肥後六花とは
熊本には「肥後六花」と呼ばれる独特の園芸植物があります。
肥後椿、肥後芍薬、肥後花菖蒲、肥後朝顔、肥後菊、肥後山茶花の六花には共通する特徴があります。
・大輪で平開する一重咲きが基本
・花の中心になる芯の美しさを大切にする
・純色で濁りのない花の色を貴ぶ
・花だけを見るのではなく、花形(花と茎葉の釣合と品位)を重視
藩主・細川重賢が武士の精神修養と品性向上を目的に栽培を奨励した菊だけでなく、他の花も武士が中心になって栽培を行いました。全国的な流行とは別に、独自の改良が重ねられ、特別の栽培法が考案されて独特の品種群が作り出され、現在にも継承されています。
肥後六花の歴史
始まりは 1700年代熊本藩6代藩主細川重賢(1720-1785)が藩士の精神修養として園芸を奨励した。 1800年代:10代藩主・細川斉護(1804-1860)の時代藩士による愛好家グループ「花連(はなれん)」結成花の栽培法の確立や新品種の育成に励む花・苗・種は「門外不出」! 1960(昭和35)年天皇の天覧を機に四季を通して楽しめる6種類の花が決められた。ここから「肥後六花」とよばれるようになった。(緑のマイスター「チームてんとうむし」作成リーフレットより)
緑のマイスター 「チーム てんとうむし」とは?
「チーム てんとうむし」は、緑のマイスター養成講座第1期生で編成されたチームです。養成講座の際にテーマを”肥後六花”に定めて「チーム てんとうむし」として活動・報告して講座を修了され、マイスターに認定されました。現在も、この時のチームメンバーを中心に肥後六花の情報をまとめたリーフレットを作成する等、啓発活動をされています。
緑のマイスターについてはこちら⇒熊本市緑のマイスター / 熊本市公式サイト
肥後六花の保存会と関係各課一覧
肥後六花の問い合わせ窓口 問い合わせ窓口 | 種の保存に関する窓口 | 技術の継承に関する窓口 |
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文化政策課 096-328-2039 | 動植物園 096-368-5615 | 動植物園 096-368-5615 |
熊本城総合事務所 096-352-5900 |
関係各課一覧 (令和7年6月16日現在) 種類 | 保存会 | 鑑賞できる場所 | 熊本市の連絡先 |
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肥後菊 | 愛寿会 | 熊本城 城彩苑 水前寺成趣園 熊本市国際交流会館 加藤神社 | 熊本城総合事務所総務管理課 096-352-5900 |
肥後椿 | 肥後つばき協会 | 熊本城 動植物園 水前寺成趣園 県総合運動公園 / 農業公園カントリーパーク 肥後細川庭園(東京) | 農業支援課 096-328-2384 |
肥後山茶花 | 肥後さざんか協会 | 熊本城 動植物園 水前寺成趣園 県民総合運動公園 肥後細川庭園(東京) | 農業支援課 096-328-2384 |
肥後朝顔 | 肥後朝顔涼花会 | 熊本城 くまもと森都心プラザ 水前寺成趣園 高麗門 | 熊本博物館 096-324-3500 |
肥後芍薬 | 白蝶会(※現在は、会としての集まりはなく、数件の愛好家が栽培を行っている) | 動植物園 塚原歴史民俗資料館(4月下旬に展示会を開催) 水前寺成趣園 肥後細川庭園(東京)/ 久宝寺緑地(大阪) | 事務局がないため花とみどり協働課(096-328-2352)にて調整 |
肥後花菖蒲 | 熊本花菖蒲満月会 | 動植物園 熊本城(二の丸お休み処・天守閣前・城彩苑) 水前寺成趣園 松浜軒(八代市) 肥後細川庭園(東京) | 事務局がないため花とみどり協働課(096-328-2352)にて調整 |
肥後菊
熊本市の連絡先
熊本城総合事務所 総務管理課
096-352-5900
肥後菊の特徴
❁特徴
花は一重咲きで平開し、花弁(周囲の舌状花)の形は平弁と管弁の二形です。
花芯部はしっかりした形で黄金色に盛り上がり、草丈に高、中、低の三系統があり、これは花の大輪、中輪、小輪と一致します。
濁りのない濃色(白は純白)が貴ばれています。
❁開花時期
11月中旬~12月中旬
❁歴史
宝暦年間から始まり、1819年の「養菊指南車」(『日本農書全集55(園芸2)』)に栽培法が記されています。
関連資料
緑のマイスター「チーム てんとうむし」の活動紹介(肥後六花リーフレット) / 熊本市公式サイト
展示会
毎年11月中旬~12月上旬にかけて展示会が開催されます。
【肥後菊展示】
開花期 11月15日頃~12月10日頃
場所 *水前寺成趣園 憩いの広場花壇
展示館にて切り花展示
*熊本城より鉢植え展示(11月15日頃から)
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提供:水前寺成趣園
肥後椿
熊本市の連絡先
農業支援課
096-328-2384
肥後椿の特徴
❁特徴
花弁が大きく平開して一重咲きです。
雄しべは花糸(雄しべの柄)が根本近くまで離れた「梅芯」で、黄金色のやく(雄しべの花粉が入った袋)が中央に盛り上がります。
熊本市の「市の花」に選定されています。
❁開花時期
2~4月
❁歴史
1830年の「江戸白金植木屋文助筆記」(『肥後六花撰』誠文堂新光社)に記録されています。
関連資料
緑のマイスター「チーム てんとうむし」の活動紹介(肥後六花リーフレット) / 熊本市公式サイト
展示会
毎年3月中旬に展示会が開催されます。
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提供:肥後つばき協会
提供:水前寺成就園
肥後山茶花
熊本市の連絡先
農業支援課
096-328-2384
肥後山茶花の特徴
❁特徴
一重で大輪、梅芯で花の色の良いものが優品とされます。
❁開花時期
10月下旬~12月中旬
❁歴史
1879年に作出されたもので、武士階級が消滅した時代の花ですが、武士的な特徴を持ち合わせます。
関連資料
緑のマイスター「チーム てんとうむし」の活動紹介(肥後六花リーフレット) / 熊本市公式サイト
展示会
毎年11月下旬に展示会が開催されます。
【第63回肥後さざんか展示会】
日程:令和7年(2025年)11月29日(土)~30日(日)
時間:29日 9時~16時30分
30日 9時~16時
場所:水前寺成趣園内 展示館 ※水前寺成趣園の入園料が必要です。
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肥後朝顔
熊本市の連絡先
熊本博物館
096-324-3500
肥後朝顔の特徴
❁特徴
花は大輪で、葉は州浜系の斑入り千鳥葉、基部が心形で三浅裂です。
決まった規格の鉢を用い、芽を摘まずに茎を1本だけ鉢の高さの3倍ほどに伸ばし、本葉の4~5枚目から開花させる独特の栽培法で、花のときまで
双葉が残るよう育てます。
花筒部(花の中心)は純白で色に濁りがないことが重要とされています。
❁開花時期
7月、9月
❁歴史
幕末から栽培されていたようですが、一度途絶え、1897年頃から栽培が盛んになりました。
関連資料
緑のマイスター「チーム てんとうむし」の活動紹介(肥後六花リーフレット) / 熊本市公式サイト
展示会
毎年7月上旬、9月上旬(持寄会)が開催されます。
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肥後芍薬
熊本市の連絡先
事務局がないため花とみどり協働課(096-328-2352)にて調整
肥後芍薬の特徴
❁特徴
花弁と花弁の形が整い、一重か二重咲きで花弁数は8~10枚です。
花容(花のかたち)が重厚で、鮮黄色の雄しべのやくが中央に大きく盛り上がります。
色に濁りがなく、整然とした丸弁抱え咲きで芯の盛り上がりが大きいものが優品とされます。
❁開花時期
4月下旬~5月上旬
❁歴史
1795年の「芍薬花品評論」(「上妻文庫」熊本県立図書館蔵)に記録されています。
関連資料
緑のマイスター「チーム てんとうむし」の活動紹介(肥後六花リーフレット) / 熊本市公式サイト
展示会
毎年4月下旬~5月中旬に肥後しゃくやく展が開催されます。
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令和7年 栽培家の庭にて撮影
肥後花菖蒲
熊本市の連絡先
事務局がないため花とみどり協働課(096-328-2352)にて調整
肥後花菖蒲の特徴
❁特徴
花被(がくと花びらの総称)が大きく幅広く、花被と花被の間に隙間が少ないことが特徴です。
花は大形で力強く、肩を張った富士山形になり、花芯が大きく目立ちます。
❁開花時期
6月上旬~中旬
❁歴史
1833年に江戸から肥後にもたらされたものが起源で、江戸花菖蒲の美しさに惹かれた藩主・細川斉護が、分譲を切望したことに始まります。
関連資料
緑のマイスター「チーム てんとうむし」の活動紹介(肥後六花リーフレット) / 熊本市公式サイト
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令和7年 栽培家のご自宅にて撮影