目次全内容
第5編 熊本城下をとりまく村々と農民の社会生活
第1章 郡村の支配機構
第1節 飽田・託麻郡と郡代
- 近世の飽田・託麻郡
飽田・託麻郡の郡域／実高・家竈・人畜数
- 郡代
郡代の任命／郡代の職務／飽田・託麻の郡代
第2節 手永の構造
- 手永制度の創設
手永の語意／捌・手捌と手永／小倉藩の手永／惣庄屋の出自
- 組から手永へ
加藤氏時代の地方支配／大庄屋から惣庄屋へ／寛永期の手永／飽田・託麻の手永
第3節 惣庄屋と会所役人
- 惣庄屋
惣庄屋の代官兼帯／惣庄屋知行極高／惣庄屋の職務／惣庄屋寄合／飽田・託麻の惣庄屋と事蹟／惣庄屋への知行宛行／惣庄屋の新規登用／惣庄屋当分役／山支配役／郡代手附横目
- 地方役人とその職務
在中役人／在役人とは
- 会所役人の職務
会所分職／会所役人の給与
第4節 飽田・託麻郡の手永と村々
- 飽田郡の手永
はじめに／五町手永／池田手永／横手手永／銭塘手永
- 託麻郡の手永など
本庄手永／田迎手永／合志郡大津手永・上益城郡沼山津手永
- 村の構造
近世の村／現高／寄せ村／五か村組
- 村役人
庄屋／頭百姓／五人組／庄屋ならびに村役人給米
第2章 近世農村・農民の形成と支配
第1節 近世初頭の農村と領主支配
- 近世的秩序の成立
国衆たちの戦国／国衆一揆の位置／加藤・小西氏の肥後入国／肥後支配の定書／兵農分離の確定／石高制の成立／直目安の許可
- 半国期加藤氏の地方編成
天正一七年検地の理解／蔵入地と代官／代官所の人的配置／地方支配機構の未整備
- 朝鮮出兵と農村支配
ワンマン政治の内実／給人知行地への関与／文禄五年条書の位置／農村認識の転回
- 肥後一国藩領の形成と農村支配
新領地の農村対策／逃散農民の還住／総検地の実施／総検地の新方式／現高と物成高の確定／慶長一七年六月「掟書」
第2節 初期農政と寛永飢饉
- 初期農政の基本政策
地方支配機構と手永制の整備／人畜改めと地撫／知行割と撫高／宗門人別改め
- 年貢収取体制の整備
土免と土免制／益城郡庄屋中連署請書の位置
- 寛永飢饉
寛永一三年の飢饉／寛永末年の飢饉
第3節 農政の展開
- 農政の転換
「仕置の根元」としての農政／奉行の農政強化案／農政認識の変化／「百姓成立ち」の重視
- 農政体系の確立
農政の法制的整備／「郡中定法」の構成／「郡中定法」と郡方（郡頭）／土免の設定（土免極）／「徳懸」仕法／農民の基盤強化
第4節 初期の農業生産と農民経営
- 人口動態の基礎構造
藩領の国勢調査／倍増する人口／農民家族の構成的変化／直系小家族の一般化／肥後藩の「分地制限令」
- 農業生産の様相
人口増加と農業生産／牛馬利用の農業
第5節 身分編成と農村社会
- 初期藩領の職業構成
二つの「肥後国諸郡明細帳」／「肥後国諸郡明細帳」の領民把握／「肥後国諸郡明細帳」にみる「かわた」と「穢多」／人畜改帳にみる「かわた」／「かわた」の政策的位置づけ
- 初期の身分編成
宗門改めと身分編成／「乞食」と「穢多」／飢饉と非人／「非人」の実態調査と対処方針
- 実体化する身分編成
『五輪書』の「士農工商」論／武士身分の広がりと序列化／「村人数放れ」と「農」の格上げ／「衣服制度」の公布／「百姓相応」と「えた相応」／多様化する身分標識／増大する帯刀人／傘御免
- 差別と支配
教悦支配の確立／国中物貰の人別支配／国中穢多の編成／穢多平兵衛一件／刑法の中の差別
第3章 農業の発展と宝暦の改革
第1節 元禄・正徳期の農政と農民
- 元禄期の農政と流通統制
運上銀体系の確立／上方廻米の増強／元禄七年の土免
- 正徳の上知令
正徳二年の半知差上げ／正徳三年の上知令／上知の実体
- 潰百姓の仕法と地方証文
潰百姓とは／潰百姓支配の仕法／地方証文格式の確定／「支配御郡」と惣庄屋割印
第2節 享保−延享期農政の展開
- 農政の新段階
稲津弥右衛門の登用／「請免」の提案／「請免」の構想
- 「検地新議」の位置づけ
検地の構想／「検地新議」の内容／「御格」の踏襲
- 延享期農政をめぐる対立
農村再建か年貢強化か／稲津弥右衛門の郡頭罷免／「御格」の堅持／農政強化の基本方向／「明高」への対処
第3節 宝暦の農政改革
- 宝暦の農政改革
宝暦期の農村／宝暦地引合せの実施／宝暦地引合せの結果／飽田・託麻郡の耕地／上立田村における地引合せ入り組みの箇条
- 宝暦以降の徳懸仕法
徳懸仕法の改正／地引合せ実施以前／宝暦七年の損引見積り／安永三年の改正／天明三年の改正／寛政六年の改正／商品農産物の掌握
第4章 変貌する農村と農民
第1節 農政の転換と検地
- 農政の転換
竈改め／庭帳の改正／庭帳改正の問題点／二重庭帳で惣庄屋を処分／地方証文の取締り／年貢の安定的確保と土貢平均
- 藩政後期の検地
寛政の再地引合せ／再地引合せ地推／再地引合せ地推の始期／再地引合せ地推の進捗状況／新出畝物徳米の会所備え／徳米で賄った地推雑用
第2節 郡代と惣庄屋の勧農富民
- 零落村の立て直し
池田手永の地方整理／小山村の心付米拝領／本庄手永零落村立て直し／五町手永は勧農米配当／質地の官田化と捨て方寸志／貨殖の利で心付銭配当／会所官銭拝借でしのぐ
- 土木普請による生産力の拡大
鹿子木量平の業績／松村平右衛門の業績／宮原恵助の業績／斉藤嘉兵衛の業績／古閑才蔵の業績
- 栽培方法など技術的勧農策
種子選びと早期栽培の奨励／村々を分担して作廻り調査
第3節 請免と年貢負担
- 請免
土免制から請免制へ／請免実施の心得／農民の反応と請免潤色／増上納となった畑方／請免崩れの危機／請免永続の仕法
- 年貢負担
請物成割取は土物成割合で／請物成を割り直す／飽田・託麻の村別年貢／菜種請けや拝借銭で年貢支払い／年貢米の御蔵納め／櫨と楮の請負い負担／夫役と払い物
第4節 寸志と在御家人
- 一領一疋と地侍
村の武士たち／在地軍事力の組織化／元禄−宝暦期の一領一疋・地侍
- 在御家人制の成立
「御家人」呼称の成立／一領一疋・地侍の格付け／「御家人」と「在御家人」
- 寸志と褒賞
寸志のはじまり／寸志の諸段階／御手伝寸志と難儀者取救寸志／寸志の社会化／「町在」の寸志事例／飽田・託麻両郡の寸志褒賞
- 飽田・託麻郡の在御家人
文政八年の在御家人／安政二年の在御家人／田迎手永の在御家人
- 在御家人の職務
一領一疋除野金吾の奉公形態／田迎手永在御家人の職務分担
- 在御家人と農村社会
二つの日記／村々見分／人物考課
第5章 崩れゆく農村と農民
第1節 飽田・託麻郡の産物
- 主な穀物と生産高
田畑畝数の比率／穀物類
- 主な商品作物
主な商品作物／蔬菜類／余産／漁業
第2節 地主・小作関係の展開
- 農民の土地所有と田畑永代売買の禁
検地と土地所有／検地と農民の変遷／農民数の維持／「身帯潰百姓」と惣作／地方証文格式一巻／宝暦の譲り地・質地仕法
- 質地地主の成立
宝暦地引合せ後の農村／明高片付方の仕法／民力強め寸志による質地請返し／郡代・惣庄屋による村方取救い策／「入百姓」仕立て／方近村の質地／Ｋ家の質地経営
第3節 災害と救恤・復興
- 頻発する自然災害
自然災害と損毛高／島原大変／島原大変の復興／辰年の洪水／辰年洪水の復旧／大風・高潮災害／大風・高潮の救済／安政の地震
- 火災と救恤
海辺村々の火災／防火と消火／罹災者の救済
第4節 新田開発と土地改良
- 近世の干拓新田
新田開発／藩士知行新田／村立新地／海辺新地
- 飽田郡の干拓新田
飽田郡の新田／中島新地／新田の徳米／新地築造の過程と築造費／新田開発の資金／御赦免開から会所開へ
- 水利と土地改良
飽田・託麻郡における水利灌漑の特長／白川流域／渡鹿堰／白川下流の堰／白川分水の慣行／文政六年の白川分水／坪井川の改修／天明新川／加勢川掘通し／嘉永新川
第6章 農村の生活
第1節 農民の生活規制と家族
- 農民の生活規制
法令と伝達／生活規制／寄合
- 家族と住居
初期の家族／農民の住居
第2節 農村の文化と娯楽
- 村での文化活動
童子草刈唄／若者組
- 村人と旅行
栃木湯治／杖立入湯日記／生目八幡詣／日光旅行
- 村での芝居・見せ物興行
尾跡村の芝居興行／見せ物興行
第3節 農村の祭りと信仰
- 飽田・託麻郡の神社と村の小祠
五町手永／池田手永／横手手永／銭塘手永／本庄手永／田迎手永／村の神社と小祠
- 村の祭り
農耕儀礼としての祭り／鐘巻
- 村の寺院と小堂
五町手永／池田手永／横手手永／銭塘手永／本庄手永／田迎手永
第4節 農村に住む武士と給知百姓
- 在宅
在宅のおこり／地子借在宅／地子礼銭と地子年貢／在宅人の生活／野屋敷・下屋敷・掛屋敷
- 八か所地筒
開墾と八か所地筒／八か所地筒の構成／御免地の地引合せ／地筒植立の松山
- 「給知百姓」の払い物
直所務の廃止／「給知百姓」の負担
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