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Q1 なぜ現庁舎の耐震性能調査を行ったのですか?
(答)
現庁舎の長寿命化に向けた大規模改修について検討を進めていたところ、平成28年熊本地震が発生したことを受け、平成29年度に大規模改修の手法検討調査とあわせて、重要な防災拠点施設である現庁舎の耐震性能調査を実施しました。
その結果、現庁舎は現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していないことが判明しましたが、この結果に対して、一部の専門家から「地下連続壁を考慮すべき」といった疑問が呈されるとともに、市議会からも様々な意見が出されたことから、令和2年度(2020年度)に地下連続壁等の効果も含めて更なる調査を実施しました。なお、2度の調査の結果はいずれも、現庁舎は現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していないというものです。
Q2 現庁舎が現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していないということは、どのように確認したのですか?
現庁舎は高さが60mを超えるため、建築基準法及び審査基準で定められた複数の地震波データを用いたシミュレーションによる特殊な計算(時刻歴応答解析)によって安全性を確認しなければならない建築物です。
本市が行った耐震性能調査においても、現行の建築基準法及び審査基準で定められた複数の地震波データを用いたシミュレーションを行っており、現庁舎の上部構造(地盤より上の構造体)は、審査基準において許容される範囲を超える傾きが起こり、基礎杭についても、その多くが致命的な損傷を受けるという結果が出ています。
このようなことから、現庁舎は現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していない、との調査結果が示されており、有識者会議からも、その検証方法や結果は妥当であるとの見解を得ています。
Q3 現庁舎は高層建築物であり耐震診断は不要なはずでは?
熊本市の現庁舎も該当する高層建築物など建築基準法による大臣認定を受けている建築物は、耐震改修促進法において耐震診断を義務付けられていません。
しかしながら、熊本市では、平成28年熊本地震の経験を踏まえ、重要な防災拠点施設である本庁舎は、大規模地震発生直後においてもその機能を維持し継続的に使用できるよう、想定されるあらゆる地震リスクに備えることが必要であると考えています。
このようなことから、現庁舎については現行の建築基準法等に沿った耐震性能調査を実施しました。
Q4 現庁舎は耐震性能が不足しているというのであれば、建築基準法に違反しているのですか?
(答)
現庁舎は、建築基準法上の既存不適格建築物に該当しますが、違反建築物ではありません。
Q5 耐震性能調査では、検討の必要がない地震波を用いて検証を行い、耐震性能が不足しているという結果になったと聞いたが本当ですか?
(答)
そのようなことはありません。
本市が実施した2度の耐震性能調査では、現行の建築基準法及び審査基準で定められた複数の地震波を用いて検証しています。また、「熊本市本庁舎等整備の在り方に関する有識者会議」において、調査は適切に行われており、その結果は妥当適切であるとの見解が示されています。
Q6 現庁舎の耐震性能調査は、防災拠点施設として求められる性能を基準として(割り増しして)評価したから、必要な耐震性能を有していないとなったのであって、一般施設として評価すれば、耐震性能を有しているという結果になるのではないのですか?
(答)
平成29年度及び令和2年度に本市が実施した現庁舎の耐震性能調査では、防災拠点施設として基準の割り増し等は行っておりません。
その結果、現庁舎は、防災拠点施設としてだけでなく、一般施設としても、現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していないことが判明しています。
Q7 現庁舎をそのまま使い続けて、大きな地震が起きたら、どうなるのですか?
仮に、現庁舎をそのまま使い続け、現行の建築基準法及び審査基準で定められた地震波のような地震が発生した場合は、柱や梁が折れ曲がったり、壁や天井が剥がれ落ちたりするほか、外壁パネルが落下したり天井裏のアスベストが飛散する、といった二次被害が起きる可能性があり、庁舎内や周辺にいる人達に危険を及ぼすことが懸念されます。
また、このような状態になれば、現庁舎は防災拠点施設としての機能が継続できなくなるため、災害時の応急対応や復旧活動等に遅れが生じ、市民の皆様の生活に大きな影響が出ることが懸念されます。
Q8 現庁舎には耐震性能があると言っている専門家もいるのに、なぜ建替える必要があるのですか?
一部の専門家からは、現庁舎が平成28年熊本地震に耐えたことや地下連続壁の効果などを理由として、「現庁舎は現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していない」とする耐震性能調査の解析手法や結果に対して疑問が呈されました。
このようなことから、「熊本市本庁舎等整備の在り方に関する有識者会議」では、耐震性能調査の妥当性に加え、疑問を呈された専門家のご意見についても1つずつ確認いただきました。その上で、「現庁舎は現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していない」とする2度の耐震性能調査は適切に行われており、その結果は妥当であるという結論が出されました。
平成28年熊本地震を経験した本市としては、あらゆる災害から、来庁される市民の皆様、庁内で働く職員、ひいては74万市民の生命・財産を守るため、重要な防災拠点施設である本庁舎等について、様々な災害リスクに対応できるよう、建替えの方向で進めていきたいと考えています。
Q9 現庁舎には地下連続壁があるから耐震性に問題ないのではありませんか?
(答)
また、「熊本市本庁舎等整備の在り方に関する有識者会議」において、調査は適切に行われており、その結果は妥当であるとの見解が示されています。
Q10 大規模改修や耐震補強では、ダメなのですか?
(答)
現庁舎について大規模改修のみ実施しても、耐震性能不足や浸水に対する脆弱性、狭あい化といった課題を解決することができないため、耐震補強工事が必要です。
耐震補強工事を行う場合、庁舎の上部構造体の耐震補強に加え、基礎に関して杭の増設が必要です。この杭の増設工事を行うためには、現庁舎周辺の道路の下に埋設されているインフラ設備の移設を含め、長期間にわたり周辺道路を閉鎖する必要があり、市民生活及び行政サービスへ与える影響が大きいことから、実施困難であると考えています。
Q11 熊本地震にも耐えたのに、現庁舎を建替える必要があるのですか?
(答)
現庁舎は、現行の建築基準法等が求める耐震性能を有しておらず、これまでの地震で被害が出なかったことが今後の大地震に対する安全性を保証するものではありません。
また、本庁舎等は、災害時に災害対策本部を設置する重要な防災拠点施設となります。
今後起こりえる大地震に備え、耐震安全性の確保のために建替えが必要と考えています。
Q12 熊本県庁のように防災センターだけを別棟で整備すればいいのではありませんか?
熊本県庁の本館は、耐震改修済であり、耐震改修が困難な本市の現庁舎と前提条件が大きく異なります。
災害発生時に、本庁舎は全庁一体となって災害応急業務にあたるので、別の敷地に防災センターのみを整備したとしても、耐震性能不足の現庁舎に残された部署は十分な災害応急業務を行うことができません。
(参考)現庁舎の災害時の役割 13F | 公共土木等施設の応急対応 |
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12F | 物資要請・受入、避難所総合調整、農林水産業応急対応 |
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11F | 応急危険度判定 |
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10F | 被災者生活支援、医療・衛生等総合調整 |
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9F | 市有建築物調査・応急対応、仮設住宅建設 |
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8F | 物資輸送計画・実施・管理 |
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7F | 災害廃棄物処理、生活環境維持 |
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6F | 災害対応人員総括、応援派遣要請 |
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5F | 防災中枢・調整機能(災害対策本部・指揮室・総合調整室・防災関係機関) |
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4F | 関係省庁・各局総合調整、報道対応 |
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3F | 災害対策本部運営(情報支援室) |
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1F・2F | 区対策部(避難所運営、被災支援拠点) |
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Q13 総務省消防庁の調査には「耐震性能あり」と報告しているのではないのですか?
総務省消防庁の「防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査」は、昭和56年に改正された建築基準法の耐震基準、いわゆる「新耐震基準」をもとに、それ以前に建築確認を得て建築された建物の耐震化の状況を調査するものです。
この調査では、「昭和56年6月1日以降に建築確認を得て建築された建物」は、すべて「耐震化済」と整理されます。現庁舎は昭和54年に設計された建物ですが、当時、大臣認定を取得した高層建築物であることから、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」上「昭和56年6月1日以降に建築確認を得て建築された建物」であるとみなすことができ、この調査においては「耐震化済」に整理されてきました。
一方、本市が実施した2度の耐震性能調査は、本庁舎の防災拠点施設としての耐震性能を確認するために行ったものであり、平成12年の建築基準法改正による高層建築物に対する改正内容を満たしているかどうかを含めて検証しています。その結果、「本庁舎は現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していない」ことが判明しました。
このように、総務省消防庁の調査と本市が実施した耐震性能調査とは、前提となる耐震基準の考え方が異なるため、調査結果も異なっている状況です。
(令和5年度時点)