平成29年度から実施される個人市民税・県民税の税制改正の内容は次のとおりです。
1 給与所得控除の改正について
2 株式等に係る譲渡所得等の改組および損益通算の対象範囲の拡大について
3 上場株式等に係る配当所得等の課税方式について
4 日本国外に居住する親族にかかる扶養控除等の書類の添付等義務化について
5 住宅借入金等特別税額控除の延長について
6 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設について
1 給与所得控除の改正について
給与所得控除の上限が適用される給与収入額が1,500万円から1,200万円に引き下げられ、給与収入金額が1,200万円を超えた場合の給与所得控除額の上限が230万円に変更となりました。
| 改正前 | 改正後 |
年度 | 平成26年度~
平成28年度まで | 平成29年度 | (参考)
平成30年度 |
上限額が適用される給与収入 | 1,500万円超 | 1,200万円超 | 1,000万円超 |
給与所得控除の上限額 | 245万円 | 230万円 | 220万円 |
2 株式等に係る譲渡所得等の改組および損益通算の対象範囲の拡大について
(1)金融所得課税一本化を進める観点から、公社債等に係る平成28年1月1日以後の譲渡所得等に対する課税が、原則、申告分離課税方式に一本化され「上場株式等に係る譲渡所得等(※1)」と「一般株式等に係る譲渡所得等(※2)」に区分されました。
※1 上場株式等に係る譲渡所得等
上場株式、公募株式等証券投資信託の受益権、公募公社債投資信託の受益権、特定公社債(国債、地方債、外国国債、公募公社債、平成27年12月 31日以前に発行された公社債(同族会社が発行した社債を除きます。)などの一定の公社債)など
※2 一般株式等に係る譲渡所得等
上場株式等に係る譲渡所得等以外のもの(非上場株式、私募株式投資信託の受益権、私募公社債投資信託の受益権など)
(2)損益通算について
ア.上場株式等に係る譲渡所得等
上場株式、公募株式等証券投資信託の受益権、公募公社債投資信託の受益権、特定公社債などの譲渡損失及び償還差損については、上場株式
等に係る譲渡所得等の間において損益通算が可能となります。
イ.一般株式等に係る譲渡所得等
非上場株式、私募株式投資信託の受益権、私募公社債投資信託の受益権などの譲渡損失及び償還差損については、一般株式等に係る譲渡所得等
の間において損益通算が可能となります。
※「上場株式等に係る譲渡所得等」の譲渡損益と「一般株式等に係る譲渡所得等」の譲渡損益を通算することはできません。
(3)繰越控除について
上場株式等の譲渡損失の金額については、一定の要件を満たす場合に限りその譲渡損失の金額が生じた年の翌年以後3年間にわたって上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額から繰越控除できます。(一般株式等に係る譲渡所得等の金額から繰越控除することはできません。)
3 上場株式等に係る配当所得等の課税方式について
納税通知書が送達される日までに、確定申告書とは別に市・県民税申告書をご提出いただくことにより、市県民税と所得税で異なる課税方式(申告不要制度、総合課税、申告分離課税)を選択することが明確化されました。
例)所得税では総合課税を選択し、市県民税では申告不要制度を選択 等
4 日本国外に居住する親族にかかる扶養控除等の書類の添付等義務化について
平成29年度の市・県民税の申告から、日本国内に住所を有しない親族に係る扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除若しくは障害者控除(16歳未満の扶養親族を含む。以下「扶養控除等」といいます。)の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者は、「親族関係書類(※1)」及び「送金関係書類(※2)」を市・県民税の申告書に添付し、又は提出の際提示しなければならないこととされました。ただし、年末調整・確定申告等で既に添付書類を提出している場合は、添付又は提示を要しません。
※1 親族関係書類とは、(1)(2)のいずれかの書類をいいます。
(1)戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類で、日本国内に住所を有しない者が扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し
(2)外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、日本国内に住所を有しない者が扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者の親族であることを証するもの(その親族の氏名、住所及び生年月日の記載があるものに限ります。)
※2 送金関係書類とは、次のものをいいます。
扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける年度の初日の属する年の前年における次の(1)又は(2)の書類で、日本国内に住所を有しない親族の生活費又は教育費に充てるためのその扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者からの支払が、必要の都度、行われたことを明らかにするもの
(1) 金融機関が行う為替取引によりその者からその親族へ向けた支払が行われたことを明らかにする書類
(2) いわゆるクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと及びその商品等の購入代金に相当する額をその扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者から受領したことを明らかにする書類
※注意事項※
・「親族関係書類」及び「送金関係書類」が外国語で作成されている場合には、翻訳文の提出又は提示も必要となります。
・16歳未満の国外居住親族であっても、障害者控除及び市・県民税非課税限度額の適用を受ける場合は、書類の提出又は提示が必要となります。
5 住宅借入金等特別税額控除の延長について
市・県民税の住宅ローン控除の適用について、適用期限が2年半延長され、居住開始年月日が平成33年12月31日までの方が対象となりました。
6 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設について
相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。
詳細等につきましては、国税庁ホームページをご参照ください。
【国税庁HP】被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(外部リンク)