭和56年(1981年)の竣工以来、一度も大規模改修を行っておらず、建物全体の老朽化が進み、設備の更新等が喫緊の課題となっていました。
平成28年(2016年)に熊本地震が発生し、災害時に市民の生命・財産を守るための極めて重要な防災拠点である本庁舎等について、耐震性能が十分か確認する必要があると考えられたことから、平成29年度(2017年度)に、長寿命化に向けた大規模改修の手法検討調査にあわせて、耐震性能調査を実施したところ、本庁舎等は、現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していないことが判明しました。
この調査結果について、一部の専門家から疑問が呈されるとともに、市議会からも様々な意見が出されたことから、令和2年度(2020年度)に、更なる調査を実施したところ、再び現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していないという結果が示されました。
この令和2年度(2020年度)の調査結果についても、改めて一部の専門家から疑問が呈されるとともに、市議会においても更なる検証を行うべきとの意見が示されたことから、本庁舎等の耐震性能を含め多角的な視点で審議を行うため、令和3年(2021年)に「本庁舎等整備の在り方に関する有識者会議(以下、「有識者会議」という。)」を設置し、本庁舎等の整備の在り方について諮問を行いました。
その結果、有識者会議から、令和5年(2023年)5月30日に“本庁舎等は、現行の建築基準法等が求める耐震性能を有しておらず、周辺への影響等の要因により耐震改修の実現性が低い。また、機械設備が地下に配置されているなど、防災拠点としての機能を果たすことができないリスクがある。さらに、来庁者の待合スペースや様々な市民の相談室が不足している。このような様々な課題を解消し、市民サービスを向上させ、将来の社会情勢の変化にも柔軟に対応し容易に機能転換ができるよう、建て替えるべきである“という旨の答申が出されたところです。