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歴史上からみた新型コロナ感染症(都市政策研究所第31回講演会講演録)

最終更新日:2021年10月25日
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都市政策研究所では、自治体職員や市民に向け、都市政策に関する様々な知見を提供するために、各分野の著名な方をお招きし、講演会を開催しています。令和2年(2020年)11月27日に、第31回講演会を下記のとおり開催しました。

概要

第31回講演会の様子

第31回講演会の様子

開催概要

【日時】 令年2年(2020年)11月27日(金)午後2時30分~ 2時間程度

【手法】 オンライン講演会(Microsoft teams使用)
講演
【演題】「歴史上からみた新型コロナ感染症
【講師】 熊本大学名誉教授 二塚 信  氏
【講演録】
研究員報告
  • 【テーマ】「中心市街地活性化政策の効果推計」
  • 【報告者】熊本市都市政策研究所 研究員 山田 聰亮 
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              講演要旨

               

               わが国の疾病に関する初めての記録は、8世紀初頭編纂の古事記・日本書紀に『国内に疾病多く、民に死亡者あり、その数大半』との記載があり、崇神天皇5年との記録からその年代は西暦300 年頃とも考えられます。また西暦700 年頃には天然痘が大流行し、その弔いや病の撲滅などが奈良の大仏建立のきっかけになったとされています。その後、1810 年には橋本伯寿という人が『断毒論』を書いています。これは隔離の概念を日本で初めて主張した文書で、橋本伯寿は「余りにも早く登場しすぎた疫学者」と呼ばれています。


               世界的に見ると 1350 年頃、ペストが大流行しました。人口の1/3が死亡した大流行で、隔離以外に有効な対策が無かったため、非常に強引な監禁政策が取られました。さらに1894 年には香港でペストが大流行し、北里柴三郎博士が香港でペスト菌を発見しました。


               そして1918 年にはスペイン風邪が大流行しました。アメリカが発生源ですが、当時は第一次世界大戦の最中で、中立国で報道管制が敷かれていなかったスペインで大々的に報道されたため「スペイン風邪」と呼ばれています。死者の大半は20 代、30 代の若者でした。世界で約7,500 万人が死亡するという、ペスト以来の大流行となり、アメリカから兵士や船の動きに伴い、ヨーロッパ、南米、アジア、太平洋、アフリカと世界的に流行しました。公共施設が無力化・閉鎖するなど現在と似た状況も発生し、疾病について国際協力を強化する気運が高まる契機ともなりました。日本もスペイン風邪に襲われ、医療関係者も皆感染するという状況で、軍隊でクラスターも発生しました。そうした中、隔離する、マスクをつける、三密を避ける、消毒をするなど、現代とも共通するような事が言われました。


               新型コロナ感染症の症状としては、感染源と接触して1~10 日前後で感冒様症状(発熱、咳、倦怠感など)が出現します。多くの場合、肺炎までは至らず軽症で推移し、無症状ないし軽症の感染者が約8割を占めます。自覚のないまま周囲に感染を広める場合もあり、流行を防ぐ難しさがあります。PCR 検査を受けなければ感染したか分からず、PCR 検査数と患者数は平行関係にあります。また差別や偏見を恐れPCR 検査を拒否する人も多いです。症状などから新型コロナウイルス感染症が疑われる場合は「帰国者・接触者相談センター」に電話で相談して下さい。検査や診療の体制は医師会等の協力のもと強化され、より気軽に電話で相談できるようになっています。
               寒い時期には、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザウイルス感染症の類似性も問題となり、ともに飛沫・接触感染で、発熱・倦怠感・咳を引き起こすなど共通点は多いです。一方でインフルエンザは小児が流行の中心ですが、新型コロナウイルスは成人が大半であるなど、両者の違いも分かってきています。
               現時点では、対症療法(解熱剤、補液、重症例には酸素吸入・人工呼吸など)しかありませんが、80%以上の発症者は軽症で自然治癒すると考えられており、ワクチンの開発も現在進められています。どのような方が重症化しやすいかは明らかではありませんが、高齢者や糖尿病や動脈硬化など基礎疾患を有する方は重症化のリスクが高いとされています。感染経路には飛沫感染と接触感染があります。そのため、感染防止には石けんや
              アルコール消毒、手洗い、マスク、三密を避けるなどが有効と考えられています。


               感染者数については、感染経路を追えない孤発例が広範囲のエリアで多数生じ、感染者が爆発的に増加する「オーバーシュート」が関東圏、札幌、大阪、名古屋などで発生する危険性があります。そうなれば、その地域の医療崩壊が容易に起こると考えられます。私自身や多くの公衆衛生の研究者は、GoTo キャンペーンは早急に中止した方が良いと考えています。世界全体では感染者数が約6,000 万人、死亡者数が150 万人に迫っていますが、日本や韓国・中国など東アジアの国は欧米と比較して感染者や死亡者は少ない状況で、これは過去のSARS などの経験により交差免疫ができている可能性、またマスク着用の習慣が爆発的な拡大を防いでいる可能性があります。先進国で感染が広がる一方で新興・途上国では止まっていますが、これらの国では医療・検査体制が遅れており、まだPCR 検査が行われていないため、感染者が顕在化していないと考えられます。


               今後の課題は、第一にワクチンの早期開発が何よりも大事です。第二にどのようなケースが重症化するか、まだ分かっていない点です。第三に後遺症のサーベイランスについて、特に重症者の5 ~ 10%は数か月を経ても職場復帰できないなど長期の後遺症が残っており、重症化する前に早期発見することが重要です。第四に診断・治療のネットワークで、医師会では医療崩壊・逼迫の状態にあると言われており、症状に応じた治療のネットワークが必ずしも出来ていない状況です。第五に世界的課題として新興・再興感染病の問題が改めてクローズアップされています。再興感染症とは昔からあるが再び流行の兆しがあるもので、デング熱、麻疹、結核、マラリアなどです。今回の新型コロナウイルス感染症のように突発的に新型の感染症が発見されるのと同様に、こうした再興感染症が爆発的に流行する恐れがあります。

               

              ※講演会要旨の文責は都市政策研究所にあります。

              ※内容の詳細は講演録をご覧ください。

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